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異世界創造のすゝめ~スマホアプリで惑星を創ってしまった俺は神となり世界を巡る~  作者: たまごかけキャンディー
第四の創造~創造神編~

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時代の流れ


 とある世界の研究室にて。

 壮年とも思える一人の男の問いに、その助手とも思える白衣の女性が答える。


「まだ、かの世界とのパスは繋がらないか?」

「はい。しかし既に位置は特定しております。接続は時間の問題でしょう」


 男は女性の回答に納得した様子で頷き、先を促す。

 どうやら想定していた問いの答えとしては十分であったようだ。


「しかし、神話の時代に存在が確認された創造神が消えてからというもの、魔神やその他亜神の暴走により、この世界のマナは既に枯渇状態にあります。故に亜神の力や人間の魔力は神話の時代に比べて衰え、世界を繋げようにもエネルギーが足りず時間をかける他ないと思われます」


 男は語られた内容に特段驚いた様子はみせず、どうしようもない現状に唸りつつも、「今更始まった事でもなく、致し方なし」と結論付ける。

 この様子から察するに、どうやらこの世界における問題としては、それなりにありふれた議題であるようだった。


「しかしそのマナは、亜神や人間が創造神となんらかの繋がりを得ていなければ、永遠に回復する事がないということか。難儀なものだ」

「はい……」


 そして女性がふと目を細め、部屋の窓から零れ落ちる外の光景を確認する。

 窓からは人々によって活気づいた町が日の光により明るく照らされ、この二人が問題視するような何かがあるとは到底思えない平和ぶりであった。


 しかし女性はこの光景に首を振り、諦めたように呟く。


「豊かな自然と、何も知らず王都を行き交う人々。外界は相変わらずですね。ですがこの世界の寿命はもう……」


 そこまで言うと女性は再び研究の議題へと話を戻し、マナに満ちた奇跡の別世界へと意識を移したのだった。





 爺さんや玉藻らと別れ、創造神の神殿を経由して異世界に帰還した。

 やはり現在の地点は以前と変わらずデウスの創り出した迷宮の内部のようで、世界樹は一千年経った今も変わらず状態を保持してくれていたようだ。


 俺は礼を告げる為、一度だけ魔力知覚を発動し近くの精霊に伝言を託す。


「迷宮内部はお願いした通りそのままのようだ……。今回も世話になったと世界樹には伝えておいてくれ」


 俺の出現に慌てて近寄り、近くに浮遊していた中規模くらいの土の精霊に話かける。

 無口なのかなんなのか向こうからの返事はないが、コクコクと頷いているので了承ってことでいいのだろう。


 一々世界樹の腹の中ともいえるこの迷宮で伝言を通さずとも、ちゃんと向こうには伝わるのだろうけど、一応ケジメはケジメだ。

 ちゃんとお礼をしないと拗ねそうだし、印象悪いからね。


「さて、次はさっそくミゼット達を取り出すかだけど……。大勢でこの迷宮から出るのは得策ではないな。やはり神殿に置いてきておいてよかった」


 外の出口は一千年経った今もなおエルフの里に続いていて、大人数で出て行けばお前達はどこから来た、という警戒に繋がりかねない

 かといって、次元収納内部で放置するのも憚られたため、ここに来る前に創造神の神殿を経由してそこで降ろしておいたのだ。


 彼女らとはもうしばらく後で合流する予定である。


 といっても、この迷宮は意外と長い。

 モンスターが消えた上に一度通って来た道だからこそ迷いはしないが、まともに攻略しようとすれば数日間はかかる道のりだ。


 ただ今回に関しては、モンスターもおらずアプリの機能でマッピングが終わっている状態であるため、一日もかからず脱出はできるであろう。


「走れば半日といったところか。……さっそく脱出と行きますかね」


 ちなみにこの時代の事をログで確認したところ、凡そ一千年の間に科学技術はほとんど進歩していない事が発覚した。

 なんでも国同士の戦争やらなんやらで、発展しては衰退してを幾度となく繰り返していたらしい。


 まあ、これは人間の性という奴だろう。

 とはいえ何も変わっていない所がない、という訳でもないらしく、飛行船などの技術は時代の流れと共に失われてしまったものの、それに代わるモノとして騎竜やワイバーンを乗りこなす技術等の原始的な方法で空を通した交流は続いているようだ。


 もっとも、以前のように大陸間の横断は騎竜の体力的にも無理があるため、あくまでも大陸内部での交通に限られるそうだが……。


 だが船は依然としてあるし、飛行船のような魔導技術を失った代わりに、新たな魔法や生き物、そして生活を豊かにする魔道具が生まれているとの報告がログにあった。

 どちらの時代の方が優れていたのかというのは、一長一短といったところだろう。


 今も尚生き続ける伝説のハイ・エルフ、ララやそれに準じた長寿種族の英雄達は飛行船時代の事も知っているため、生きてさえいれば発想としては再現可能なのだろうけど、それが復活していないところを鑑みるに、太古の技術に対し過度に干渉する気はないのだろう。


 元々エルフは自然を愛する種族でもあるし、それもしょうがない事である。

 そもそも、科学が発達すればそれが世界にとって良い方向に進むとは限らないしな。

 この一千年の間に起きた戦争などで、いくつかの国が消えた事がそう物語っている。


 またログによると、エルフの里は戦禍から身を護るために結界を張り巡らせ姿を隠し、ヒト族の政治に介入する事がないため無事のようだった。

 だが、その代わり人々の記憶から徐々に薄れ今や秘境の類に分類されてしまっているようである。


 この事から分かるように、エルフの里と比較的近くにあるガルハート領はもろに争いに巻き込まれ、今はその名前も別のものへと姿を変えているらしい。

 ミゼットには申し訳ないが、伯爵家としては断絶してしまっているし、この大陸の地図は大きく変わってしまっている。


 一千年も国が続くというのはどう頑張っても難しい事だし、諦めてもらうしかないだろう。


 ……と、そんな事を考えているうちに数時間が経ち、俺は約一週間ぶりとなる迷宮の出口、エルフの里へと到達してしまっていた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 次回からも期待ましまし!
[一言] 更新ありがとうございます。 残念ながらガルハート領は消えてしまったようですけどララは1000年経ってもまだ生きているとか凄い長生きですね、寿命とかあるんでしょうか? 今回はエルフの里スター…
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