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異世界創造のすゝめ~スマホアプリで惑星を創ってしまった俺は神となり世界を巡る~  作者: たまごかけキャンディー
第三の創造~現世動乱編~

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聖騎士祭1


 声を掛けて来た戦士風冒険者の談により、現在このガルハート領で開かれている聖騎士祭というお祭りの詳細が明らかになった。


 なんでも、過去にガルハート伯爵家出身のお嬢様が若くして聖騎士になったのを切っ掛けに、人間神が彼女の力を認めて神界へと連れて行ったのが祭りの始まりだという。


 それ以来、このガルハート伯爵領では代々聖騎士を輩出するための聖騎士祭が伝統行事となり、国中、もしくは大陸中から募った有志達に聖騎士となれるだけの資質がある者を集めているのだとか。

 もしその行事で伯爵家が認めるだけの資質を示せれば、その者を育成し貴族の一員として爵位を授ける事も可能らしい。


 ガルハート伯爵家側のメリットとしては、そうやって貴族になった優秀な者を自陣の配下に置く事に意味があるのだろう。


 また、勇者一行の選別というのもここに当てはまっており、聖騎士祭で好成績を収めた者には上位職の者や各国のお偉いさんらが集う、この国で開かれる選別の儀への招待を受ける事になる。

 この選別の儀の詳細は語ってくれた彼自身も良く分かっていなかったが、だいたいは選別された者だけが参加できる、小規模でハイレベルな闘技大会みたいなものだろうと、そう言っていた。


 そして晴れてその選別の儀で見どころありと判断されれば、勇者とチームを組まされるのだという。


 この時代の事情を知らないのでなんとも言えないが、勇者とチームを組まされるという事は恐らく、また魔王か何かが暴れているか、もしくは世界に異変をもたらす何かが暗躍しているのだろうと推察する。


 この時代もこの時代で、色々と問題を抱えているようだ。


「それにしても、ガルハート家のお嬢さんを神界へ連れて行ったねぇ……」


 これってどう考えてもミゼットの事だよなぁ。

 情報の正確さには怪しい所があるが、話がこちらの大陸まで伝わっているところを鑑みるに、恐らく情報の出どころはアーガスあたりだろう。


 あいつは色々と几帳面なところがあるので、俺と共に旅立ってしまったミゼットの家族に配慮して、色々と話を伝えていたに違いない。

 あとで俺の身分を隠して屋敷に寄る予定なので、その時に確認をしてみたいものだ。


 神界云々に関しては、百年の間に話の流れが歪曲してしまったか、もしくはアーガスが家族を気遣ってそうとも取れる曖昧な表現をしたかになるが、その辺は謎である。


 ちなみに、現在のガルハート伯爵とコンタクトを取る事そのものに関しては、さほど難しいことは無いはずだ。

 なにせ面会そのものは聖騎士祭に参加可能な優秀な者として、既に聖騎士である俺やミゼットを前面に出せば良いだけだからな。


 そして色々と親切に教えてくれた冒険者にお礼を言い、もし聖騎士祭で会う事になれば宜しくという言葉を交わした後ようやく町の中へと入る事ができた。

 当然、門兵への身分証提示の時にケンジ・ガルハートの姓を訝し気に思われたりしたが、他国からやってきた貴族や冒険者なら被る事もあるかという感じで受け止められたので、問題になる事はないだろう。


 下手に他国で身分のある者に対し文句をつけてしまうと、門兵さんの首が飛びかねないからね、物理的に。

 不思議な思いは抱いただろうけど、この場で騒ぎを起こすことはないはずだ。


 ちなみに連れの二人は俺が身分を保証するだけですんなりと通る事ができた。

 相手も気を遣ってくれているのか、特に身分の確認とかそう言うのは無いようだ。


「それにしてもウチの町並みは昔から変わり映えしないわね。人種は増えたけど、百年前の冒険者ギルドと同じ建物が今も使われてるわ」


 それに関しては俺も同じ事を考えていた。

 人口が増えた事で多少町が広がっているようにも思えるが、既存の部分はそのままそっくり同じ作りだもんな。


 ただ、こういう中世の時代は物流も馬車での移動が基本だろうし、機械で大量生産が出来るほどに産業が発展している訳でもない。

 それにこの世界には人間を襲う魔物、もとい強力な野生動物がいるからその対応にも力を割かなければならないので、まだまだ世界の発展そのものは緩やかになるのだろう。


 向こうの大陸で技術が発展していたといっても、一般的には手押しポンプが配置されるようになっていたくらいなので、大国の首都と比べて規模の小さいこのガルハート伯爵領にまでその恩恵が行き届いていないのは、致し方ないといえば致し方ない部分である。


 飛行船という技術が最近台頭してきたので、その恩恵によりこれからはもう少し進化のスピードが速くなるだろうけどね。

 まあそれにしたって、町がガラリと姿を変えるためには長い時間が必要なはずだ。


「のうのう、それで聖騎士祭とやらには出るのかえ? 儂、戦いは苦手なんじゃけど」

「別に見学でもいいぞ? 面会の建前として聖騎士祭の話題に乗っかるだけで、参加するつもりはないからな」


 あの冒険者の話を信じるならば、今の伯爵家は聖騎士という複合職を今まで以上に神聖視している可能性が高い。

 故に、実際に参加をしなくてもその実力さえあれば重宝してくれると思うんだよね。


 ミゼットは若干お祭りに興味があるようだったけど、まだ聖騎士にすら到達していないヒヨッコ相手では燃えきれないらしく、楽しそうなイベントではあるが自分が出るほどでもないかな、といった感じであまり熱は入っていなかった。


 今の俺達がそこらへんの冒険者相手に無双したところで得るモノは特にないので、とりあえずは様子見をすべきだろう。


 そう考えつつも、とりあえず聖騎士祭というイベントの話題にだけは乗っかる方針で、ガルハート家の屋敷を目指す事にした。

 といっても、屋敷の門兵が素直にこちらを通してくれる保証はどこにもないので、こちらもまずは様子見だけだが。


 冒険者ギルドで聖騎士祭の情報を得て、あわよくばこの町のギルドマスターを継いでいるだろうガルハート家のご隠居に出会うのが本命だ。


 当時嫡男であったクレイ少年はさすがに生きてはいないだろうが、あの爺さんの冒険者ギルドのマスターという地位が代々受け継がれている可能性はとても高い。

 一度手にした権力をそうそう手放す貴族はいないだろうしね。




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