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異世界創造のすゝめ~スマホアプリで惑星を創ってしまった俺は神となり世界を巡る~  作者: たまごかけキャンディー
第三の創造~現世動乱編~

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帰還3


 電灯が照らす薄暗い路地裏にて、正面に佇む拳銃を持った外国人を見据える。


 歳は俺と同じくらい、およそ30代前半といったところだろうか。

 髪の毛は色素の薄い金髪で、黒いスーツにコートを羽織りながら拳銃をクルクルと回し煙草を吸っている。


 あまりにも異質だ、というか明らかに銃刀法違反だ。


 ただしただの拳銃が俺に害を及ぼす事は万に一つもないので、後ろを向き油断している彼に無造作に近づくことにした。

 まだあれが本物の拳銃という保証はないが、しかし銃口から煙を吐いているところを見るに確認だけはしておいた方がいいだろう。


 もし確認して本物だった場合は、警察を呼んで逮捕コースだ。

 するとある程度近づいたところで、男は後ろにいる俺に対して目でもあるのかという正確な認識で銃口を向けて来た。


 なんだこいつ、異常者は異常者でも、凄腕の異常者だったのだろうか。


「……なんだジャパニーズ、俺に何か用か? おっと、それ以上近づくな。お前からはヤバい臭いがぷんぷんするぜ、それ以上近づいたら撃つぞ」


 いやいや!

 ヤバいのはお前だろ!

 とツッコミたい気持ちは山々だったが、そんな事をこの外国人風のイケメンに言っても何の解決にもならないので、とりあえず忠告を無視してさらに近づく。


 銃口を向けられる恐怖というのは多少あるが、正直ワイバーンの牙や魔王のブレスに比べたらどうというプレッシャーでもない。

 俺の精神もタフになったものだ。


「……止まらねぇか。仕方ねぇ、悪く思うなよ。こちとらお前さんに恨みはないが、今は呼ばれた状況が状況なんでな。ヤベェ奴には疑ってかかる事にしてるんだ」


 俺を敵と判断したらしい男はそのままトリガーを引き、俺に発砲を開始する。

 聖騎士と悪魔という二つの複合職を保有する俺の身体能力、及び動体視力は拳銃の弾が迫って来る軌道を手にとるように把握できた。


 少しだけ体をズラして一発目の弾丸を回避すると、後ろでは「バシュ!」という何かが蒸発する音が聞こえて来る。


 いや、この音はおかしいだろ。

 なんで鉛の弾であろう銃弾から蒸発音が聞こえてくるんだ。


 不思議に思った俺が振り返ってみてみると、そこでは俺が取るに足らないあやかしとして放置していた浮遊霊のようなものに攻撃が命中し、青い光の粒子となって消えていくところだった。


 ……どういう事だ?


 普通の銃弾であれば魔力で構成されているであろう浮遊霊に対しダメージを与える事はできないはずだ。

 しかし現にこの男の攻撃はダメージを与え、一撃で消滅させるに至っている。

 こんなのは同じように妖力でも霊力でもなんでもいいが、ようするに魔力を含む攻撃方法でなければ成立しない。


 ……と、言う事はだ。

 少なくともこの男が振りかざしていた武器的に、陰陽師やそれに連なる異能者側の人間という事になる訳だ。


 なんだ、そう言う事か。

 そりゃあ異能者は政府が一般人にひた隠しにする地球の怪異への切り札だからね。

 どうりで銃刀法違反で捕まらないはずだ。


 だがそれを理解したところで、なんか敵として認識されてされてしまったであろうこの男と平和的な話し合いが出来るかどうか、というのは別の話なんだけども。


「……嘘だろジャパニーズ。……音速を越える弾丸だぞ」

「あいにく、俺は普通じゃないんでね。それと、正直なところあんたが何者かは知らないが、基本的には政府に紐づいた異能者と見受けられる。俺もどちらかといえばそちら側の人間だ。相互に勘違いが起きているようだから話し合いをしないか?」


 受け入れられるかどうかは分からないが、とりあえず話し合いを持ちかける。

 これでダメだったらその時はその時だ。


 危険人物として戸神家あたりに突き出すしかないだろう。

 困った時はなんでも戸神家に頼る所が情けないが、俺のバックについている組織の中では最強最大なので仕方がない。


「……ふむ、ちょっと待て」


 だが俺の心配は杞憂だったようで、説明を受けた男は武器を納め、もう一度タバコに火をつけて腕組をしながら何かを思考しだした。

 何を考えているのかは全く分からないが、誤解は解け始めているように思える。


 そしてそれから数呼吸ほど間をおいて、男が結論を出した。


「……いや、これは失礼したな。俺の方も状況が状況だったんで、少し取り乱していたようだ。先ほどの攻撃は詫びよう、すまなかった」

「いや、分かればいい。一般人に対してならともかく、俺に対してなら過剰防衛という程でもないしな」


 そもそも一般人はあの酔っていた会社員の男性みたいに、拳銃を振り回すこの男に対して警告を無視して特攻しようとは思わないだろう。

 それでも近づくのは腕に自信のある異能者か、自殺願望のある者だけだ。


 先ほどの攻撃が人体に対してどれ程の殺傷力があるのかは未知数だが、魔力攻撃という事も相まって一撃死しないように牽制する威力を抑えていたかもしれないしな。


「そう言ってくれると助かる。……あんたもこの国の異能者であるなら分かるだろうが、いまちょっと妖狐フォックスらの影響で大変な事になっているだろう? 俺もその件で呼ばれたんだが、いかんせん敵が予想以上に強大でな。依頼の事もあって、怪しい奴は疑ってかかる事にしてんだ」


 なんだフォックスって、九尾関連の事だろうか。

 もしそうだとしたら、その大変な事っていうのがちょっと気がかりだ。


 妖怪の発生率が増えている程度なら良いが、この言い方だとそれだけではないのかもしれない。

 とりあえず自己紹介を含め、俺の名を名乗る。


「まあ九尾に関しては俺も対応に追われていたところだ。……俺は斎藤さいとう健二けんじ、陰陽師一族に雇われている野良の傭兵みたいなものだな」


 実際は雇われている訳ではないが、定期的に依頼が入るので似たようなモノだろう。


「……陰陽師一族というと、あの生け贄の巫女家系か。かなり良い所の雇われだな、この国じゃ超一流を名乗っていい魔術師の家系だぞ」


 ……はて?

 生け贄とは?


 自ら雇われと名乗っておいてアレだが、俺は戸神家について詳しい事を理解していない。

 だがその言葉は俺の中で少し引っかかるものがあった。


「…………」

「おっと、すまない。自己紹介が遅れたな。俺はハリー・テイラーっていうモンだ。同じフリーの傭兵なら聞いた事あるだろ、イギリスのエクソシストだよ。今はミカド・サイオンジの伝手でこの国の九尾ナイン・テイルの討伐に力を貸している」


 考え込む俺を余所に、黒服のエクソシストハリー・テイラーはそう言ってニヤリと笑った。



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生贄の話はしちゃいけにぇ(
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