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氷と呼ばれた王子
その人は、氷とも王子ともゼロスとも呼ばれていた。
さつきは、彼女を氷先輩と読んでいた。
彼女は所謂クールでボーイッシュな先輩で、周りから人気があった。
阿呆のような戦いが、日夜下級生の間で行われていた。
レンタルショップで鈴木の好きなアーティストのCDを借りたら気に入ったので、さつきがそう告げると鈴木は冷たかった。
何か最近冷たいな。
そして、香織は聞いた。
「五月雨さんの声、キンキンして耳障りなんだよね」
どん、と彫刻刀をさつきが木に突き立てた。
無言でさつきは保健室に行き、次の授業をサボった。
優美ではない友達が、さつきの残した教科書を持って、ベッドサイドにやってきた。
何も、言わなかった。




