あの世の夢
気付けば私は死んでいた。
其処には私を含めた老若男女が6~8名、いやもっと少ないかも知れない。が居た。
彼らは一様に明るかった。そんな彼らも死んでいた。
そのなかの、一人の初老の男性が三角ベースをしたいと云いだした。
みんな「やろう、やろう」と乗り気である。
どうやら此処は狭間に位置するらしく、彼はもうすぐ先の世界へ行くらしい。
その前に、思い残したことをしたい。そういうことのようだ。
みんな真剣に、そして心から三角ベースを楽しんでいた。
地面は一面、大きな緑の葉に覆われ、紫色の細い茎が、踏みならされた葉の陰からみえる。
土と草の交わる匂いが心地良い。
此の場所には見覚えがある。
小学生の頃の通学路である、坂道に似ている。
以前も何度か夢で見た。面白いもので、夢の中には幾種類かの見覚えのある世界がある。
今回の場所は、そのなかの一つのようだ。
一通りゲームをし、彼は満足したようだ。
「では、いってきます」という笑顔の彼は、先の世界へと通じる窓の向こうにいた。
皆が一人ずつ、彼に言葉をかけていく。彼は笑顔で頷いていた。
私の番になった。
「神の恵みが、ありますように」
というようなことを云った。
彼も同じ言葉を返してくれた。
その言葉は、ただのオウム返しではなく、神への信仰と確信が充溢していた。
「わかっているよ、ありがとう」彼の笑顔はそう語っていた。