其の五
平左衛門と源次郎が釣りに行く約束をした当日の朝でございます。
孝介は屋敷の襖の影から槍を構え、源次郎を待ち伏せておりました。
そして、源次郎の姿が襖に写ると、「ヤ!!」と槍で突きます。
「ウッ!!!」という声が、源次郎のものではないと思い、孝介は襖を開けて確認します、そこには、平左衛門が倒れておりました。
「殿!!!!!」孝介は駆け寄り、傷口を縛ります。
「良い!これで良いのだ!!儂が源次郎のふりをしてお前に突かせた。これで良いのだ。
この手紙と刀を持って相川殿のところに行け。そこに全て書いてある。走れ、行け!!」
殿の命は絶対である世でした。
後髪引かれる思いで孝介は屋敷を後にしました。
手紙にはこう書いてありました。
「自分は、孝介の親の仇であることがわかり、討たれようと思う。もう一つ、飯島家には別の問題を抱えており、
自分はお国、源次郎両名に命を狙われている。黙ってやられるつもりはないが、重傷を負ってる身で二人相手にできるとは思えぬ。
相川殿においては、孝介とお徳殿との間に一刻も早く男児をもうけさせ、飯島家再興を志していただきたい」
しまった!!と、孝介は屋敷に引き返します。しかし時はすでに遅く、平左衛門は息絶えておりました。
このときに孝介が平左衛門から受け取った刀が、「菊正宗」という一振り。かつて、平左衛門が自分の父、黒川孝蔵を斬った刀でした。
孝介の生きる目的が変わりました。お国、源次郎を斬り、殿の仇を討つことです。
しかし新潟の方へ逃げおおせたという二人の手がかりが掴めないでいました。
不安を募らせた孝介に、相川新五兵衛は敵討ちが成就するか、「白翁堂勇斎」という人相見に占ってもらうよう提案します。
義父の提案通り、白翁堂勇斎の元へ訪ねる孝介でありましたが、道中、奇妙な男とぶつかってしまいます。
「どこに目をつけておる!」
すると男は怯えたそぶりで孝介に哀願します。
「命を狙われてる!助けてくれ!」
「そういうことなら助太刀いたす。相手はどこだ?」
孝介は尋ねると……
御用だ!!御用、御用!!!!!
ワアーっと大勢の人間に囲まれるのでありました。
これはどうしたことか?と孝介は困惑するのでありました。
(↑この内容、後で中間試験2 としで出題します!! 覚えておいてくだい!!)