008 世界の常識
「さて、あらかた話は聞いたので、続いて説明に移りますね。」
そう言ってベレルは宙をタップして紙とペンを消した。
どういうこと?
「ふふ、まずはここからですね。右京様、左上になにかバーみたいなものが見えませんか?」
俺の驚いている反応を見てベレルがそう言った。
その言葉に頷いて、自分の視界を見る。
すると、いつもはなかったバーみたいな何かがあるのに気づいた。
嘘、なにこれ。
目にゴミでもついてるのか?
そう思って片目を抑えるけど、その表示は消えなかった。
緑色のバーとそれより短い青色のバー。
それが左揃えで見えた。
「ある。二つ。青と、なにか別の色」
「それです。上は緑色です。上は体力を表していて、下は魔力を表しています。使ったり、攻撃されると減ります。体力はダメージによって色が変わります。負傷は黄色に、重症は赤色になります。この体力が無くなったら本当に死んでしまうので、気を付けてください。回復方法として、ポーションを使ったり、回復魔法を使うと回復します。魔力はポーションや自然回復で回復します。魔力は暫くたては回復します。回復だけに専念すれば多少は早く回復します。」
「ほうほう。骨折とかもポーションで治るの?」
「はい。大ポーションで殆どのことは回復します。通常のヒーラーの回復魔法でも回復します。右京様が骨折したときは僕が直しますからね!」
「ふふお願い」
ドヤってするベレルに言うと、頷いてくれた。
「そして、体力バーの上に名前とレベルが出ます。名前だけならば、他人も出ますよ。僕の上にもベレル=アトアって白の文字があるでしょう。右京様の頭の上にもUKYOってありますよ。で、自分の名前に注目すれば、ステータスが見れます。体力も数値化されます。」
「ホントだ。俺、レベル1で体力1300で魔力900だ...これって少ないの?」
「...普通下、ですね。ただ、勇者様は伸びしろが凄いと聞きますし、これからですよ!」
「...ベレルは?」
「僕は...レベル21で体力5800くらいで魔力が6000程でしょうか...ヒーラーを選んでいるので体力があまり伸びませんので。それと、魔力に極振りしてるので、他のヒーラーより多い自信はあります!」
「俺と全然違う。」
「それはそうですよ。レベル至上主義ですから頑張りましょう。レベル10で職業選択が出来ますから。それまでは全員一律で体力300、魔力100で上がっていきます。」
その後ベレルから魔力の説明を受けた。
魔力と言うのは、ライズという魔子からなり、それの総体や量を魔力と言うらしい。
ライズは体内や空気中に存在しており、魔力の回復は空気中のライズを吸収して行う。
ライズは地下からあふれ出てきていて、強い点や弱い点がある。
強い点は魔物が多いらしい。
あと、魔力は使いこなせるかは別として差はあれど全員が持っているらしい。
魔力は戦闘や生活に使うものが多くをしてめているけど、体内に動きを維持するものとして多少あるらしい。
魔力は多少なりとも人の元気になるみたいで、それまで魔法に使い、ライズが枯渇すると動けなくなるから注意が必要だ。
「ライズの説明はこれくらいです。分からないことがあったらその都度聞いてくださいね。そして、次はアイテムボックスです。下の方に白い点が3つあるのが分かりますか?」
「うん。ある。」
「それをタッチしてください。」
半信半疑でこう?と宙をタップすると、目の前にウインドウが現れた。
「それがアイテムボックスになります。感覚で言えば異界に物を預ける感じでしょう。紛失は一度も起こったことがないので、安心してください。ボックスの種類は左から、全て消費武器装備重要その他になってます。恐らくなにか入ってますよね?それを取り出してみましょう。アイコンをタップして見てください。」
「うん。」
言われるがままに、一つだけポツンとあった何かをタップする。
すると、アイテム欄の隣に写真と説明が現れた。
「ライズ回復小ポーション...」
「それを取り出してみましょう。説明欄の右下に取り出すと捨てるとい文字がありませんか?」
「ある。」
「取り出すを押してください。」
言われたとおりに取り出すを押す。
すると、アイテム欄が消え、手に青色のポーションが握られていた。
「すごっ!」
「ふふ。そうやって取り出します。戻すときは同様にアイテムボックスを出して、空欄を押して預けるを押せばオッケーです。長押ししたらまとめて出せます。あと、パーティとマップの説明を。アイテムボックスの右の白い点はパーティです。近くにいる人とパーティを組むことが出来ます。僕の名前をタップしたら、招待をおくりますかとなるのではいを押してください。そして僕が承認したらパーティとなります。自分のバーの下に僕のバーが出ます。これは経験値が一緒になったり、すぐに人を見つけられたりしますよ。あと最後の白い点はマップです。行ったことあるところは見えるようになります。地図で見ただけなら町の名前などが出ます。アップも出来ますから、見ててくださいね。」
一気にベレルは喋る。
俺はなんとかそれを覚えて、実行した。
それから多少教えてくれた。
「では、僕は帰ります。隣の部屋にいるので何かあれば声をかけてください。明日は8時には起床願います。」
「うん。」
では、と言ってベレルは出て行った。
俺はベッドに座った。
本当に異世界に来たんだな...
ついさっきまで、あの部屋にいたなんて信じられない。
色んなことが違う。
自由さが色が人が全部違う。
世界は広い。
...あの部屋はもしかしたらおかしい場所だったのかもしれない。
だけど、俺はあの部屋で人を救うことが出来て楽しかったし、誇らしかった。
左京はどうなんだろう。
というか左京は無事なんだろうか。
ベレルが言って探してくれると言ってたけど、不安だ。
腹切られてたし、出血死してたらどうしよう。
不安に駆られて出ていきそうになるけど、ぐっと抑えた。
きっと大丈夫だ。
左京のことだもん。
ヘラって笑って出てくるさ。
俺を甘やかしてくれる。
そう思いなおして、そのまま布団を被った。
電気よ消えろって思ったら電気が本当に消えて、感心した。