可愛い笑顔
それから服を作ったり、薬を作ったりという日が続いた
「リル明日この町を出て、南東の子音村に行きたいんだけと、お金が必要になるの」
「だから、中央都市でお洋服とかアクセサリーとかお薬売るためによっていいかな?」
リルが絶望的な顔する
「うん…」
「なにがあったんですか…?」
バーちゃんが厳しい顔をする
「やめて…バーちゃん、それは今この子が言いたいことじゃない」
「ごめんね…リル、中央都市は行かなくちゃいけないの、私がリルのそばについてるから」
リルを膝にのせて、後ろから抱きしめた
「うん…」
少し顔が柔らかくなった
「日奈美さんは甘すぎです!!この世界はそんなに平和ではありません!!」
リルの体がビクッと跳ねた
「うん…知ってるよ」
「そんなんだから!大切な人を失うんですよ!!」
バーちゃんの言うとおりだった
母さんもお父さんもいなくなった、寂しかった
私が守れなかった
だから私は誰も死なせない
取り残されたものが一番つらいのを知っている
もう誰にもそんな思いをさせたくない
「言いすぎました…すいません」
バーちゃんが謝る
「いいの、本当のことを言われただけ」
その時、リルが私の頬に手をあてた
「お姉ちゃん悲しい顔してる…どうやったら元気になる?」
悲しい顔をしてるのだろうか
自分ではまったく気が付かない
「そうだな…リルにぎゅーってしてもらったら元気になるかも」
リルがヒマワリのように笑う
「わかった!僕がお姉ちゃんのことぎゅーってしてあげるね!」
あまりに嬉しそうに抱き着くので、笑ってしまう
リルの笑顔をみるだけで幸せになる
「ふふっ、ありがとリル」
私が笑うとさらに喜ぶ
「うん!」
「まったく…しょうがないですね…」
あきれながら、なんだかんだいってバーちゃんも顔に笑みをうかべていた
子供というのは魔法みたいだ
その後みんなでなかよく荷造りした
リルが寝た後、私とバーちゃんはまた、話していた
「あの時はすいませんでした、頭に血が上ってあなたを傷つけるようなこと言ってしまって」
「うん、リルが癒してくれたからもう大丈夫だよ」
「でも、本当に気をつけてくださいね」
「わかってるよ、リルを連れていくこと許してくれてありがと」
「はい…まあそれは…」
「リルがかわいかったんでしょ?」
バーちゃんの顔がみるみる赤くなった
「かわいいなんて…まあかわいかったですけど…///」
あの可愛らしい子供に満面の笑みを向けられ、「ニワトリさん!」なんて言われたらメロメロなってしまう
「お前にはまだやらん」
「え?何か言いましたか?」
「ううん、なんでもないよ」