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愚痴ぐらいは聞いてやる。  作者: ミスター
6/14

買い物とお嬢様。

ここは王都の裏路地の一角、細々と営業する一軒のバー『ネリネ』

少々古めかしい内装の店はきれいに清掃されている。

昼間だからか暇そうに店主が店から出てきた。

本日の飾りは愛剣のショートソード(安もの)らしい。


「…たまには買い物でも行くか」


そう思いつき一度大きく伸びをして、店を閉める。

王都の中心街へと足を向ける。

目指すはカリュートの店。

新しく飾る変わり種の武器(安物)でもあればいいな。

そう思いつつ足をはこぶ。


中心街に近づくとガヤガヤと喧騒が聞こえてきた。


「相変わらずにぎやかな所だ」


なんとなしに屋台を冷やかしながら歩いていく。

屋台で買い食いするほどの余裕はない。

武器?武器は趣味だ。

何せファンタジーな世界だ実用は無理だが観賞用にと思ってもいいじゃないか。


まあ、実際買ったのは愛剣のみであとは貰い物だが。


どうやら目的の店についたようだ。

『カリュニス商会 王都支部』

カリュニス。

俺はあった事はないがカリュートの父親らしい。

一代で商会までにした傑物、とカリュートは言っていた。

そこの支部長を務めるのがカリュートだ。

ちなみに本部は麟族の国の龍国にある。


「邪魔するぞ」

そういって商会のドアを開ける。


「じゃあ帰ってください」


「……」

なぜか帰れと言われてしまった。


というか誰だこの子は。

明らかに人族で、この店に来るような客層には見えない。

この商会は人族以外の御用達だ。

使うのはよほどの変わり者か、俺のように個人的に伝手を持っている奴ぐらいだ。

一般の人族は、差別。

というには少々語弊があるが敬遠しているのは確かだ。


それにこの御嬢さん、貴族だろう。

見た目は赤い髪に青い瞳。

目鼻立ちはすっきりと整っている。

多少そばかすが有るが十分チャームポイントとして見れる。

年のころは10歳くらいか?

衣服は貴族のそれだ、赤を基調にしたドレスに、宝石(おそらくガーネットか?)をあしらった、意匠凝った銀のネックレスをしている。


どれだけ赤が好きなんだこの御嬢さん…


「あ~初対面でいきなり帰れはないだろう?それに俺はここのカリュートに用があってきたんだ」


「あら、ならばやはり邪魔ですわ。カリュート様はわたくしと今からお父様にご挨拶に行くのですから」


「……は?」


まて、ちょっとまて。

どういう事?『お父様にご挨拶』ってあれか結婚的前のご挨拶的な何かか?

政略結婚?

いやありえない。

いくらカリュートの父親が一代でこの商会を築いたとしても人種の壁はデカイ。

それ以前に年齢が足りてないだろう、この世界『コーラリア』の成人年齢は13歳だ。

それに貴族と他種族は基本相いれないといってもいい。

大昔の戦争の歴史がまだ本や文献として残っているため、本を読む貴族はそれを引きずる奴が多いのだ。

流石に王族ともなると0ではないにしろ、差別はかなり少ない。

この多くの種族が集まる王都で、王が差別なんぞしてたらあっという間に反乱だからな。


とりあえず御嬢さんに貴族かどうか確認しなきゃな。


「なぁ、聞きたいんだが御嬢さん貴族かい?」


「へぇ、なかなか目端は利くようですわね。ええそうですわ、わたくしの名前はクリハーミュ・フォン・ミーゼリア。そう!ミーゼリア侯爵家の次女ですわ!」


どやっ!と素晴らしいドヤ顔を披露してくれたクリハーミュ。


頭が痛くなってきた……

しかし名乗られたからには、名乗るのが礼儀とこちらも名乗る。


「俺は高田公一、裏路地でバー『ネリネ』の店主をやってる」


「へぇ、あなたが『賢者』でしたの」


違う『賢者』じゃない『初心者賢者』だ。


訂正しようと口を開いたところで2人の待ち人カリュートが姿を現したのだった。


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