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異世界創造のすゝめ~スマホアプリで惑星を創ってしまった俺は神となり世界を巡る~  作者: たまごかけキャンディー
第三の創造~現世動乱編~

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帰還


 その日の夜、自身に宛がわれた部屋にノックの音が鳴るのを感じて目が覚めた。

 夕食の後そのままこの部屋に案内されて寝付いてしまったため、現在は俺を布団の上で蹴飛ばしながらごろごろしている紅葉と一緒に二人きりである。


 そんな客室に対し来訪者が来たという事は、たぶんミゼットがレーナインさんとの話を終えてやってきたとか、そんなところだろう。


「どうぞ、鍵は開いてるよ」

「失礼するわ」


 やってきたのはやはりミゼットだった。

 既に伯爵家から借り受けたであろう寝間着姿に身を包み、寝る準備万端といった感じである。


 レーナインさんとの話でガルハート伯爵家の歴史について思う所もあっただろうし、一度俺のところに相談に来る可能性もあるなとは思っていたが、まさか一緒に寝るつもりでもあるのだろうか。


 ぶっちゃけ上級貴族であるこの屋敷のベッドはかなり大きいので一緒に寝る事はできるが、伝説の先祖であるミゼットが部屋から抜け出したりしてたら、色々と問題になるんじゃなかろうか。

 まあ、このお転婆姫が人の目を掻い潜って勝手に行動するのは今に始まった事ではないけども。


「それで、どうだった」

「んー、そうねー。まあ、堅実なクレイ兄様らしい政治をずっと続けていたみたいね。私は皆が幸せに暮らせたみたいだったから、それでよかったと思うわよ」


 そう語るミゼットの表情は少し寂しげだったが、どこか誇らしげで満足そうにも見えた。

 きっと自分の兄が立派に伯爵家をまとめ上げていたのが嬉しかったのだろう。


「そうそう、それと私の家にはあの共闘した賢者アーガスから伝言がいくつか残されていたみたいね。伝言は代々屋敷の嫡男に伝えられていくみたいなんだけど、そのせいであのグレイが聖騎士になりたいだのなんだのと騒ぎ出したみたいだわ」


 その後に詳しく話を聞いてみると、なんでもこの伯爵家には聖騎士ミゼットがどのようにして人間神と出会ったか、そしてその少年の姿を模した人間神がどう幼少期のミゼットを鍛え上げたかという伝説が、言い伝えとして残されているらしかった。


 この辺の言い伝えが幼いグレイ少年の感性に響き、彼もまた神界へと足を踏み入れるような聖騎士を目指すに至ったらしい。

 要するに、子供によくある憧れという奴なのだろう。


 ちなみに、もちろん幼少期の事をアーガスが知るハズもないので、この辺に関してはクレイ少年や当時のガレリア伯爵といった、ガルハート家の面々の記憶を参照しているところも大きいはずだ。

 幸い人間神の名前は伏せられており、さらに今の俺とは違い少年の姿をしているとされている事から、俺がその人間神だとバレる事はない。


 そして肝心となるアーガスからの伝言の話になるが、もしまた世界に危機が訪れたならばかつて神界へと足を踏み入れた伝説の聖騎士、ミゼット・ガルハートが神の遣いとして再びこの地を訪れるだろうという言葉が残されている。


 アーガス本人は俺がアプリの力で勝手にチャプター2の時代へ飛ばされたとは思っていないだろうが、察しの良いあいつのことだからまた文明の分岐点となる時代に俺が現れる事を予想していたのだろう。


 そしてその分岐点では連れて行ったミゼットも同様に存在するはずだから、危機が訪れた時に再び、という言い方で伝言を残していたのかもしれない。


 そんな感じで推測を交えただいたいの報告は終わった。


 ようやく一段落したので、今度はこちらの話を切り出す事にする。

 もちろん話の内容は、日本への帰還の事だ。


 この辺の話はまだミゼットにしていなかったため、どういう反応になるのか少し恐ろしくもあるが、まあ創造神の神殿でもたいしたアクションを起こさなかったくらいだから大丈夫だろうとは思う。


「────という訳で、一度俺の故郷である日本、この世界から見たら別の世界である異世界に帰還する訳なんだけど、どうする? ここでグレイ少年を鍛えるというのであれば、しばらく留守にするから存分に鍛えてあげればいいと思うけど」


 かくかくしかじかとそう伝えると、黙って聞いていたミゼットは頬を膨らまして顔を真っ赤にする。

 おや、どうしたんだ?


「ちょっと! 私を置いてけぼりにするつもりとはいい度胸じゃないケンジ! 異世界だろうとなんだろうと、私はあなたについて行くと決めたはずでしょ! モミジも一緒にいけるのに、私が行かない訳ないじゃないの! グレイを鍛える事は戻って来てからもできるんだから、私もついて行くわ!」


 どうやら置いてけぼりにされると思い怒っていたらしい。

 いや、そりゃそうか。

 よく考えたらそうなるわ。


 グレイ少年に関しては向こうで紅葉の姉妹の様子を見て来てからでも遅くは無いしな。

 これは配慮が足らんかった、許せ。


 そう思い至るや否や、さっそく向こうとこちらでの時間の進みが違う事とか、向こうではなるべく剣は仕舞っておく事を伝えると、一も二も無く頷いて部屋を飛び出していった。


 何やら予定が変わり出かける事をレーナインさんに伝えにいったらしい。

 さすがミゼット、やる事が早い。


 ただ正直、俺としても一人で姉妹の様子を見に行くのは戦力的に心許なかったので、強力な前衛がついてきてくれる事はとてもありがたかったりする。

 ただ一つ心配なのは、日本の文明にミゼットが馴染めるかどうかだ。


 明らかに常識が違うし、まさかトラブルが起きた時に筋肉で解決するような事はないと思いたいが……。

 まあ、この辺の事はとりあえず信じてみる他ないだろう。


「むにゃ……。そう慌てなくとも、おにぎりは逃げない……。すやぁ……」


 ミゼットが慌てて去って行った後、寝ているのか起きているのか、目をつぶったままむにゃむにゃと口だけ動かす紅葉はそう言う。

 いや、というか絶対起きてただろお前!


 あれ!?

 でもやっぱり寝てる!?

 タイミング良すぎか!




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