魔王大活躍(?)
〈魔力侵食虫〉
それは人間、魔物に寄生する珍しい虫で宿主の魔力を吸収し、その代わりに宿主に成長を促す薬のような物質を提供する、そうすれば宿主の魔力量も増えて虫にも利益が出てくる。また宿主が死にそうになるとその物質を一気に放出して成長いや進化させようとする。
そして今この魔物はその魔力侵食虫に寄生されている。
ガオォォーーーーン!!!
魔物が近くにいた生徒を振り払い、大きな雄叫びを上げた。魔力量はざっと10倍かの。
「魔力侵食虫!? 行かなきゃ!」
アルシアが右手に聖剣を呼び出し、剣を構える。
ちなみにこの世界には、聖剣とは別に魔剣も存在する。
聖剣は皆の思いや祈りが集まり剣になったもので一方、魔剣はすでにある剣に皆からの思いや1人の強い思いが籠り魔力を帯びるようになった剣じゃ。
「お姉ちゃん、待って! ここは魔王の働きを見ようよ、あの強さなら十分単独で戦えるさ」
「でも他の人が!」
「空間守護」
次の瞬間、わし、アルシア、魔王以外の人を薄い青色の硝子の様なものが覆う。
じゃが、強度は硝子とは比べ物にならないくらいで強いのじゃ。そして一定の魔力までは吸収して逆にその障壁を強くする。
これであの魔物は、生徒らには手出しを出せない。仮に蹴ったとしたらタンスの角に小指を打つほどの痛みが襲うじゃろう。
「頑張れ! 子犬君!」
もう王ですらなくなった。
この魔力があまりない状況で戦えば、魔王は魔力を節約することを学べてこれ以降効率がいい魔法を使えるようになるじゃろう。そしてあまり周りから良くない魔王の印象が良くなるのじゃ。
これはあくまでアルシアの近くにいるからアルシアの印象が悪くならないようにという意味じゃ。
「子犬ではない魔王だ!! じ、アデル!!」
死刑決定じゃな。
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言い間違えちまった、また殴られる。
まあ今はいいか、それよりあのクソジジイ俺に魔物をなすりつけやがって。魔力ねぇんだよ! お前のせいで、だがここでやるのが魔王だ!
「こいよ! デカブツ」
さっきより2回りくらい大きくなって更に大きくなった図体をこちらに向けた。
使える魔法は限られる。ギリギリ基本魔法の上級魔法が数回使えるかどうかくらいの魔力しかない、初級魔法か中級魔法でこいつにどれだけのダメージを与えられるか。それは分かりきっている、倒せるわけがな……いや、じじいが魔力効率が悪いと言っていたな。試してみるか。
初級魔法の魔術式と中級魔法の魔術式を組み合わせていったら少しは強くなるか。予想どうり少なめの魔力で効果が上がった。
「フハハハハハ!! 食らいやがれ! 初級火球術式!」
中級魔法より少し弱めの火球が魔法陣から放たれる。
放たれた火球はこいつの前足にぶつかり体制が崩れる。
「その程度かーー? 子犬君ーー?」
「だまりやがれーーー!!」
こうなったらもっとヤバイ魔法ぶちかましてやる! アレを改良したらいけるか?
逃げ、いや戦略的撤退をしながら俺は魔術式を組み立てる。闇の蔓延る灼熱地獄を改良していく、必要な魔力を少なくなるようにこの際威力は多少下がってもいい。
バチバチバチッ
出来た魔法陣がはち切れた。
「くそっ出来ない」
何が足りない? 込めた魔力に耐えらず簡略化した魔法陣は壊れたのだ。
本来ならここで魔法陣を何重にもしてお互いに共鳴させて強度を強めるのだが、それは今の魔王はそれを知らない。
「何!?」
魔物は体内魔力を凝縮して魔力のレーザー砲を放ったのだ。その威力は軽く山を吹き飛ばすほどだろう。
どうせじじいは助けてくれないだろうし、もう避けられない。俺がどうにかしなければいけない。だが相殺できるほどの魔法は今使えない、なら魔法自体を消せばどうだ? いや出来な……いや、あのじじいが俺の魔力を消した魔法はそういうものじゃないのか! 体で感じたあの魔力が分解された感覚を魔力で再現できないか。今はやってみるしかない!
「魔王の底力見せてやるよ! うおぉぉぉーー!!!」
見様見真似で作った魔法陣を展開すると、頭に断片的な記憶が流れ込んできた。
俺はレーザー砲が当たる直前に魔法を発動した。
「魔力分解!!」
そしてレーザー砲が光の結晶となり砕け散った。そこで分解された魔力を使う!
「食らえ! 魔王奥義! 闇の蔓延る灼熱地獄!!」
漆黒の炎が、魔物の地面から這い上がり魔物を捕食する様に纏わりついて魔物を焼き払った。
「これが魔王の力だーーーー!!」




