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6話 突然の勧誘

誤字報告ありがとうございます。訂正しておきました。


 パーティに新しくリンが加わり、俺達三人はようやくギルドの前まで戻ってきた。

 

 今回のクエストは達成できなかったということで失敗扱いになる。自分にとって初クエストであったため失敗になってしまうのは少し残念ではあるが仕方がない。


  「そうだ、報告ついでにリンも冒険者登録してきたらどうかな」


  「冒険者、ですか。人間ではないわたくしでも登録できるのでしょうか?」


  「うーん、詳しくないからわからないけど.... 一応試してみようか」


 どういう原理かは知らないが、朝起きたらリンはドラゴンの姿から人間の姿に変わっていた。ただ恐らく擬態か何かで変化しているのだろうから根本的にはドラゴン、つまりはモンスターな訳だ。実際本当に登録できるかは怪しいけど.... パーティに加わるのなら登録しておいた方がいい気がする。

 というか俺はどうやって冒険者登録したんだ? こっちに来たときには既に登録されていたためそもそもどういう手続きがあるか知らないんだよな。


 そんなことを考えつつギルドの中に入ると、なぜか人が集まり騒めきが起きていた。


  「騒がしいけど何かあったのかしら。正直邪魔なんだけど」


  「エレノア様、頭に血が上りやすいのは知っていましたがこんなことでいちいちカッカしていた

  らご主人様に嫌われますよ?」


  「あんたがあたしに喧嘩売ってるのはよく分かったわ。表出なさい、相手してあげるから」


 背中の剣に手をかけていたエレノアを宥めつつ、受付まで足を運ぶと騒めきの対象となっているパーティが目に入った。

 

 そのパーティは、イケメンとガタイのいい男と気が弱そうな少女の三人組だった。先頭に立っているイケメンがリーダーなのだろう、受付嬢と話をしていた。

 

 いるだけで騒ぎになるということはこのパーティは相当名のあるチームなのだろうか。なんてことを思いながら眺めていると受付で話をしていたイケメンと目が合った。するとそのイケメンはわざわざ話を切り上げ、何故かおれのもとまでやってきた。


  「あ、あの、おr.... 私に何か用ですか....?」


 オロオロしながらイケメンに問いかける。

  

 確かに目は合ったが、それだけでわざわざこっちに来るか? もしかして何か気に障ったのだろうか。それともナンパか何かか? 

 

  「お前、見かけない顔だな。その恰好は魔導士か?」


  「あ、えと、はい。魔導士であってます。最近こっちに来たばっかりで冒険者になったばっかり

  です。」


 一応嘘ではないよね? 数日前にこっちの世界に来たばっかりだし、冒険者にもなったばっかりだし.... うん、噓じゃない。


  「冒険者になりたて? それにしてはお前、ただならぬオーラを放っているが.... ふむ、なる

  ほど面白い。お前、今日から俺のパーティに加われ」


 そう言いいイケメンはいきなり俺の顎に手をやり、いわゆる顎クイというやつをやってきた。


 何故今の流れで顎クイをされる状況になってるんだ? そもそも何が悲しくて野郎に顎クイされにゃならんのだ? ん、なんだ今口説かれたのか? え、何やっぱりナンパ?


 突然のパーティ勧誘に何が何だかわからず困惑する。いや、いきなりパーティに入れって言われてもなぁ.... 俺既にパーティ組んでるし。


  「勧誘して頂いたのは有難いんですが、私は既にパーティを組んでいますので.... 」


  「それがどうした? そんなの今のパーティを抜ければ済む話だろう」


 その言葉に俺は呆れた。一体どこのボンボンなのかは知らないが、自分の我儘が全てまかり通ると考えてる勘違いイケメンだということはよく分かった。正直関わりタイプだ。


  「ちょっと何訳わかんないこと言ってるわけ? アイリスはあたし達のパーティのリーダーなの

  よ? 抜けるわけないじゃない、我儘言ってるん無いわよ! そもそもどこの馬の骨かもわから

  ない奴に渡すわけないでしょ!!」


 俺を守るように抱きしめながらエレノアはイケメンを睨みつけた。


 女子に抱きしめられるという今の状態は普通だったらご褒美でしかないのだが、エレノアは今鎧を着こんでいるため抱きしめられるとただ固いものに押し潰されるという地獄のような状況に陥ることとなった。


  「あの、エレノアさん、痛いです。潰れます。割とガチで死にそうです」


  「アイリスは黙ってて。今この馬鹿と話してるから」


  「あ、はい、ごめんなさい」


 なんてこったい。今にも背骨へし折られそうなんですがいつまで拘束されなくちゃいけないんだ俺は。あとちょいちょい力込めないでください、体がミシミシいうとるんですが。


  「俺達のことを知らないということは、この街に来たばかりというのは本当だったか」


 何事も無かったように話を続けるイケメン。

 あ、マジでこのまま話すんですね。やべぇな、持つかな俺の体....


  「俺達はSランクの冒険者チームだ。それに加え俺は皆から勇者と呼ばれている存在でもある。

  これで分かったか?」


  「ふぅん。で? だからどうしたっての?」


 エレノアはなんかすごいサラっと流してるけど、今この人が言ったことってなかなかとんでもないことだよな? なんでそんな凄いパーティに俺がスカウトされてんの? 


  「あの、エレノアさん? この人が言ってることって結構どころかとんでもなく凄いことなんだ

  けど分かってます?」


  「アイリスは黙ってなさいって言ったはずよ。あなたが口を挟むとややこしくなるから」


 いやいやいや、俺が口を挟まないとややこしくなりそうだから言ってるんだが? やだよこれ以上面倒なことになるのは....


  「口で言っても分からないとは.... いいだろう、ならばこうしよう。今から俺と一対一で戦っ

  てもらう。もし俺が勝ったなら大人しくパーティに加わってもらう」


  「望むところよ。その代わりもし負けたらこの街から出ていきなさい」


 嗚呼、うん面倒なことになったね。もう考えることを放棄しようかなぁ。


  「よし、それじゃあ任せたわよアイリス!! あんな奴ケチョンケチョンにしてやりなさい!!」


 そう言って自信満々にイケメンを指さすエレノア。何か今恐ろしいことが聞こえた気がするが気のせいだろう。


  「またまた御冗談を。戦うのは勿論エレノアさんだよね?」


  「何言ってんのよ、あたしが勝てるわけないじゃない。相手はSランクよ? まともにやりあえ

  るのなんてあんたくらいじゃない」


 え、え、この子本当にバカの子じゃん。なんでさも自分が戦いますみたいな雰囲気で威張ってるの? 普通は今の流れだったらエレノアが戦うやつだよね? 俺の常識がおかしいの?


  「ふむ、お前が相手なら申し分ないな。表へ出ろ、早速始めよう」


 あ、俺の常識がおかしいみたいだねこれ。誰も突っ込まないし、この男も了承しちゃってるし。


 挙句の果てには唯一の望みだったリンにまで「ご主人様、頑張ってください!」なんて言われる始末。俺の味方はいないんだね、よく分かったわ。

 




  

 日本に帰りたいなぁ......................







 

 

 


 

多忙のためなかなか更新できませんでした、すみません....

次の更新もまた日が開くかもしれませんがご了承ください。

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