魔王撃沈
更新遅くなって申し訳ありません。
わしは、今グラウンドにおる。
子犬は死んだような顔で部屋からわしと出てきた。アルシアはそれを大丈夫!? と話しかけたのじゃが、わしが口止めしたので公表されることはなく、代わりにわしは二段ベットの上から落ちたと伝えたのじゃ。そのまま魔王は反論できないまま現在に至る。
では見学じゃな! アルシアには一緒にシアをはじめとしたクラスメイトの戦いを見てアドバイスを考えて教えてあげようと伝えてある。これはアルシアがアドバイスする事によってアルシアの評価がぐんっと上がることを想定してじゃ、わしながらいい計画じゃ!
「お前ら! 準備はいいか!」
誰も答える暇なく、グラウンドの中央の檻が開けられ、獅子の魔物がそこから出てきた。体長7メートルくらいでなかなか迫力があった。
念の為魔王を見張っていると、何やらぶつぶつ言いながら魔法陣を作っていた。魔力効率は相変わらず酷いが、獅子の魔物を倒せるくらいの魔法を使おうとした。
「それだと、みんなの訓練にならないな 魔力分解」
「死ねぇ! あれ……もう一度! 死ねぇ! 何でだよ! まさか……」
まず、魔力分解で魔法陣を破壊、そして魔王の体内の魔力を8割近く分解したから丸一日くらいは、多く魔力がいる魔法を使えないようにしたのじゃ。
獅子の魔物は、真っ先に叫んだ魔王に突進する。かなりの速さで、遠く離れているわしらのところまで少し風が届く、目の前で見ればそこそこ迫力があるじゃろう。
「来るな! このクソじじいが! ぐふぁっ!」
魔王は逃げることできず、吹き飛ばされた。
「おぉ! 結構飛ぶな」
3メートルくらい吹き飛ばされた。
今度魔王で投擲の練習をしても良さそうじゃの。
まあ教師陣が全員に防御魔法をかけているからあまりダメージは無いし、痛みも無いが、魔王には痛覚が3倍くらいになるように魔法を施しておるから痛いじゃろうがの。
「アデル君なんか顔怖いよ?」
アルシアがわしの顔を覗き込んできた。ついつい面白くてな。
「そう?」
平然を保たねばの!
「なおったかな、それよりガルダルム君どうして魔法を使えなかったのかな? 魔法陣出来てたのに……」
アルシアは頭を下げて考え込んだ。
「結構迫力あって、緊張で上手く使えなかったんじゃないのかな?」
わしの出せる最高の演技で、アルシアに伝える。
「確かにあるかも……」
納得したようで、今度はシアに目を向けていた。
シアはまあ逃げ腰じゃの。
「吹き荒れろ! そしてぶっ飛べ! 初級風球術式!」
なんじゃ! あの詠唱は! 詠唱は時間がかかるし、的確な詠唱でなければ魔法の効果も激減する。
トマト3個分くらいの大きさの風球いくつかが獅子の魔物に向かって飛んでいき命中する。
しかし、分かりきっているがポンッと衝突して消滅した。
いや流石にそれはどうなんじゃ? 恐らくこの中でも弱い方なのじゃろう、恐らくC組じゃろう。しかし、シアは無詠唱じゃったんだがな、少し気になり再度シアに目線を送る。
シアは今弱い魔法を打ち魔物の気を引いた青年とは離れた距離におり、今魔法陣を構築しているようじゃが手元が魔法ではない何かが光ったような気がしたが問題なく魔法陣を組めたようじゃ。
「上級火球術式」
直径3メートル弱の炎の球が物凄いスピードで魔物に向かって飛んでいき、魔物があの青年に追いつく前に直撃した。
ズドーン! 魔物が地面に倒れこんだ、かなりダメージが入ったようじゃ。しかし、やはり無詠唱である。
としてあそこまでの魔法をシアが作れるとは思わない、確かに時間をかけて魔法を構築していたのじゃがこれが出来るなら、昨日の猪の魔物程度の弱い魔物なら仕留めるほどの魔法を一瞬でも使えるはずじゃ、確かに魔法陣に無駄が多くあったとはいえ上級魔法を使えるというのはシアにとっては不自然なのじゃ。あとで聞かねばな。
すると、戦意喪失気味だった生徒も倒れた魔物にここぞとばかりに渾身の謎の詠唱と共に出せる最大の魔法を打ち込んでいく、全体的に弱い魔法じゃが、これだけ同時に降り注げばそれなりの攻撃手段となるじゃろう。
すると魔力を使い切ったのかシアがふらっとして倒れ掛かった。
「大丈夫か? 先の魔法はなかなかだったぞ、この魔王が認めてやる。後は俺に任せろ!」
「あっおかあさ……」
シアは何かを言いかけて意識を失った。どの口が言いとるんじゃとツッコみたくなったがそれは良しとして今から何をするんじゃ魔王は? もう魔物は……? これは……
すると魔物に空気中の魔力が集まっていく、魔物は禍々しい闇に覆われていった。
「少し厄介な事になったの」




