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プロローグ

プロローグなのに長いです。ごめんなさい....

 ごめん、同窓会には行けません。俺は今、異世界にいます。


 冗談はさておき、俺は緑生い茂る森の中を全速力で駆け抜けていた。

 何故に異世界に居るのか、というのは後程説明しよう。まずは現状をご覧頂きたい。

  

  

 

 俺の名は高木渉。17歳の高校二年生だった。そう、『だった』のだ。

 今日、現代社会で一度死亡し異世界に転生した。

 転生後の世界はまるでアニメやRPGのような、モンスターの存在する世界だった。

 転生体の俺は、手にはいかにもと言わんばかりの杖を持ち、白を基調とした水色の装飾が施されたローブを身にまとっていて、いかにも魔法使いだよねと言わんばかりだった。 

   

 転生後に俺は町を目指し森の中を歩いていたところ、体調が3メートル位ある、角の生えた筋骨隆々のゴリラ型モンスターにばったり運命的な出会いをしてしまった。エリアボスか何かかな? 初陣で出会うモンスターじゃないよね? 涎垂らしてるし、明らかに俺を食おうとしてるよね? 

 

 しかし慌てることはない。異世界転生ということは、俺TUEEEがお決まりなのだ。きっとこんなやつ瞬殺だろう。ゴリラに向けて俺は杖をかざして、まあ魔法と言ったらアレだよなと思い、その呪文を唱えた。


  「火球(ファイアーボール)!」


 しかし何も起こらない。

 

 あれれ? いかにも魔法使いといった格好をしてから魔法使いだと思っていたのだが。俺TUEEEの魔法使いだったらこれくらい出せるはず.... てか火球(ファイアーボール)って初級の魔法だよね?


 するとローブから一枚のカードがヒラヒラと落ちてきた。

 もしかして冒険者カードか? そうだった場合、ステータスとか書いてあるんじゃないだろうか。 

 そう思い俺はそのカードを拾い上げ、目を通す。


 


 名   アイリス 

   

 階級  E


 スキル 補助魔法重複化  

 

 職業  魔導士


 使用可能魔法 回復(ヒール) 肉体強化 脚力上昇    


 攻撃力 - E  防御力 - E 脚力 - E 魔法攻撃力 - E 回復力 - S

 魔力量 - E  補助魔法効率 - S




 へー、本当にゲームみたいな表示のされ方するんだねー。いやいやそこは重要じゃない。

 うん、アイリスって誰だよ。俺今アイリスなの? しかもステータス的に完全に俺サポーターだよね? 魔導士なのに? 異世界転生ってさ、勇者になったり魔法使いになったりして無双するんじゃないの? 見る限り間違った方向に俺TUEEEしてない? 攻撃魔法ひとつもないじゃん。回復魔法とバフでどうしろってんだ。杖で殴りゃええんか? 無理無理、戦えないじゃん。え、転生して数十分でまた死ぬの?

 

  「まあ考えても仕方ない、やることは一つだ」

 

 俺はゴリラに背を向け、補助魔法の一つである脚力上昇を自分に施し......................


 全速力で逃げ出した。


  「こんなの勝てるかっ!!!!」 


 嗚呼、どうしてこうなったのか。

 

 時は一時間ほど巻き戻る。








 





 ◇













 思い返せばいつからだっただろうか。

 

 俺はクラスで浮いた存在になっていた。


 実際のところ浮いているなんて言うのは可愛い言い方で、はっきり言ってしまえばクラスの全員からいないものだとして扱われている。話かけても反応すらしてもらえない。


 きっかけは不良グループにイジメられていた同級生を庇ったことだった。


 それ以来今度は俺が目を付けられる形となり、俺に関わる事で次は自分が同じ目に合うのではないかと考えたのであろうクラスメイトからは無視をされ続けている。

 

 ターゲットを俺に変えた不良グループは度々金をせびりに来るようになり、拒否をすれば殴る蹴るの暴行を加えられる。そんな日々が続いていた。


 だがこれでいいのだ。俺が標的にされていれば、俺さえ我慢していれば他の誰も苦しむことはないのだから。

 

 逆にあの時もし見て見ぬふりをしていたらきっと後悔していただろう。


 昔の、彼女の時のように......................

 






 





 気が付くと俺は真っ黒い空間にいた。上も下も分からない、ただただ暗い空間に。

 ここは何処だ? 一体なぜこんなところにいるのか

 考えていると俺の背後から突如として声がかけられた。

 

  「お目覚めですか?」

 

 驚き振り返ると、そこにはこの世のものとは思えないほどの美貌を持ち、純白の衣装を身にまとった女性が立っていた。ただ彼女の背中には二枚の翼が生えており、その翼が彼女は人間ではないことを物語っていた。

  

  「天使......?」

 

 思わずそう呟いていた。

  

  「はい、そう思ってもらって問題ないです」

 

 天使は微笑みながら続ける。

 

  「あなたは何故ここにいるのか、その理由を覚えていますか?」

 

 そう問われ、俺は記憶を遡る。この場所で目覚める前の、直前の記憶を。

  

  「....あ」

 

 そして思い出した記憶により、自分は既に死んでしまっているのだという事を瞬時に理解した。

 

 その日もいつもと変わらず暗い学校生活を過ごし、帰宅しているところだった。

 すると突然、一台の乗用車が俺の前を歩く女子生徒の元へ突っ込んで来た。

 飲酒運転か、はたまた居眠り運転か。どちらにせよいきなり突っ込んで来たその車に対し、女子生徒は反応することができていなかった。


  「危ないっっ!!!!」

 

 気が付くと俺はその子のもとに駆け寄り背中を突き飛ばした。

 

 次の瞬間激しい衝撃が俺を襲い、そこで記憶は途切れていた。

 

  「思い出したようですね。そうです、あなたは本来亡くなるはずだった女性を庇い、命を落としまし 

  た」


 その言葉に安堵した。庇ったということは、女子生徒は無事だったのだろう。

 と思った矢先、ふと疑問が浮かんだ。

 

  「亡くなるはずだった......?」


  「はい、本来でしたらあの事故で亡くなるのはあなたではなく、女性のほうでした。 つまりあなたの死は我々の予想外だった訳です」

 

 予想外....か。そんなことを言われたところで、今更どうしようもないだろう。女子生徒を庇い俺が死んだというのは紛れもない事実なのだから。


  「ひとつお聞きします、なぜ彼女を庇ったのですか? 彼女はあなたがひどい目あっているのを理解しながらも、わが身可愛さ故に見て見ぬふりをしていた。つまりイジメに加担していた加害者側だった訳です。そんな彼女を助ける理由など無いはずですが」


 天使は俺の取った行動が理解できない、といった様子で訪ねてきた。

  

  「きっと後悔したくなかったんだと思います。あの時俺は彼女を助けられる距離にいた、にもかかわらず何もせず彼女が亡くなるのをただ見ているだけだった。なんてことになっていたら多分俺はまた自分を責めることになったでしょう」


 淡々と、そう答えていた。

  

  「もう嫌なんです.... 助けられるはずだったのに、俺の勇気がなかったせいで誰かを見殺しにしてしまうのは」


 そう、もう嫌なのだ。あの時のようなことは。

  

  「なるほど、よくわかりました。ただ少しだけ困ったことになっておりまして.... 今回のあなたの死亡という事実は完全なる予想外であり、事前に予測できなかったという事に関しましてはこちらのミスということになります」

 

 天使は続けた。 


  「記録上あなたの寿命はまだまだ残っているということになっているので、こういったケースの場合は素直にあなたの魂を天界に送ることができないのです」

 

  「寿命が残っている.... ということは人それぞれ予め寿命が決まっているのですか?」


  「絶対とは言い切れないのですが、ある程度は決まっており、記録されていると考えて頂ければ」


 つまりは俺がとった行動は天界側も想定してなかったため今日この日が俺の寿命だとは考えられていなかった、ということか

 まあ、あの時とった行動に関しては今でも間違っていたとは思っていない。しかしその行動によって天界側を困らせてしまったのも事実だ。少しだけ申し訳ない気持ちになった。


  「今回のことはこちらの落度ですのであなたが気を病む必要はありません。ただひとつ、お願いしたいことがあるのです」

 

  「お願いですか? それは今の俺に出来ることなのでしょうか」

  

  「はい。お願いしたいのはあなたの転生についてです」

 

 その言葉を聞いて目を丸くした。

 アニメなどではよく聞く転生が現実世界でも可能だということに。


  「普段でしたら寿命をまっとうした魂は、天界で『個』が取り除かれ新しい魂としてまっさらな状態になり、その後に転生するのです。こうして魂の循環が行われるのですが.... 今回の場合はイレギュラーでありあなたの魂は寿命が残った状態です。こういった魂の場合、『個』を取り除くのは非常に困難であり、様々な手続きが必要になるのです」


 なるほど、わからん。

  

  「ですので一度『個』を取り除かずそのままの状態で転生していただき、本来迎えるはずだった寿命をその転生体で迎えていただきたいのです。『個』を取り除かないため、あなたの自我や記憶はそのまま引き継がれます。ただし転生先の指定は出来ないため、完全なランダム制ということになってしまいます」

 

 つまり『俺』として転生できるわけか。ただ、一か八かのランダム転生となると即答しかねる。

  

  「えっと、その選択肢を断ることは可能なのでしょうか」

 

 どうなるか分からない状態であるため、不安からそう問う。


  「断っていただくことは可能ですが.... そうした場合は手続きが完了するまでこちらでお待ちいただくことになります。どれ位かかるかは今まで前例が無いので、こちらとしても分かりかねます」


 申し訳ございません、といったように天使は頭を下げた。

 

 選択肢は二つ。ランダム転生を受け入れるか、この暗い空間で時が来るまで過ごすか。

 そもそも赤ん坊からやり直すのか、ある程度成長した状態からなのかそれも分からない。

 でもまあよくよく考えてみれば、俺は一度死んだのだ。なのに記憶もそのままに生き返るチャンスをもらっている。断る理由などあるのだろうか。


 覚悟を決め、俺は口を開いた。

 

  「転生、お願いします。」


  「招致いたしました。では早速、転生の儀を始めさせていただきます」

 

 天使はそう言って手をかざすと、俺の足元に魔法陣のようなものが形成された。


  「それでは第二の人生をお楽しみください」

 

 その声とともに俺は眩い光に包まれていき、同時に目の前が真っ白になった。

 








 ◇










 眩しかった光が落着いて行き、俺は目を覚ました。


  「ん.... ここは....?」

 

 気が付くと草木が生い茂る森の中の、湖の畔に倒れていた。

  

  「ということは転生は完了したのか? っとなると気になるのは......」

 

 そう言って体を起こし、湖を覗き込んだ。

 

 するとそこには―


 髪はブロンド色のショートヘア、すらっとした腕に細い指でシミひとつない白い肌。胸には立派な果実が二つ付いており、いかにもRPGのキャラクターですと言わんばかりの装備を身にまとった美少女の姿があった。


 え? 転生先ってもしかして異世界なの? 魔法あったりモンスターいたり的な? 俺だけチート的な? いやいやそんなことよりもっと大変なことが起こってるよね。

 

 「なんで俺、女なんっっ!?」

 

 あ、なるほどね。転性ってそういうあれか。生の方じゃなくて性の方が転しちゃうことか...... なるほどねー っておい。

 

 確かにね? 転生先はランダムだとは言われたよ? だからってこれは......................

 





 お父さん、お母さん

 

 俺は今日、転生したと同時に転性してました。



初めまして。メメント・森と申します。物騒な名前ですみません....


今回のこの作品が私の代一作にして初めて書いた小説になります。

そのため文脈がごちゃごちゃしていたり、誤字脱字があったり、と様々な問題が発生しているかもしれませんが暖かく見守っていただければと思います。


少しでも面白いと思ってもらえれば幸いです。次回も読んでいただけるとありがたいなぁ....と。


更新もなるべく早くやっていきたいと思うので、ぜひよろしくお願いします。



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