プロローグ
プロローグ
二〇二五年。この星、地球では随分と技術が発達してきていた。中でもゲームは、グラフィックが生身の人間と間違える程にまで進化し、ゲームはゲームではなく、オリンピックの正式種目にされる、「スポーツ」と化していた。その影響で、企業勤めえ会社の社畜になるくらいならゲームのプロになって生計を立てよう、と考える人が増えていった。そう考える人もいれば、勿論ゲームに関する仕事に就こうと志す人も多いわけで、今やこの日本では人口の十%もの人がゲーム関係の仕事に就いている。その影響で生活を支える第一次産業の職に就く人がいなくなってしまうのではないかと一昔前よりも騒がれるようになった。
そこでこの二〇二五年、国連のサミットによって【ゲーム禁止法】が世界全体の共通ルールとして発布された。
この法律はその名の通りゲーム機器の販売、及び使用を禁止するものである。もし違法行為を働けば、その時点で逮捕・その後重労働…ほぼ死を意味する。
法律が適用された当日から世界各地でデモや暴行事件などが多発。世の中が大混乱に陥っていたが、これをよい機会とし、初日だけで一万人、それから徐々に増えて年間一〇〇万人にも及ぶ人が逮捕された。逮捕されたものにやらせる強制労働は国によって様々だったが、その厳しさから各国で累計四〇万人もの死亡者が出る事態となった。このことを受けて、しばらくはゲームをしようと考えるひとはほとんどいなくなっていた。
この法の影響で各地のゲームセンターや娯楽施設は勿論閉鎖、プロからアマまで多くのゲーム選手達が辞めざるを得ない状況に。ゲームに関わる職種の人々はほとんど失業。各地でポピュラーだったテーマパークまで。ゲームに関わるありとあらゆるものが世の中からもみ消されてしまった。ゲームができないからと自暴自棄になって自殺を図る、その腹いせに会社にストライキを起こすことも社会問題になっていた。
様々な影響をもたらした【ゲーム禁止法】は厳しさ故に廃止になるのではという声もあがった。しかし、ゲームに没頭することが危険視されていたことが大きく作用し、廃止されるどころか、法が更に激化して、家宅捜査でゲーム機器をとりあげたり、アプリを削除させたりするなど対策は強化されていった。
それからはや七年。強制労働に苦しめられていた違反者全員が不遇な生活環境によって死亡。【ゲーム禁止法】を犯すものは誰一人としていなくなった。とは言っても、心の中ではゲームが出来ないことに不満を抱いている者は少なくなかった。
そんな中、ある男がひそかにある計画を企てていた。【ゲーム禁止法】が発布されてからというもの、ずっと。この日本に、異世界を作ろうと。