はじまりは光の中を手探りで
転章
壁をこじ開けて先に進む必要は無かった。【不正解】が言っていたことを信用し、【CRJNと向き合った】結果だ。手にあるカードを壁にかざし、CRJNの【全身認識アプリ】の情報をこのカードを通じて壁に送り込む。ゆっくりと、ゆっくりと。すると、壁のどこからか緑色のランプが点滅し始め、ゴゴゴと音を響かせながら壁が開いていった。そして、眩しい光に包まれながら。【ゲーム現実化計画】は幕を開いた。
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もとをたどればヤスヒロの電話中のこと。二人が試しにCRJNの様々な情報を調べ、それをネットで検索することを繰り返していた。いくつもCRJNに関する番号をネットで検索すると、CRJNの固有番号がヒットした。あの怪しいサイトに。
そこに表示されていたのはページの最も下の方に一文だけ。
「藤村ゲーム店だ」
翌日二人は江の島に向かった。片瀬江の島駅で降りる。そして江の島展望台に入る手前の商店街まで――
その一角にー「江の島藤村ゲーム店」は在る。キクチも江の島に遊びに行ったときは必ず足を運んだ。それをタカタにも教えたので二人ともその名を見てすぐにどこへ行くべきか分かったのだ。
少し前まではネット通販でもお世話になっていたこともあり、キクチは藤村ゲーム店にたどり着くや否や寂しさを感じた。看板は今の時代は少ない、味のある手書きの看板だ。昔と変わらず、「ゲーム大会実施!」は看板に記されていて、昔の感覚が蘇ってきそうなところである。シャッターは閉まっていなかったが、新しかったずのシャッターはもう錆びていた。
シャッターがあるのに自動ドア付き、という謎の作りのここの自動ドアを通り抜け、店内に入った。中に入っても誰がいる、というわけではない。店主の藤村は【ゲーム禁止法】の発布後も構わずゲームの販売と使用をやめずにいたので逮捕されてしまったのだ。そして彼も例外ではなく強制労働によって死亡したと聞いた。もう店主のいないこの店をなぜ指定するのだ―――
コンビニほどの大きさで奥の方が長い作りはやはり変わっていない。縦に三つ陳列棚が置いてある。置いてあったゲームは既に回収されているようで、ただの陳列棚が残っているだけとなっていた。
それでも、唯一新しいものを二人は発見した。
レジの商品を置くところに、カードが二枚あるのだ。右奥のレジまで二人は急いだ。手に取ったカードは【不正解】に関連するものに間違いなかった。もうカードに記されている。いかにも手が抜いてあるだろう白いカードの表面に黒い字で【プロジェクトGGK】と。
「こんなところに……」
「一体これをどうするんだよ、キクチ」
尋ねるほど難しくなかった。カードの裏を見ると、(※左奥の壁にカードをかざせ)と丁寧に小さな文字で記されている。左奥の壁……
ただの行き止まりに過ぎない銀色の壁に二人ともカードをかざしてみた。
―――【全身認識アプリ】起動します
その合図とともに壁が開いていく。
「「ぐ、ぐあーー」」
直後、二人は強い光により意識を失った。
―――GGKへのログインが完了しました
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まだ書いて間もないのでアドバイス求みます