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異世界創造のすゝめ~スマホアプリで惑星を創ってしまった俺は神となり世界を巡る~  作者: たまごかけキャンディー
第三の創造~現世動乱編~

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二尾の妖狐2

今日からは少しだけペースを下げて二日に一度の更新体勢になります。

9月からはこのペースで、何卒お許しください。

更新そのものは続けていくので、ご理解頂けると幸いです。


 姉である妖狐の炎弾により消し飛んだ肉を眺め、発狂する社畜妖怪。

 ハンバーグが無くなったのがあまりにもショックだったのか、その瞳からはハイライトが失われているようだ。


 なんか見ているこっちが申し訳なくなってくる。

 いや、俺はなんも悪くないけども。


「肉ぅ、儂の肉ぅ……」

「だ、大丈夫だぞ紅葉。ハンバーグならあとでもう一度頼んでやる。だから元気出せ、な?」


 そう伝えると少しだけ立ち直ったのか、涙目になりながらも頷きフォークに刺さっていた肉をもしゃりと食べる。

 そうか、そいつだけは唯一無事だったか……。


「うまいのじゃ……」

「良かったな」

「うむ」


 さて、どうしてくれようかこの双葉とやら。


 先程の爆発があまりにも衝撃的な映像だったため、テロか何かと勘違いしてファミレスの客は既に殆どが逃げ出しているが、正直ここでは戦いたくない。


 ここで力のある妖怪と戦いを始めてしまうと、これ以上の被害をこの店が被る事になるからな。

 なるべくなら場所を変えたいところだ。


「さて双葉とやら。君は紅葉に用があるみたいだが、ここで戦うのは避けたい。場所を変えないか?」

「あん? 誰だおっさん、あんたに用はねぇよ。俺はこのチビをしつけに来たんだ」


 獰猛に笑い再び指先に青白い狐火を出現させる。

 この反応は間違いないな、こいつは二尾だ。

 聞いた話だと二尾は狐火を多用し、また性格は好戦的だと紅葉から聞いている。


 だがあいにく、たかが二尾に実力で負ける程おっさんの力は弱くない。

 これが現代社会における陰陽師とか超能力者が相手だったならば、その狐火も脅威になっただろう。


 しかし、異世界で修行し複合職のパラメーター補正を二つも受けているこちらからすれば、そんなものマッチの火よりも微弱な力しか感じ取れない程の、牽制にすらならない攻撃だ。

 たぶん今の俺が軽く放った光弾よりも威力が低いと思う。


 現に魔力知覚でもこの双葉とやらの力は、後ろにいる紅葉と互角程度のエネルギーしか内包していない事が明らか。

 まあウチの連れも修行で二尾に進化しているので互角なのは当然だが、ようするに俺にとこいつとでは大人と子供程の力の開きがあるという事になるのだ。


 そうしてお互いの戦力差を確認していると、再び炎弾の矛先をしゃがみ込む紅葉に向けたので、すかさず間に割って入った。


「やめなさい。君にとって紅葉のヒエラルキーがどれだけ低いのかは分からないが、それは明らかにやり過ぎだ」

「はぁ? 正気かおっさん。人間が俺の攻撃を受けたらタダじゃすまないぜ? 退きな」


 わざわざ攻撃の射線上に立った事が驚きだったのか、少女は一瞬躊躇する様子をみせた。


 おや?

 この反応もしかして、相手を気遣っているのか?


 本気で攻撃する気ならお構いなしに炎弾を発射しているだろうしな。


「後ろに紅葉がいるのに退くわけがないだろう。もし俺が邪魔だというのなら攻撃してみるといい。それで君が満足するのであればね」

「チッ、やりづれぇ……。おいチビ! いいからさっさと俺達の所に来い! さもねぇとこのおっさんを爆殺するぞ!」


 そう言ってわざわざ見せつけるように狐火の数を増やし、炎弾として撃てるように準備を進める。


 うーむ。

 なんか怪しいな。

 なぜここまで頑なに攻撃してこない。


 それに俺達の所に来いと言っている事を考えると、この双葉とやら、本当はただ紅葉を連れ戻しに来ただけなんじゃなかろうか。 

 まあそうだとしても、紅葉の意思を無視して連れ去られる訳にはいかないんだけどね。


 しばらく睨み合いを続けていると、ついに紅葉が返答した。


「食べ物を粗末にする姉様あねさま達とつるむのは、もう嫌なのじゃ。儂はこのおにぎりのおのこについていく事にした。これからは放っておいて欲しいのじゃ」

「な、なんだと……」

「何度でも言うぞえ? 儂はおにぎりのおのこと好きに生きる事にした。姉様あねさま達は姉様あねさま達で、勝手にやればよかろう」


 ジト目でそう宣言する紅葉から、ドロリとした黒いハンバーグの恨みが感じ取れた。

 よっぽど先ほどの攻撃が腹に据えかねたらしい。

 食い物の恨みは怖いというが、こいつの場合本当にシャレにならない感じがする。


 俺も気を付けよう。


「お前、誰に向かってモノを言っているのか分かっているのか」

「分かっておるとも」

「チッ……!! ああもう面倒くせぇ、姉様達からお前を保護しろと言われて来てやったが、やっぱりお仕置きが必要なようだ! お前がその気なら、見せしめにそこのおっさんをぶっ殺してやるから見てな!」


 突き放すような物言いにキレた双葉が攻撃を決意し、俺に向かって数多の炎弾を連射する。

 もちろん避ける訳にはいかないので素の状態で全ての攻撃を受けるが、やはり大した威力じゃないな。


 一発一発に重みがないし、何発受けてもチクリとする程度だ。

 明確な被害といえば、俺の上着が燃えてボロボロになっている事くらいだろうか。


 しょぼい攻撃もあったものだ。

 せっかくなので、回復魔法で微小な傷すら再生させてノーダメージを醸し出すことにする。


 ふははは!

 絶望感を味わうが良い。


「どうした、もう終わりか?」

「なっ!? ……ば、馬鹿な!? 俺の狐火をあれだけ受けて無傷だと!」


 うん、良い反応をありがとう。

 おっさん満足。


「無駄だからやめておくのじゃ双葉姉。このおのこはとんでもなく強いぞえ? それこそまともに戦いたかったら、八葉はちよう姉様でも連れてくるしかないと思うのー」

「八葉姉様と同格……、だと……」


 なにやら姉妹にしか分からない会話を繰り広げ、今度は双葉の方がショックを受けてわなわなと震えだした。

 どしたどした、俺にも分かるように説明してくれ。


 すると額に脂汗を浮かべた少女が一歩二歩と後ずさり、逃げの姿勢に移る。


「くそっ! こんな化け物がいるなんて聞いてねぇ! 覚えてろよ紅葉、絶対にあとでお仕置きしてやるからな!」

「うむ、達者での~」


 今の戦力では俺に敵わないと悟ったのか、なんらかの術で姿をくらまし一目散に逃げていく。

 なんだか嵐みたいな奴だったな。


 でもまあ、今回のトラブルは紅葉の本心が知れてよかったよ。

 こいつの前で食べ物を粗末にしてはいけない、ゼッタイニ。



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