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異世界創造のすゝめ~スマホアプリで惑星を創ってしまった俺は神となり世界を巡る~  作者: たまごかけキャンディー
第三の創造~現世動乱編~

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世界の脅威2


 レーナインさんはその後、この大陸全土で起きている様々な怪奇現象について教えてくれた。


 怪奇現象といっても、別に村の人間がどこへともなく失踪したとか、証拠の無い貴族の暗殺とか、そういうスケールの小さい問題ではない。

 もっと世界単位で見てヤバイ方の怪奇現象だ。


 問題の発端はとある国を守護していた竜の死亡。

 この国ではないが、この大陸において魔大陸方面に位置する海沿いの国にて、その国を守護する聖竜が謎の死を遂げたらしい。


 長い間国を守護していた一匹が死んだ事で当時は大騒ぎだったらしいのだが、幸いな事にその聖竜は小規模な群れをつくり国を守っていたらしく大事には至らなかった。

 もしこれが一匹だけで守護の役目を務めて居たら、これ幸いと他の国に付け込まれ国が落とされていたかもしれないのだという。


 これだけ見れば何らかの不慮の事故で竜が一匹倒された、という話で済むのだが、今回はその倒され方が異常だった。


 なんとその聖竜、まるで何かの生体実験に使われたかのように、他の動物や魔物の素材をこれでもかというくらいに融合させられ殺されていたのだ。

 腹からは人間の足が生えていたり、頭には竜のものではない目や頭が複数取り付けられていたのだとか。


 周囲の者達は神の逆鱗に触れて堕ちた聖竜が祟りか何かにあったのだと思ったらしいけど、この世界を創造した張本人である俺からすれば、祟りを起すスキルにも魔法にも亜神にも心当たりが無いため、それは嘘だと断言できる。


 死因は恐らく、自分の体に合わない生物のパーツを取り付けられた事によって生命維持が困難になったから、という線が濃厚だろう。

 だが、先ほど自分で世界を創造したといっておいて矛盾する話だが、祟りなんていうシステムが無いのは分かっていても、このように生きた生物の融合ができるスキルを持った存在には心当たりがない。


 もしかしたら魔神あたりなら違法なマナの利用によって、創造神である俺と同じような能力を使い生物に干渉できるかもしれないが、さすがに魔神が魔大陸からそう易々と出てくるとは思えないので、この案も現実味がない。


 しかもこういった事件が発端となったこの遠くの国だけでなく、他の国でも力ある人物や聖獣などといった重要な存在が狙われ、幾度となく同じようなケースで命を落としているのだという。


 さすがにこれは放置が出来ないという事で、大陸各国から猛者を集めて最強戦力である勇者を筆頭とし、問題の解決に当たろうとしていたらしい。


 以上を踏まえて色々と考えてみたものの、俺には何が起きているのか見当もつかなかった。

 ただし、これがもし創造の破綻関連の出来事であるならば話は別だ。


 なぜならば、俺はこの世界の一万年後の未来をこの目で確かめて来た事があるからだ。

 その時に存在していた、『終焉の亜神』という巨大な化け物。


 あいつも確か、様々な生物を融合して創られた造形をしていたはず。

 この世界を創造した俺のアプリのデータにない生物なので詳細は分からないが、何かしらの関係がある可能性は非常に高いだろう。


 尤も、それが分かった所で今はどうする事もできないが。


「話はだいたい分かりました。この事はミゼットに伝えても大丈夫ですか?」

「ええ、ご先祖様には是非ともお仲間である貴殿の口から情報をお伝えください。もしご先祖様がこの事件の解決に一枚噛んでくれるというのであれば、これ程心強い事はありませんから」


 レーナインさんはそういってお茶を啜り、話を一旦終える。


 するとちょうど一つ目の質問が頃合いになったところで、部屋の扉が勢いよく開かれた。

 稽古を終えたミゼットと、グレイ少年のご登場だ。


「ケンジ、いま戻ったわ! ガルハート家の跡継ぎが中々根性のある奴で私も安心よ」

「じ、じいさん、この女強すぎる……」


 グレイ少年は庭でこってりと絞られたのか、顔中をボコボコにしながらぜぇぜぇと息も絶え絶えの様子である。

 一方のミゼットは良い手ごたえだったとでも言うように喜色満面の笑みで汗一つかいておらず、普段通り。

 圧倒的な実力差がある事を如実に物語っていた。


 とはいえ、10歳の少年が魔王戦にも参加できるレベルの聖騎士に、「根性のある奴」と評されるのは快挙ではあるが。


 きっとグレイ少年は女に負けられるか、とかそういう子供にありがちな気概で向かって行って、何度も返り討ちにあったのだろう。

 レーナインさんもやはりこうなったか、といった表情で呆れている。


「当然でしょうグレイ。この方は百年前に人間神の手で神界へと足を踏み入れた、正真正銘の伝説ですよ。今の貴方がまともに戦える相手ではありません。むしろ稽古をつけてもらった事に感謝しなさい」


 その言葉にグレイ少年は唖然とした表情になり、ようやく今まで相手にしていたのが最強の聖騎士である事を理解したようだ。


「そ、そんな、このガサツな女が……!?」

「なんですって?」

「いえ、この麗しい女性が伝説の聖騎士ミゼット・ガルハート様なのか!?」

「さっきからそう言っているでしょ。あんた何回言っても話を聞かないから、途中から言わなくなったけど」


 さっきまでは聖騎士祭の候補としてしか受け入れてなくて、しかもその候補は俺でミゼットは付き添いみたいな勘違いをしていたからね。

 そりゃこの展開には驚くだろう。


 その話を聞いた彼はごくりと生唾を飲み、ミゼットの方へと緊張した面持ちで振り返り、頭を下げた。

 すごい切り替えの早さだ。


「頼むご先祖様! 俺を鍛えてくれ!」

「いいわよ」

「俺に出来る事ならなんでも──、って、いいのかよ!」

「いいに決まってるじゃない。強くなるために師匠が欲しいんでしょ、あんた。その気持ちは私にも良くわかるわ。滞在している間だけでいいなら、稽古をつけてあげる」


 グレイ少年が何に拘っているのかは分からないが、ひとまず臨時の師弟関係が結ばれたようである。

 修行を頼み込むときの真剣な面持ちから、以前から聖騎士になりたいと思っていたのは確かなようだが、はて……。


 まあそれはともかく、せっかく庭で稽古をしていた二人も戻って来た事だし、この場は一先ずミゼットに任せて百年の歴史に何があったのか、ガルハート伯爵家の積もる話でもしていてもらおう。

 そう思い俺はレーナインさんに目配せをして、その場を後にする。


 ちなみに屋敷には急な訪問にも拘わらず俺や紅葉の部屋が宛がわれていたらしく、使用人の人が退室するやいなや案内を務めてくれた。

 至れり尽くせりである。


 さて、ミゼットが暫くここで修行をつける以上、俺達は特にやる事もなくなった。

 たぶん1ヶ月程の猶予は見ておかないと鍛え甲斐もないだろうし、その間はしばらく日本にでも戻っておくかな。


 こちらの世界で1ヶ月というと、向こうでの3日だ。

 紅葉の姉妹達が世間にどんな影響を及ぼしているのかも気になるし、ここに来る道中リプレイモードで鍛えた修行の成果を信じて舞い戻ってみるとしよう。




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