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7話 勇者との闘い

 どうしてこうなったかは分からないが、俺は勇者だと名乗るイケメンとタイマンすることになったのだが...... 流石にやばい気がする。


 俺は確かにチートスキルのおかげでバフを掛けまくることで強くはなれる。この前のレベルアップでデバフも使えるようになったし、一見最強のように見えるが俺の戦い方はいわゆる脳筋であり、相手を地面に拘束するかぶん殴るかの二択しか戦い方がない。物理無効とかデバフ無効とかの能力を使われたら簡単に戦闘不能になる。要するに俺は戦闘スキルが皆無なのである。

 

 それに加えて今回の相手は自称勇者である。自分から勇者だと名乗っているんだからそれ相応の力を持っているんだろう。Sランク冒険者ってことは戦闘のスペシャリストってことだし、それに装備もガッチガチでなんか光ってるし...... 装備全部エンチャントされてるんじゃないか?


 そんなことを考えつつ広場へと俺達は移動する。あまり迷惑が掛からないようなところへ移動したのだが流石Sランクの冒険者、やじ馬が大勢集まりとんだ見世物になってしまった。


  「まさかこんなに大勢集まるとは.... まあいいだろう、そろそろ始めようか。っとその前に自

  己紹介がまだだったな。俺はディノだ、ディノ・アルトマイアーという。」


  「わ、私はアイリス、です....」


 そう言えばまだ名前を聞いてなかったんだっけ。それにしても珍しい名前だな。ってかそういえば俺って苗字はなんていうんだ? 名前しか分かんないのって色々問題がある気がするが。


  「それでは審判はウチのユノに任せよう」


 そう言われて出てきたのは勇者パーティにいた魔法使いっぽい女の子。この子の装備も滅茶苦茶強そうで、しかも杖なんかいくらするのか分からないほど高価そうなものを持っている。

 

 ユノと呼ばれた少女がその高価な杖で地面を突き、コンっという軽い音を鳴らした。恐らく今のが開始の合図なのだろう。いよいよ戦いがはじm――


  




  「っぶな!!!! いきなり仕掛けてくるのかよ!!!!」


  「ほう、今のを防ぐとは中々やるな」


 開始の合図とともにディノは一瞬で距離を詰め、切りかかってきた。

 咄嗟に杖で防いだものの、圧倒的に力負けしていて今にも押し切られそうである。まあ、そりゃ前衛と後衛が単なる力比べなんてすれば後衛の俺に勝ち目なんてないのは重々承知しているが。


  「待って待って、何この人マジで力強すぎなんだけど!? やばいやばいシャレにならん、肉体強

  化ブースト10!!」


 想像以上の力に驚き、咄嗟に自分にバフを掛けるが....


  「いやいやいや、マジでおかしいって!! 10回ブーストしてんのにまだちょっと押し負けてん

  だけど!? 確かエレノア吹き飛ばすくらいの力あったはずだけどどうなってんの!?」


 エレノアと戦った時に力加減をミスって吹っ飛ばしてしまった時は、人間相手に10回もブースしては駄目だと気付いて気を付けるよう心掛けていた。しかしあまりの力に驚いてまたやりすぎてしまった。にもかかわらず何故かまだ押し負けている。


 衝撃の事態に頭が混乱する。確かにディノはSランク冒険者であり、自身のことを勇者だと言っていた。最初は自分で勇者だと名乗るなんてとんだ痛い奴だと思っていたが、今のこの状態で確信する。恐らくこいつは本当に勇者で、勇者ってのはやばい。マジでヤバイ。ただの力比べでこんなことになってんだから。


  「真っ向から力比べをすればすぐに押し勝てると思ったのだが.... お前、魔導士にしては力が

  強すぎる、というか異常だ。先ほどの呪文か? それにしても強すぎるが」


 勇者様は何かブツブツ話しているが俺はそれどころじゃない。力負けしそうなのを必死で堪えながら、打開策を考えるので精いっぱいだった。もう一回自分にバフを掛けるにしても加減が分からないため、やりすぎてしまう可能性がある。かといって出し惜しみしてたらこのまま押し負ける。


 何とかディノの剣をはじき返し距離をとる。今のままでは力では勝てない。かといってさらにバフを掛けるのには躊躇してしまう。ならばやるべきことはただひとつ。


  「超重力ブースト10!!」


 そう言って相手にでバフを掛ける。これで動けなくしてしまえば戦闘不能扱いになるはず、そう考えて呪文を唱えた瞬間めまいに襲われる。


  「そういえばMP回復しきってなかったんだった.... 危ねぇ、もう少しで」


  「もう少しでなんだ? 油断するとは随分と余裕だな」


 気が付くと俺の首元には剣が突き付けられていた。理解できない事態に俺はただ唖然としていた。確かにこいつにはデバフを掛けたはずだし、もし効果が薄いにしたってこんなに動けるはずがない。何故ならあの真なる竜であるリンですら地面に密着して動けなかったのだから。なのに何故こいつは何事も無かったように動いているんだ? 


  「勝負あったようですね。この勝負、我らがリーダーであるディノの勝利です」


 審判役をしていたユノという少女の声で我に返る。どうやら俺は負けたらしい。その事実は理解できたが、今目の前で起きたことがまだ信じられなかった。気が付くとその場に座り込んでしまっていた。


  「約束通り俺のパーティに加わってもらおう。戦ってみて分かった、お前は異常だ。特に最後の

  呪文、あれは強大すぎる」


  「え、全然効いてなかったのに.... 何故?」


  「俺はいくつかスキルを所持しているのだが、その中に一日に一回だけ一定以上の威力を持つ魔

  法から身を守るというものがある。それが発動していた。このスキルはそう並大抵のことでは発

  動しない、つまりそれが発動したということは.... そういうことだ」


 なるほど、そういう固有スキルを持っていたから聞かなかったのか。というかそういう可能性について戦う前に考えていたから完全にフラグだった気がするわ。それにしても強大? 超重力って別に特別な魔法でもないだろうし、そもそも俺のスキルがなかったらゴミ魔法だしなぁ.... ということはやっぱり俺のスキルはチートってことなんだろうなぁ。こっちとしては突っ込み入れたいくらい微妙なんだけどね。

 

 え、てか待て待て。負けちゃったってことは.... やばくね?


 恐る恐る仲間の方へ顔を向ける。

 うわぁ、エレノアさん滅茶苦茶キレてるよ、俺殺されちゃうよ、マジ怖いよ。リンはリンでディノに対してとんでもない殺気送ってるし.... 


  「おめでとうございます。今日から私たちの仲間ですね。光栄に思ってくださいね、普通だった

  らSランクのチームにEランクである貴方が加わるなんてことありえないんですから」


 なんてことをユノちゃんが言ってきた。うん、全然めでたくないよ。この状況を見てごらんよ、俺今にも逃げ出しそうだもの。


 いや、ほんと、マジでこれからどうしよう......................


 


 



 


  

 




 

更新が遅くなってしまいすみません。

次回の更新はなるべく近日に行いたいと思っているのですが、多忙のためもしかしたらしばらくは更新が一週間に一度くらいになってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。

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