再開
アルシアが、魔法で燃えていた木を消火してくれたのだ。
「ああ、俺は大丈夫だ……」
そんな顔を近づけられたら困る……
俺は顔を逸らして返事をする。
「もしかしてあの勇者のアルシア様ですか!」
シアがここまでにないくらいはしゃいでいる。ファンなのだろうか? それなら魔王を嫌っているから、反応が悪いのかもな。確かに前までは世界を滅ぼそうとしたしな。
「うん、そうだけどあなたは?」
「あっわっ私はシア・ルーシャです! よっよろしくおねがいします!」
俺とじじいの時はシアだけだったんだがな。
「お前服ボロボロだが、怪我はないのか?」
狼が言っていたが、あの魔力のドラゴンと戦ったんだもな。これは気になるとかではなく、じじいの孫だから心配してやっているだけだからな!
「うん、それはアデル君が治してくれたからか、それより私行かないと!」
そしてアルシアはドラゴンのほうに飛んで行った。あの魔法は何なんだ、あんな速く飛べる魔法があるのか。
「うっ……」
急に体に痛みが走った。なんだこの魔力は? あのドラゴンと比ではない。魔力でダメージなど受けるものなのか……
シアも顔色が悪くなっている。恐らく魔力を正確に感じられる者ほどダメージが多いのだろう。
まさかじじいか……?
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ドラゴンの口から光が溢れ出たし数瞬後、そこから炎が放たれた。
「魔力分解」
しかし、それは発動された魔法陣に衝突すると同時に光となってわしに取り込まれる。
これは魔法の術式に干渉して破壊して壊れた術式から放たれる魔力を吸収しているのだ。ドラゴンが単純に炎を吐き出すだけなら、これは通用しない。しかしドラゴンは体内の魔力で体内に魔法陣を作りそこから発動しているので魔力分解が作用するのだ。
しかしドラゴンも体外で魔法を発動出来るので毎回これが効くわけでないのじゃがな。
反撃じゃ、さいていでも最低でも100回は殺さなければ、アルシアを傷つけた罪は消えぬな!
「光絞蛇」
ドラゴンがわしに向かって走ってきていると、わしが地面に展開した魔法陣から光の大蛇が3匹現れた。
そして、3匹の蛇はドラゴンに巻き付いた。この魔法は昔、わしがまだ若かったころにある神に対抗するために編み出したものじゃ。まず対象に巻き付き少しずつ絞めつけていくのじゃ、そしてある程度時間が経てば体が木端微塵に引きちぎられる。しかしこの魔法はそれだけではない、巻き付いているところが少しずつ溶かされていくのじゃ、魔力すら溶かすので体に大量の魔力を抱えているドラゴンには人間以上に効果が高い。
ガアァァアア!
絞めつけられて体がちぎれる痛みと体が内部から燃えるような痛みがするのじゃ、拷問にはもってこいの魔法じゃ。
では殺す前に尋問を始めるか。
しかし、ドラゴン種は知能が人間より高く対話はできるはずじゃ。つまりそれができないのは何らかの魔法で操られているか暴走させられている可能性がある。
実際にこの魔法を展開して気づいたのじゃが、ドラゴンの体内の魔力に闇が混じっている。これは闇魔法で何かドラゴンにしたのじゃろう、闇魔法は術者をも蝕む魔法で使う者は少ないのじゃ。しかし、稀にそれで体が影響がない特異体質のものがいるのじゃ。
そして昔、わしに敵対していた者の中に何人くらいかその特異体質の者がいた。もしかするとその奴らがわしか分からないのじゃが、それも考えておこう。アルシアにまた危害を加えるなら許さんがな。
しかし、それ以上に問題がある。それはドラゴンはここにいるということじゃ。それはおかしいのじゃ。何故なら昔、ドラゴン種は違う世界に移住したからじゃ。
昔、人とドラゴンの間で戦争が起きた。そこでわしとその時のドラゴンの一部のもので犠牲を出しながらもその戦争を止めた。その戦争の発端は一部の若いドラゴンたちが、人族の村を襲い人を何人も食べたことだった。普段ドラゴン種は魔物を食べるが、ドラゴンの数が増えその分餌になる魔物の数が減りそういう事態が起きたみたいだ。
そこでわしはドラゴンと協力して世界規模の大きさの結界の世界結界と呼ばれる疑似的な世界を別次元につくってドラゴン種は移住したのだ。
『おい、お前はどうやってこっちに来たんだ?』
「グルルルゥゥ……」
取り敢えず竜語で話しかけたが、痛みで話をしてくれない。仕方ないから、少し弱めるかの。この魔法で魔力の中の闇は取り除いたから話せるはずじゃ。
『痛いです……』
話せるようになったみたいじゃ。早く色々と、吐かさねばいけないから魔法は消せないのじゃが。
『それで、お前はどうやってこっちに来たんだ?』
『えっ人……? この魔力は、あっアダムさんですか!』
『うん? お前は……?』
このドラゴンの魔力を改めて確認してみると昔と少し変わっていて少しわかりづらかったが、それは随分懐かしい魔力だった。
まさかのドラゴンを一瞬で制圧。