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カインドクロン  作者: 日和日向
4/12

新しい朝




「コケコッコオオオオ!!!」


「ハッ!!」


もうあの日から前のようなゆったりとした朝やってこない

悪夢みたような起きかたする

悪魔なんて見てないけど、とにかく心臓に悪いのだ


なんかデジャヴ…


そして、バーちゃんは私のお腹の上で暴れる

なんで朝になるとこうなるのか


「コケッコケッ!!」


「バーちゃん…ねえ大丈夫なの?」


「コケッコケッエエエ!!!」


朝が弱い私は情緒不安定だ

私の朝を邪魔する人なんて今までいなかったから

安心しきっていた


私は人にほとんど怒らない

珍しく人に怒るときは怒っているあいだの記憶がとんでいるとかなんとか


正気に戻らないバーちゃんを見てイラついてもそんなことはおきないはず…


あっ…やば…


頭が大きくふりこのようにゆれはじめた


ここで私の意識が途切れた


「コケッ?」


ガシッ!!


「グエッ!?」


「おい…ニワトリィ…うるせーんだよ!!てめえの首切ってチキンにしてやろうかあ?」


「ヒッ」


一瞬でバーちゃんが正気に戻った


バターン!!!


「日奈美さん!?」


「あああれ?私何して?」


「いいんです…私が悪いのです」


「?」


バーちゃんはまだ日奈美のことが怖くて何もいえなかった


「バーちゃんはなんで朝になるとこうなっちゃうの?」


「あ…それはまだこの体になれていなくて、寝るとニワトリのほうがでてくるんですよ」


それって結構問題じゃない…?


「昨日からお騒がせしてすいません」


「ううん、大丈夫だよ」


慣れれば大丈夫ってことだよね…多分


「さあ!日奈美さん着替えて旅にでますよ!」


「あ、うん」


出かけるときの服は白いチェニックとキャメル色のキュロットにカーキ色の上着それとグレーのキャスケット


いつもの服を脱ぐ


「あ、あの外でまってますね」


バーちゃんが照れている

ニワトリだから忘れていたが一応男?なのかな?


バーちゃんが出て行ったあと着替えた


荷物を外にだす


「ふう…いい天気」


「なんですか!?」


「え?」


「この荷物の量ですよ!!!」


「あー……」


思い出した…無理やり詰めたんだった


バーちゃんがいくつかあるおおきなバックのひとつを開けた


「!?この本の量おかしいでしょ」


「だって必要だから…」


私があまりにしょんぼりしたからバーちゃんは戸惑っている


「しょがないですね…」


「おおきめの袋あったでしょ?」


「うん」


何をするんだろうか


「袋のはしちゃんともっててくださいね」


「はーい」


ヒュン


いくつかあるおおきなバックのなかからふわふわと袋に近づいてくる

袋にはいるまえにコインと同じぐらい小さくなって袋に吸い込まれていく


ヒュンッ


A4サイズの袋に百冊以上の本がはいった

分厚い本が人差し指と親指でつまめるサイズになっていた


「すごいね、バーちゃんどうやってやったの?」


「えっへん!でも説明が苦手なので日奈美さんの好きな本をあげます」


おお、やった


手元にポンッと本があらわれる

[日常生活で使える便利な魔法術集]


こんな本に簡単に書いてあるんだな…

もっと難しい分厚い本に暗号みたいな字でのっているイメージがあった


めくってみるといちばん最初にさっきバーちゃんが使ったであろう物を小さくする魔法が書いてあった

ほかにも家事や掃除、料理に関する魔法がのっていた

主婦が見そう…


「まあ、荷物のほとんどが本だったのでスッキリしましたね」


「これでリュック一つと袋一つで持っていけますね」


「うん、鍵閉めてくるね」


「はい」




首からさげている鍵は一見アクセサリーに見える

それを使って鍵をしめた




「おまたせ」


「それじゃあ、いきましょうか!」


「うん」



後ろを見て木の家を見る

今までこの家にいたのにもう知らない家にみえる


バーちゃんが魔法でもかけたのだろうか…

知らないけど


私はバーちゃんと歩き始めた


「バーちゃん大丈夫?」


「だだいじょうぶですよ」


どうやらバーちゃんの足では私と並んで歩くことはできないようだ

どうしても私のほうが早く歩いてしまう


飛べないもんね…


バーちゃんを待つ


いいことを思いついた


「バーちゃん、リュックに結構隙間あるから、リュック少し開けてに顔だしてたらいいよ」


「いいえ、そんなことは…」


「下に入ってるの服だから固くないと思うし、小さいクッション敷いてあげるから」


「は、はい」


バーちゃんをだっこして、リュックに入れて、チャックを調節する


「うん、ぴったり」


そっとリュックをかついで歩きだす


「これからよろしくね、バーちゃん」


「は、はい!」


真っ暗な道を歩くのは怖いけど、そこに私のしらないものがあるかもしれない

それだけでワクワクする



あの家で止まっていた私の時間は動きはじめた







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