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5話 竜族の少女

ブックマーク、評価ともにありがとうございます。とても励みになっています。

私のこのよく分からん作品を読んでくださり、感謝しかありません。これからもよろしくお願いします。

クエストで火山地帯まで討伐に行った俺達はいきなりドラゴンに襲われ、何とか撃退したものの今度はそのドラゴンに懐かれてしまった。

 討伐対象だったヴォルカニックリザードには遭遇することが出来ず、仕方なく帰路についているのだが....


  「えと、その巨体で街まで付いてこられるのは流石に.... 恐らくパニックになると思うのでご

  遠慮いただきたいのですが....」


 そう、さっきからずっと付きまとわれている。それもぴったりとくっついて。

 流石に町まで連れて行くのは姿的にも大きさ的にも無理な気がする。いきなり街にドラゴンなんて現れた日にはそりゃあもう大騒ぎになること間違いないし。


  『なるほど、この姿だと確かに問題になるかもしれませんね.... 分かりました、解決策がない

  か考えておきますわ』


 解決策か.... 小さくなったり出来るのならペット的な扱いで何とかなりそうだ。

 そんなことを考えつつ、日が暮れ始めたので火山地帯を抜けた先にある小川の付近で今日は野宿をすることになった。

 

 ドラゴンに懐かれてからエレノアさんの期限がよろしくない。まあモンスターが仲間にいるのが気に食わないのだと思うのだが、そこまで怒ることなのだろうか....

 

  「あんたには私がいれば十分でしょ、違う!? あんな奴さっさと追い出してよ!!」


 と、晩飯の時に彼女が文句を言ってきた。ちなみにドラゴンも食事をするということでどこかへ狩りに出かけていた。そのタイミングで彼女は俺に不満をぶちまけたのだろう。


  「言いたいことは分かるけどさ、あれだけ懐かれちゃうと無理やり追い出すのもね.... それに

  彼女? は相当強そうだから戦力になると思うんだよね」


  「もう知らない!! いいわよ、あの女とよろしくやってれば!?」


 そう言いエレノアはそのままふて寝をしてしまった。

 いやいやあの女って言い方はなんなんだ.... 全く何がそんなに気に入らないのだろうか。

 俺は頭を悩ませつつ眠りについた。








 ◇








 翌朝、俺は誰かに肩を揺さぶられ目を覚ました。

 

  「ようやくお目覚めですか? 朝食の準備が整っていますので向こうで水浴びでもしてきて下さ

  い」


 俺に対して微笑みながらそう言ったのは、美しい黒の長い髪を持つ赤い瞳の少女だった。


  「ああ、ご親切にどうも。それじゃあお言葉に甘えて」


 立ち上がり近くの小川まで向かう。そういえばこっちに来てからろくに風呂に入ってなかったな。

 今は女なわけだし、衛生面には昔よりも気を使わないとなぁ。

 そんなことを考えながら川の方に目をやるとそこには――


 生まれたままの姿で水浴びをしているエレノアがいた。


  「うわぁ!! ご、ごめん、何も見てないから!!!!」


 慌てて彼女に背を向ける。

 いくら女体に転生しているとはいえ中身は男である。そんな俺に対してこの状況は刺激が強すぎる。というか理性が持たない。

 

  「何をそんなに慌ててるのよ。別に女同士なんだからあたしは気にしないわよ?」


  「俺が気にするんだよっ!!!!」


 こっちの身にもなってほしい。少しは恥じらいを持ちなさい。


  「あの、その、昨日はいきなり怒鳴ってごめんね....? よくよく考えたらあいつ人間じゃ無い

  し、何も気にすることはなかったなって....」


 なんかこの凄い状況で話し始められてしまったが勘弁してほしい。話の内容が全然頭に入ってこない。


  「いや、俺もエレノアの気持ちをもう少し考えるべきだった。昨日のことは全然きにしてないか

  ら。じゃあ俺はこの辺で....」


 とりあえず一刻も早くこの場から立ち去ろうと、そう言いながら歩きだす。しかし後ろから彼女に腕をつかまれた。


  「水浴びしに来たんでしょ? せっかくなんだから一緒に浴びましょうよ。背中流してあげるか

  ら」


  「いやいやいやそれが問題なんだよ!? ちょ、放して.... ってか力つえぇ!!」


 抵抗虚しくそのまま川の方まで引きずられていった。

 そしてそのまま服を剥かれ.... あとはご想像にお任せします....


 精神的に披露しきった後、戻ってくると先ほどの黒髪の少女が魚を焼いて待っていた。

  

  「お待たせしてごめんね。なにからなにまでありがt....」


 そこで気が付く。さっきは寝起きで頭が回っておらず、普通にスルーしてしまったが....


  「え、君、誰?」


  「ちょっと、これはどういうこと? あんたまた女引っかけてきたの?」


  「人聞きの悪いこと言わないでもらえる!? 俺だって知らないよこの子!!」


 隣でエレノアが黒いオーラを放ちながらこちらを睨んでいる。

 やめて、俺だって現状が理解できずに混乱してるんだから。


 そんな俺達を見て、黒髪の少女はクスクスと笑っていた。


  「嫌ですわお二人共、もうわたくしのことをお忘れになったのですか?」


 ん?何故か話し方に聞き覚えがある気が。確か昨日出会ったドラゴンがそんな口調だったような気がするがまさかな....


  「お気づきになられましたか? あのままの姿だと問題があるということだったので人間の姿に

  擬態してみました」

 

 まさかとは思ったが、そのまさかだった。ただサイズが小さくなるとかそんなのを想像していたのだが、まさか人間の姿になれるとは思わなかった。開いた口が塞がらないよ、うん。


  「これで問題なくパーティに加入することが出来ますわ♪ これからよろしくお願いしますね、

  ご主人様!」


  「あ、うん、よろしく.... そう言えば君の名前は?」


  「名前ですか? そう言ったものは今まで持っていませんでしたので。せっかくですからご主人

  様に命名して頂きたいですわ」


 なるほど、名前がなかったのか。というか俺が決めるの?

 何故か重大な任務を任されてしまったが、頼まれたからには仕方がない。

 うーん、竜っぽい名前がいいよな。でも女の子だしな。


  「よし、じゃあ君の名前はリンだ」


 俺は悩んだ挙句、そう彼女に名付けた。由来としては確か竜の中にリンドヴルムという名の竜がいたので、そこから頭の文字をもらってリンという名にした。女の子の名前っぽくもあるから中々いいんじゃないか?


  「リン、それが私の名前.... ありがとうございますご主人様。この名前、一生大切にいたしま

  すわ」


 彼女もリンという名を気に入ってくれたらしい。内心ヒヤヒヤしていたのでよかった。

 

 そんな様子を鬼のような形相で睨んでいる女性が俺の横にいるんですが。なんだろう、俺もしかして殺されるのかしら。


  「それではご主人様、朝ご飯にいたしましょう。わたくし魚を捕って焼いておいたんです」


 そう言ってリンは俺の腕にしがみついてきた。次の瞬間二の腕に何か柔らかいものが当たる感触がしたが.... 気にしないでおこう、理性が持たん。


 ただそれと同時にエレノアさんのどす黒いオーラがより一層大きくなり、彼女は背中の大剣に手をかけ出した。あれ? もしかして斬られる?

 

 そんなこんなで俺たちのパーティに新しい仲間が加わることになったのだった。

これからは基本的に21時投稿になると思いますのでよろしくお願いします。

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