#8 はじめの1歩
夜が明け、周囲が明るくなった頃。
手荷物を確認していた。
石の斧とピッケル、槍、ボーラ、弓、はスロットにセットしてある。
弾薬として矢と石もインベントリに適量入っている。餌としてメジョベリーも持った。パラサウロロフスのサドルも用意してある。
進捗としてはまずまずか。
この世界での死にどの程度のペナルティーがあるか不明な今、リスクを負わずに動いているため、過去のプレイングのように多少の無理をして貴重資源に手を伸ばしていないぶんだけ足りないものはある。
家とは呼べない土台だけの拠点を離れ、テイムをしつつ狩りのために移動を始めた。
目的はパラサウロロフス。
レベルの低い弱い個体は殺して皮にする。
そうすることで新たな個体がリスポーンし、高レベルを発見しやすくなるためだ。
昼時を過ぎた頃、そこそこのレベルに出会った。
パラサウロロフスのメス、レベル100。
テイムするとして、餌はメジョベリーで体感5分弱といったところか。
テイム倍率が本編の5倍の設定になっているということからの計算だが、実際のところどのくらいなのかはやってみるまでわからない。
現実世界での時間とこの世界での時間は、思考加速のシステムによって大きく違うらしい。
昨日から丸1日過ごしているが、現実では数分ほどだと聞いた。
ボーラを手に、狙いを定める。
ブンブンと頭上で振り回しながらタイミングをはかり、パラサに向かって投擲。
ガキッというヒット音と共に、パラサはその場で動かなくなった。
これで30秒は足止めできる。
すぐさまパチンコに持ち替え、頭に石を撃ち込む。
30秒経ってボーラの効力が切れ、走り出したパラサを追いかける。
1度かけるとそのあと10秒はボーラが効かなくなる。
無効時間が過ぎた頃にもう1度ボーラを当てる。
そして再度頭に石を撃ち込むこと数十発。
パラサはその場に倒れる。死んではいない、昏睡状態だ。
昏睡したパラサのインベントリを開きメジョベリーを入れると、寝たまま食べるモーションをした。
あとはテイムゲージが溜まるのを待つだけだ。
昏睡値の減少よりテイムゲージの進みの方が早いため、起きる前にテイムは終了するだろう。聞いたとおり5倍設定で間違いなさそうだ。
計算通りものの5分ほどでテイムは完了し、パラサは起き上がった。
頭上のネーム表示が黄色から緑に変わっている。
さっそくサドルをつけ、背にまたがる。
少し高いぶん視界は開けるし、なにかに攻撃されても騎乗中ダメージはパラサが受けてくれる。
一部の敵からの攻撃は騎乗者に貫通するが、大半は安心できるようになった。
荷物を持てる量もサバイバーより恐竜の方が優秀だ。
これからパラサには働いてもらわねば。
この後の段取りを考えながら帰路につこうとした時だった。