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異世界創造のすゝめ~スマホアプリで惑星を創ってしまった俺は神となり世界を巡る~  作者: たまごかけキャンディー
第四の創造~創造神編~

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未知の来訪者4


 ケモミミ同士の仁義なき戦いが収束し、神殿の壁で伸びている紅葉をベッドまで連れて行きオフトンに封印した後、さっそく自己紹介という事でミゼットとデウスに集まってもらった。


 お互い言葉が通じない事からスムーズにという訳にはいかなかったが、俺が間に入って通訳を行う事でなんとか状況を理解する事が出来たと思う。

 主にシーエには3人が仲間であるという事と、先ほどノックアウトした変なのはおにぎりへの執着により我を失っていたという事を話した。


 こちらの紹介に関してはシーエの理解力もあり大した労力は掛からなかったのだが、問題はデウスとミゼットの方だ。

 二人はまるで奴隷のような首輪やボロ布を纏う子供に対し、俺がどこかから仕入れて来たのだと思い込んだようで、説明する暇もなく質問責めに会ってしまった。



「で、これはどういう事なの? 事と次第によっては殴るわ」

「そうですマスター。配下を増やすなとは言いませんが、奴隷などという契約で縛られた弱者を強制的に従わせていたとなれば、マスターの名に傷がつきます。即刻リリースするべきです」


 言いたい放題である。

 こんな格好をしていればそう思うのも無理はないが。


「いやまて、何度も言うがこの子供は奴隷ではないから。特殊な事情があり別世界から漂流してきたであろう異世界人なんだよ。詳しい経緯は今から本人に聞くつも────ぬおおおっ!」

「あら、そうだったのね。てっきり人攫いの片棒を担いだのかと思ったわ。そういう事は早く言いなさいよ。思わず手が出るところだった」


 いや、手はもう出てるから!

 わがままの為に暴力を振るう事は無くなったが、正しくないと感じた事に対してすぐに制裁を加えようとする喧嘩早さは相変わらずのようだ……。


 ちなみにダメージはない。

 寸前でブレーキがかかったようで拳は命中せず、俺の眼前で停止している。

 当たっていないので、本人としては手を出す前に踏みとどまったの範疇に入っているのだろう。


 まあ、これもミゼットの真っすぐな性格故なので大目にみよう。

 曲がったやり方が嫌いな正しい心を持っているとも解釈できる。


 ただ、リプレイモードによる公開処刑に続き、紅葉の突撃とミゼットの剣幕を見てしまったシーエだけは顔面蒼白で、「もしかしてこの世界ヤバいんじゃね?」といった様子で震え始めてしまった。

 マジですまん。


「荒廃と争いに満ちた世界……?」

「いや、マジですまん。でもそれは違うから。言い訳をするなら、これは偶然に偶然が重なっただけだから。本当だから」


 この状況で言っても説得力が無いけどね!?

 しかし、知性的で賢いと思われるシーエなら分かってくれるはず。


「大丈夫。たとえどのような境遇でもワ、ワタシは任務を全うする所存……」

「はい……」


 やっぱダメだった。

 さもありなん。


 だがここで俺がショックを受けていても話がややこしくなるだけなので、気を取り直して今やるべき事を優先する。

 まずはシーエがどのような経緯でこの世界に来ているのか、詳細を聞くところから始めよう。


 奴隷ではなく異世界人だと理解した二人もそこらへんの事に興味があるようで、先ほどとはまた違った真剣さで様子を見守る。


「それで、君は何でエルフの里に居て、そこで暴れていたんだ? 異世界転移の目的は聞いたが、そうなった経緯と関係があるのかな? まずはそこをハッキリさせておこう」

「ふ~む」


 俺からの問い掛けに対し、再び思案気な表情になり指で顎をさすりはじめた。

 このポーズに関しては全く威厳がないんだけど、本人はかなり気に入っているのようで若干ドヤ顔が混じっている。


 たぶん組織とかいうのに所属している大人から学んだ仕草なのだろう。

 見本にしたのは研究者の男性か何かかな?


 そしてしばらく考え込み、うむうむと唸っていたシーエが結論を出した。


「詳細を語るには込み入った事情があり、組織の判断に委ねるべき部分が多く、全てを語る事はできない。しかし、ワタシが暴れた経緯に関しては説明可能」

「そうか。シーエがそう言うならその通りなんだろう。無理はしなくていいから言える部分だけでも教えてくれないか?」

「わかった」


 異世界転移の経緯が明かせないと言うのはつまり、創造神との取引内容は企業秘密だと言う事なのだろうけど、この可能性は想定済みだったので特に問題ない。

 シーエは本人曰く実験体であり使い捨ての組員とも語っていたため、様々な意味で権限的なものがないのだろうという事は察していた。


 喋れる部分は説明すると言っている辺り、友好的な存在である事は確認できたので良しとしよう。


「まず前提として、ワタシは取引の為にこの世界の創造神と組織の橋渡しを大目標としている。故にこの世界に転移する場所は、研究と調査によって最も創造神と因果の濃い場所にすると決められていた。具体的にはマナと呼ばれる世界創造と維持の力を持ったエネルギーの残滓を参考にしている」


 すらすらと語られるシーエの言葉に色々と追いつかない所があるが、ようするに俺の出現地点を予測して、確率の高そうな時代と場所に飛んできたという意味なのだろう。

 まずそこまでの技術がある事に驚きだが、別世界の創造神と取引をしたいといっているのだから、スケール的には向こうの世界の神も絡んでいそうで納得は出来る。


 マナという単語を理解しているのも、恐らく世界運営に深くかかわっている亜神から得た情報とか、そういう事なのだろう。


「故に、ワタシは創造神を捜索するために行動しなければならず束縛される訳にはいかない。しかし暫定的にエルフと思われる種族の集落に近づき調査を開始したところ、彼らのタブーに触れてしまったのか入場を拒否されてしまい、強行突破せざるを得なくなった。仕方なく交戦する事になったが、数的不利と装備不足によりあえなく拘束され、こうしてケンジに保護されるにまで至っている……。どう?」


 全てを話し終え、「ドヤッ!」という表情で自信ありげに俺と視線を交わす。

 ドヤ顔はともかくとして、確かにシーエが暴れていた事情はこれで納得できた。


 ようするに、俺を探していたら通行止めにあったので引くに引けない状況だったという訳だ。

 まさかストーリーモード開始数時間で手がかりが見つかるとは思っていなかったし、話が出来過ぎだと思っていたが、まさか向こう側から探しに来ていたとは驚きである。


 なるほど、これなら確かに俺と遭遇するのは必然だったな。





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― 新着の感想 ―
[一言] あれ?犬耳もヘタレっぽいですね。かわいい。
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