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修学旅行とカステラ
修学旅行の行先は、九州であった。
そこでさつきは、長崎でカステラを買い込んだ。
そして、父にはシャンパングラスを買って、ホテルのベッドに座ってびいどろを吹いていた。
夜は、理恵という友人の部屋に行って、帰ってこなかった。
朝、自室に戻ったさつきに、同室の優美が意地悪そうに笑って
「朝帰り」と言ったので、香織は苦笑するしかなかった。
そして、最後の帰りのバスでさつきはカステラを丸ごと一本食べきって、お土産が足りなくなった。
みんな買ってたから、盗めればいいのに。
そして騒ぎは起こった。
さつきには、盗癖があった。
しかし、スクールカウンセラーに相談しても、相手にされなかった。
さつきの父は、お父さんも万引きしたことあるよと言った。
修学旅行の文集が完成した。
優美のページには、
「五月雨さんが迷子になる。大きな迷子だ。」
「五月雨さんがポッペンを吹く。一日中吹く。」
と書いてあって、さつきは満足した。




