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ヒーロー2

作者: 白石結衣
掲載日:2013/12/24

「花田さん、お願いがあるんだけど」



クリスマスが近付き、街が活気に溢れる12月初旬。日直の仕事を手伝ってくれていた富田くんが切り出した。


「私に出来ることならなんでも」


普段のお礼も兼ねて、と言えば魅力的な笑顔で嬉しそうに笑った。話を聞けば、クリスマスプレゼントを買うのに付き合ってほしい、とのこと。私なんかで役に立つのか分からないが、富田くんが望むのならばお供いたしましょう。ということでやってきましたショッピングモール。


「花田さん、これなんかどうかな」

「おぉ可愛いね」

「これとこれだったらどっちがいい?」

「というか富田くんの彼女さんはどんなタイプの人なのかな?」

「彼女はいないよ?」

「ではこのプレゼントは一体…」

「クリスマスに好きな人にあげようと思って」


照れ臭そうに笑う富田くんの笑顔の威力は半端なく、富田くんを見ていた店内の女性たちの大半が顔を赤らめた。が、私はそれどころではない。富田くんの発言に気もそぞろ。だってだって、遂にヒロインの登場なのである。ときめきヒロインは一体誰なのだ。舞台裏が気になる私は探りを入れることにした。


「どんな人なの?」

「なにが?」

「好きな人。ツンデレ?ツンデレでしょ!いや、あれはにゃんことも表現されるタイプだ。富田くんは猫派でしょう?」

「えーと、よくわかんないけどツンデレではないかな。猫というより…ハムスター?なんか空回ってる感じが可愛い」

「ハムスター?小動物系か。う~ん誰だろう。ヒントください!」

「秘密」


秘密の「つ」の口の形で、人差し指を立て唇に当てる富田くん…。小悪魔キャラですね!


最終的に富田くんはなにも買わなかった。今日は下調べだからと言って、クイズのように二つのうちどっちが好み?というやりとりをいろんなお店で何回も繰り返した。富田くんは満足げな顔をして私を家まで送ってくれたので、参考になった?と聞いたら、ばっちり、と満面の笑みだった。お役に立てたようでなによりです!



数日後のクリスマスに、富田くんはこないだのお礼と言って、ヒーロー戦隊キャラのぬいぐるみをくれた。なんとそれは私が今どっぷりハマっている子供向け朝番組のもので、主役のレッドマン率いる五人のヒーローたちが悪を蹴散らす素敵番組である。フィギュアを並べてせっせと埃を払い、毎日眺めてはにやにやしている。人には言ってないのに知ってるなんてさすがヒーロー!富田くんがくれたのは、紅一点ピンクレディのぬいぐるみだった。しかし、ぬいぐるみなんて発売されてたかな。首を傾げる私に、富田くんはいつもの爽やかな笑みを向けるのみだった。



「あれ手作り?」

「いや特注。世界に一つしかないんだ。五人全部揃えてあげたかったけど男をあてがうわけにいかないしね」

「それをあてがうとは言わないと思う」

「デート楽しかったな…」

「聞けよ!」


終わり

誤字等ご容赦ください。

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