第三話 変わらないモノ
「ねぇ柚花さん。もしも柚花さんが自分の弟を好きになったら、どうする?」
千は言葉を詰まらせてしまった柚花にいった。
「弟?…私は弟を恋愛対象に見たことがないからわからないけど、でもきっと好きだとは言わない。だってそれは相手を傷つけるだけだから。」
柚花は千の目に涙が溜まっているのに気が付いた。
「千君…ごめんなさい。私なんにも千君の気持ち考えないで…。」
柚花が再び泣き出してしまった時ちょうど担任が教室に入ってきた。
「席に着け。今日は転校生を紹介するぞ。」
担任の後に続いて入ってきたのは一人の女子生徒。
「宮木花です。」
それだけを言うと転校生はなにも言わずに歩きはじめた。
宮木花が足を止めた場所は、千の席の前だった。
「久しぶり。千。」
千は転校生を見ると目を大きく見開いて、固まった。
「なんでココにいるの?」
「千をずっと捜してた。名字まで変えて…そんなに私から離れたかったの?そんなに嫌われてたの?千に誤ろうと思ってたのに、もう許してくれないの?」
花はとうとう泣き出した。
千はどうすればいいのかいいのかすら解らなくなってしまった。
なにも出来ずに、昔花がよくやってくれたように花の頬に触れた。千は服の袖が捲くったままであることに気が付かなかった。
腕にある大きな古傷に気が付いたのは花だった。
「あのときの傷…残ってたんだ。」
千は傷を隠すように袖を伸ばした。
「ごめんなさい。まさかこんな傷が残るなんて、思ってなかった。」
「花…これは花のせいじゃない。これは戒めだから。花が気にすることはない。」
千はとても優しそうな顔で言った。
「千は何年たっても変わらないね。優しいトコとか。私はそんな千が好きだった。」
花はしっかりと線を見ながらそう言った。
「今も、昔もそれは変わらないよ。」
柚花は2人の会話そただ黙って聞いている事しか出来なかった。
この2人は両想いなんだ。
私なんか入るすき間がないくらいこの2人は愛し合っている。
「千君わかれよう。もう、千君を好きでいるの疲れちゃったよ。さよなら。」
柚花がやっと搾り出した言葉がその言葉だった。




