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第20話:亮と奏の覚悟、そしてひかりの回復

朝日が差し込む病院の個室。

ひかりはベッドの上で小さく丸まりながらも、前日よりはずっと落ち着いた表情を見せていた。

葵はその隣で手を握り、静かに見守る。


(ひかり……よかった……少しずつ回復してる……)


しかし心の奥には、まだ強い不安が渦巻いていた。

ひかりの命を守ることの重さ、そして亮と奏の想いの間で揺れる自分の気持ち。

胸の中は、喜びと不安でいっぱいだった。



---


亮が不器用に手を組み、視線をそらす。

「葵……俺、昨日のこと、ちゃんと伝えたつもりだったけど……」


葵はそっと亮の肩に手を置く。

「大丈夫。あなたの気持ちはちゃんと伝わってる」


亮は少し顔を赤くしてうつむく。

「でも、ひかりのこともある……葵の気持ちも、俺に迷いがないわけじゃない……」


その言葉に、葵は胸がぎゅっとなる。

(亮……こんなに真剣に考えてくれてる……)


奏も静かに立ち、穏やかに言った。

「亮……君の気持ちは葵に届いているよ。僕も同じだ」


その瞬間、葵は亮と奏の両方の真剣な眼差しを受け、心の中で微かな震えを感じる。

(どちらも……私を思ってくれている……どうすればいいの……?)


ひかりが葵の膝で小さく鼻を鳴らし、二人の手の中で安心する様子を見せる。

その温もりが、葵の胸をぎゅっと掴む。



---


昼過ぎ、獣医師が病室に入ってきた。

「ひかり、順調に回復しています。炎症も落ち着き、歩く練習もそろそろ始められます」


葵は思わず涙をこぼし、ひかりを抱きしめる。

「ひかり……よく頑張ったね……!」


亮も小さく息をつき、拳を握る。

「やったな……ひかり……よく耐えた」


奏は静かに微笑み、ひかりの頭を撫でる。

「安心したよ、葵もひかりも」


葵は二人の手に触れ、胸が熱くなる。

(亮も奏も……私とひかりを思ってくれてる……ありがとう……)



---


その日の夕方、施設に戻る途中、葵はひかりを抱きながら思った。

(この日常を守るために、私も強くならなきゃ……

 亮と奏の気持ちも、ひかりの命も、全部大事にしなきゃ……)


亮は運転しながら、不器用に口を開く。

「葵……ひかりが元気になるまで、俺、絶対守るからな」


奏も助手席で静かに頷く。

「僕も同じだ。葵とひかりを、全力で守る」


その二人の覚悟を聞き、葵は胸が熱くなる。

(亮も奏も……私のためにここまで考えてくれてる……)


ひかりが膝で小さく鼻を鳴らし、安心した様子を見せる。

その温もりが、葵の胸を優しく満たす。



---


夜、施設の宿直室で、葵はひかりを膝に抱きながら考えていた。


(ひかりが元気になった……でも、私の胸の中はまだ揺れてる……

 亮の不器用な優しさ、奏の静かな想い……どちらも大切……)


亮がそっと隣に座り、葵の手を握る。

「葵……俺、お前を守る覚悟はできてる」


奏も反対側に座り、静かに手を添える。

「僕も同じだ……葵とひかりを守る」


三人と一匹の存在が、互いの心を確かに結びつける。

そして、揺れる感情の中で、葵は少しずつ答えを見つけ始める。



---


その夜、ひかりは膝で静かに眠り、葵の手を軽く舐めた。

葵は目を閉じ、胸の奥で誓う。


(ひかりを守る……

 亮と奏の気持ちも大切にしながら、私の心も整理していく……

 これから先、何があっても負けない……)


亮と奏も、静かにその決意を見守る。

その絆は、涙と笑顔を重ねながら、これからの大きな感動へと繋がっていく。


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