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Condolences~コンドウレンス 跪く勝者~

作者: きなつ もと

「そう…死んだのね」

顔の表情は一切変わらず、女は細い声で答えた。

大阪から特急電車に乗り込み、電車とタクシーを乗り継ぎ4時間。

4時間かかってお悔やみ申し上げに伺ったのに、この有様だ。


「それでは私はこれで」

男が立ち去ろうと、もと来た雪道を一歩二歩進みと女が声をかけてきた。

「刑事さんありがとう、わざわざ金沢まで来てくれて」

女はそう言ってドアを閉めた。

滞在時間にして10分もその場にいなかった。

雪道を進み国道に出るとタクシーが通りかかる。

手を上げタクシーを止めるとタクシーのドアが開いた。


「はい、どちらまで?」

運転手が聞く。


「金沢駅まで」

そう告げると返事もなくタクシーは金沢駅へと走り出した。

男はこれからまた大阪へとんぼ返りをする。

金沢駅から特急に乗り込み大阪まで2時間半。

男は一件落着した事件の報告書を作成していた。


年が明けた1月の3日警察署に1本の電話が鳴った。

不動産で働く従業員からの通報だった。


「住民と連絡が取れない」

通報を受け駆けつけた警察官。しかしドアにはチェーンがかかってありドアを開けることが出来なかった。わずかに開いたドアの隙間からは腐卵臭が漂っていた。


「田中さん!聞こえますか?田中さん!」

警察官の応答にも一切返答がなかった。

油圧カッターでドアチェーンを切ると不動産の従業員が駆け寄ろうとした。

手で遮り警察官が話す。


「万が一の事がありますので、ここからは私たちが」

万が一とは死んでしまった時の事だ。

死んでいた場合そこは住居ではなく死体現場に変わる。

腐卵臭の漂う部屋を進み、男性の首に手を当て脈を確認するが動いていなかった。


「本署に連絡を。それと田中さんが入居するにあたって書いた不動産の契約書をいただけませんか?」

「わかりました。」

10分後にはアパートの周りにパトカーが数台停車していた。


「契約書持って来ました」

50代中肉中背の男はどうやら不動産の社長のようだ。

男はすぐに専門の業者に依頼をし、部屋の原状復帰を企んでいた。



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