15話 魔人
「うぃ〜す、ヒック」
時刻はまだ夜7時、既に飲み過ぎて泥酔したオヤジが歩道を歩いていた。
「お〜とっとっと」
オヤジはふらつきそのまま歩道から街灯がない暗い裏路地へと入ってしまった。
そしてドサっと誰かにぶつかりオヤジは尻餅をついてしまう。
「痛たた、おい!前を見て歩け、って」
親父の目線の先には白いワンピース姿で白い帽子をかぶっており顔はよく見えず、そして異様と言えるほど白い肌の女性の姿がそこにあった。
「お姉さん、綺麗だねどうだいおじさんと飲みに行かない?」
立ち上がったオヤジが女性の肩に右手を伸ばした時。
ブシュッ!
「ん?」
あまり聞きなれない音が聞こえた後、不思議そうな顔をするオヤジが自分の右手を見ると、なんと自分の右手首から先がなかった。
「うがぁぁー、わしの手がー!」
「ふふふふ」
「っ!?」
激痛に苦しむオヤジがその笑い声のする方向に顔を向けるとそこには深い青色に染まった瞳を持ち、長い八重歯を剥き出しにしながら不気味に笑う女性の顔の形をした化け物がいた。
「ひ、ひぃぃぃー」
ブシャッ!
そいつは長く尖った爪を持っておりそれでオヤジの首を切り落としてしまった。
「アハハハハハ」
そいつは不気味に笑う。
そしてオヤジの首を切り落とした血飛沫が、表の路地へと飛ぶ。
「うわ!なんだこれ!?、うっ」
表の路地でその裏路地の前をちょうど通りかかった男にその血飛沫がかかる。
そして裏路地からその化け物は飛び出し、その男の首を切り落とす。
「アハ、アハ、アハハハハハ」
「キャー!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「う、ここはどこですか?」
目を覚ましたヒカリは知らない天井の下にいた。
辺りを見渡すとそこは薄暗く狭い部屋で私は石造りの人が1人寝れる様な台の上で拘束されていた。
そして私の隣でカタカタとキーボードを打つ白衣を着た男の人がいた。
「素晴らしい、《神下ろしの子》の体は素晴らしい」
「貴方は、いったいなにをしているのですか?後ここはどこですか?」
「おっとお目覚めかい?ここは、《究明機関》の研究室だよ。今君の身体のデータをとって解析をしているんだ」
するとカツカツと誰かがこちらに来る足音がする。
「どうだ例の魔術器の調整は進んでるか?」
「まだもう少しかかりそうです。まだデータを解析している途中なので」
「なるべく早くしろよ、我らが主を待たせるな」
「わかっています」
現れた男は黒いローブ姿を着ていて姿を現した瞬間フードを外し顔をあらわにした。
その顔は髪はなくスキンヘッドでそこには大きく龍の刺青が彫られており、目つきの悪い男の顔だった。
声からして"おそらくこの人が私を拐った人だ"とヒカリは確信する。
「貴方達は、いったい何を企んでいるのですか?」
「ん?ああ目覚めたのかヒカリ・アレグレス。その問いをお前に答える意味は無い。何故ならお前は生贄にされるのだからな」
「っ!?」
男が発言した言葉の意味を理解し死を予感した途端、ヒカリは震え出す。
「私を生贄に、」
ヒカリは震える自分の手を見ながら震える声でそう呟く。
「まあ、一応教えといてやる。お前は世界の真理への扉の鍵になってもらう、そして我らが主に全能の力を捧げるのだ。まだ解析は済んではいない様だが、景気づけにこの王都で余興を奏で始めたところだ」
ガァァーン!ガァァーン!
男が話し終えた途端建物の外から大きな音が聞こえてきた。
「一体なんですか!外で何が起こっているのですか?!」
「これが余興だ。我々はお前の様に何人も生贄に捧げようとしてきた。だがその全ては失敗し、生け贄となった者は自我を持たないただ暴れる魔人へと変化してしまった。今し方その魔人を王都の数十ヶ所で放ったところだ。まあ目的は憲兵の奴らの集中を魔人に集めて、お前が見つからない様にするためだ。残念だったなここに助けは来ない。諦めろ」
そう言われてヒカリは身体中から力が一気に抜けていくのを感じた。
もう助からないと本能的に諦めてしまったのだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガァァーン!、ガァァーン!
「一体何が起こっている!」
「今連絡が入りました!王都中に突然、人の形をした化け物達が複数出現したとの事です」
「化け物だと?」
道路は混乱し、逃げ回る人が大勢いる中2人の憲兵が逃げる人々とは反対方向へと走り、状況確認をする。
そして、逃げる人々が途切れると前にもう死体であろうものを何度も不気味に笑いながらグサグサと長く尖った爪の生えた手で滅多刺しにし、血濡れた服を着る男の姿をした化け物がいた。
「奴か!」
「恐らくそうだと思われます副団長!」
そう、片方胸の辺りが勲章で溢れかえっているこの男はアゼルの兄のアルス・スキアーである。
もうひとりの男の憲兵はアルス直属の部下のアビー・クーアーである。
「なるほど確かにこいつは化け物だな」
「どうされますか?」
「あいつがどれほどのものかわからない以上この人数で挑むのは悪手だ、応援を呼べ」
「ハッ!」
アビーは腰から通信機を取り出し応援を要請する。
するとさっきまで死体を滅多刺しにしていた化け物が急にその行為をやめこちらへと視線を移す。
「ぐふふふふ」
「まじかよ、」
化け物は不気味に笑った後、アルスへと飛びかかる。
「ぐっ!」
咄嗟にアルスは鞘から剣を抜刀し化け物の攻撃を受け止める。
ギリギリと剣と爪が音を立てる。
"爪がどれだけ硬いんだよ"とアルスは思いなが魔力を全身の魔力回路に流し全力で受け止める。
「はあぁぁぁ!」
「ぐははははは」
「なにっ!?」
突然化け物の力が急激に増す。
そしてそのままアルスは吹き飛ばされ後ろの建物へ衝突してしまった。
「副団長!」
「がははははは」
「うっ!?」
「逃げろ、アビー!」
アルスはかなりのダメージを受けた様でうつ伏せでなかなか立つことができないでいた。
その叫ぶ声も虚しく化け物は凄まじいスピードでアビーへと飛び込む。
カキィン!
「ぐっ!」
間一髪でなんとか剣を抜き攻撃を凌ぐがアビー大きく体勢を崩してしまう。
「アビー!」
化け物はニ撃目をアビーへと繰り出す。
だがその攻撃がアビーに当たることはなかった。
カキィン!
化け物の攻撃が弾かれ、化け物は一旦距離を取る。
「グルルルルル」
そしてアビーの前には黒紅色に染まった街灯を纏いフードを被った者がいた。
「アンタは一体?」
「俺は《ミカエル》」
前回の投稿からかなりの時間が空いてしまいました。
申し訳ございません。
この小説が面白いと思ったら評価を☆☆☆☆☆→★★★★★にして、ブックマークをしていただけると嬉しいです。




