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異世界創造のすゝめ~スマホアプリで惑星を創ってしまった俺は神となり世界を巡る~  作者: たまごかけキャンディー
第三の創造~現世動乱編~

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百年後の世界へ3


 とりあえず近くの宿屋に部屋を取り、三人で会議を開くことになった。

 議題はいわずもがな、俺の嫁論争だ。

 自分で言っていても恥ずかしいが、事実なのだからしょうがない。


 それからしばらくの間、このおにぎり妖怪がいかに食欲にまみれているかを語ったり、それを全く否定しない紅葉が「そろそろ夕食かもー」とか発言したことにより議論は収束し、ミゼットはとりあえず今の俺に嫁がいない事を納得するのであった。


「という訳で俺は独身だ。幼女に手を出すほど落ちぶれてはいない」

「そう。でもそれなら、私があなたのお嫁さんになっても良いって事ね?」


 そうはならないだろ。

 しかしそう言うよりも早く、ミゼットは俺の唇をその桃色の唇で塞いできた。

 いわゆるキスというやつである。


 彼女の金色の髪がふわりと舞い、ほのかに甘い香りが鼻孔をくすぐる。


 まてまて、どうしてこうなった。

 どういう行動力をしているんだこのお嬢さんは。


「ふふん、これであなたのファーストキスは私が貰ったわ。ケンジの事は私が一番最初に予約したんだから、いずれ責任はとってよね」

「マジか」


 ドヤ顔でそう宣言するミゼットの顔は、宿の窓から差し込む穏やかな夕日に照らされ少し赤く染まって見えた。


 これは一本取られたな。

 自分勝手で無茶な行動は控えめになったとはいえ、相変わらずここぞという時の主張は強いようだ。


 しかしミゼットの好意は良く分かったが、日本でも黒子お嬢さんに求婚されている身としてはどちらに傾けば良いのか気になるところだ。

 ぶっちゃけこれ、どうなるんだろう。


 まさか一夫多妻という訳にもいかないだろうし。

 ……いや、異世界だしそれもアリなのかも。

 よくわからんな。


「騎士の女子おなごがちゅ~したぞえ? 儂も一緒にちゅ~した方がいいかのう?」

「いや、それは大丈夫だ。気持ちだけ受け取っておく」

「んぁ~」


 その上こいつまで混ざって来ると中々カオスな事になるので、頭をなでなでしながらじゃれてくる紅葉を一旦あしらう。

 なでなでされている事が満更でもないのか、目を細めて喉をゴロゴロと鳴らす。

 猫かお前は。


 結局その日はそのまま宿に泊まる事になり、百年後の世界の散策は後日という事になった。

 やる事は主に技術の発達に伴った環境変化の調査や、冒険者ギルドでの新規登録、そしてガルハート領への訪問などなどだ。

 また、その合間に修行をすると言った感じ。


 冒険者ギルドに関しては新規で登録しないと元のカードは使い物にならないだろうし、これは致し方ない。

 問題なのはミゼットの故郷であるガルハート領。


 彼女は家族や故郷を捨ててまで俺についてきてくれたのだ、せめてその後に家族や領がどうなったのか確認する権利くらいあってもいいだろう。

 というか、俺がそうしてあげたい。


 そう今後の予定を二人に伝えると、紅葉からは相変わらず気の抜けた返事があり、ミゼットからは珍しくお礼の言葉が返ってきた。


「ありがとね。あなたについてきた事に後悔はないけど、パパやママ、それとクレイの事も少し気になってたの」

「……ああ」


 元々聖騎士として騎士寮で生活していたのだろうし、ホームシックになるとかそういう事はないだろう。

 ただ家族がその後幸せに生きる事ができたのかについて、全く気にならないかと言われればそんな事はないはずだ。


 やっぱり年相応に心残りはあるだろう。

 しかし本当にもう過去に戻る事はできないのだろうか。


 確かアプリの説明では元の時代に戻る事はできないと明記されていたはずだが、それでもアチーブメントを取得すればタイムマシンで過去の時代に戻れる可能性はあると、そう天使ノーネームは言っていたはずだ。


 どちらの説明が正しいのかは分からない。

 だがやってみる価値はあるだろう。


 この時代における『創造の破綻』が何なのかは分からないが、今までの事例から見て、それに繋がる何かを成し遂げれば創造神の神殿はレベルアップするはず。

 思い当たるのはやはり魔族関連の出来事だが、果たして今回もそう簡単にいくだろうか。


 一抹の不安を抱えながらも、俺は今後の計画を立てながら方針を練るのであった。



 そして翌日。

 さっそく朝から旅支度を整え、冒険者ギルドに赴いた。


 一応元のギルドカードが使えないか確認だけはとってみるつもりだが、たぶん使えないだろうなあ。


 ギルドに入ると相変わらず室内は酒を飲む冒険者達で賑わっていたが、やはり装備にチラホラと変化が見受けられた。

 まあ低ランクと思わしき者達の装備は相変わらずだったので、あくまでも新機能が搭載されている武器や防具を持てるのは中堅以上の者達だけなのだろう。


「いらっしゃいませ、当ギルドに何か御用でしょうか」

「えーと、このカードってまだ使えますか? 使えないのであれば新たに冒険者登録をしようと思うのですが」


 百年前のギルド証を受付嬢さんに見えるようにかざす。

 すると一瞬だけ訝し気な視線を過去のギルド証に向けたが、すぐにこのカードの正体が分かったのか「ああ!」という掛け声とともに納得する様子を見せた。


「こちらは既に大陸での発行が中止されているギルド証になりますね。現在は魔力紋の認証により個人の認定ができるように改良されております。まだ全てのギルドに行きわたった設備ではないですが、別大陸から来た人はごく稀に所持していたりするのですよ」

「なるほど……」


 へえ、まだ他の大陸だと現役だったのかこれ。

 それは僥倖。

 だとすると、全員冒険者のランクは落とさずに済みそうだな。


「ですから、こちらのギルド証でも十分な証明になります。最新式のものに取り換える場合は手数料がかかりますが、どう致しましょう?」

「ああ、それならこのままで結構です。使える事は使えるみたいなので」


 手数料が惜しい訳ではないが、このままでも特に不自由しないみたいなので無理に変更しない事にした。


「それにしても……」

「はい?」


 受付嬢さんは口元に指をあて、少しニンマリしながら続ける。

 なんだか嫌な予感がするぞ。


「ギルド証に記載されたケンジ・ガルハートというお名前から察するに、ご両親はよほど熱心な人間神のファンなんですね。最近は人間神にあやかって子供にケンジと名付ける親も多いですが、姓まで真似する人は初めて見ました」

「ソ、ソウデスネ……」


 なるほど、確かに名前がこのままだと不便かもしれない。

 とはいえ、どうしようもない事だが。

 まあ、必要になったら新規登録で名前を変えることにしよう。



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