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其の二十


『仇討ち成就、おめでとうございます』


などと言われていた時代にございます。孝介の殺人は『仇討ちにつき』と処理され、お咎めなく孝介は残してきた母の元に引き返しましたが…



残念なことに、おりえの魂はこの世から旅立ってしまいました。



宇都宮の夜空を、孝介の声にならない乾いた叫びが包みました……。

ここにきてようやく、孝介は泣くことを許されたのでございました……。



相川のお殿様のもとに戻り、一連の報告を済ませます。



相川新五兵衛あいかわしんごべい」は、孝介の話を目を閉じて聞きました。


「そうか……辛かったのう。悲しかったのう。

 よくやった。お前は、よくやった……

 お前に一つだけ良い知らせがある。『お徳』に子が生まれた。男子だ。

 お前から一文字とって『孝太郎こうたろう』と名付けたが、よかったかな?」


「………!!、ありがとう存じます」




次の年の初詣、孝介は一族揃って、飯島平左衛門に仇討ち成就、そして飯島家再生の報告を済ませるのでございました。








…… ……


三遊亭圓朝作、牡丹灯籠、以上で速記は、了、となっております。




…… ……




……いやあ、思いの外、長い話になってしまいました。

最後までお付き合いいただいた方におかれましては、本当に、お疲れ様でございます。




さて、本題はなんだったか、思い出していただきたいのでございます!


というわけで期末試験です!!






この作品のタイトルを思い出してください。『牡丹灯籠』でございます。


この話の!ど・こ・に! 『牡丹灯籠』が出てきましたか!!?


回想しながら書いてる私も、「2・3度出てきたかなあ……」と思ってる程度でございますよ!?





まあ、『モブキャラが持ってた小道具』は言い過ぎだな……と、回想を終えた今、反省しております。


ですが、だからこそ逆に、はるか過去に言いました「ゲームオブスローンのタイトルが、『短剣ニードル』になったら納得できるか」と言う例えは、


いいえて妙だったのではないか……?と今は思います。



ウィキペディアによりますと、

この「牡丹灯籠」と言う話は、中国は明の時代の怪奇小説集「剪灯新話」からの一説、「牡丹燈記」から着想を得て、

三遊亭圓朝が作品を仕上げたそうです。

だから「牡丹灯籠」と言う作品なんじゃないか? と思うところなのでしょうが、じゃあお伺いしますが、


圓朝師匠! そのタイトルで本当にあってますでしょうか?!


納得できますか!? この壮大な物語のタイトルが、お米さんの偶然持ってた「牡丹の灯籠」で納得いきますか!?

え、ここで引っ掛かっているのは私だけでしょうか!?




……しかし、このモヤモヤには反対側の熱量のモヤが存在するのでございます。


それは、

「この、壮大な物語、人間ドラマにタイトルを与えるとしたら、何がふさわしいだろう?」と言う悩みにございます。

私如きには、何も思い浮かびませぬ。



前にも書きましたが、

「山と山とは会わぬもの。人と人とは出会うもの」

と言う言葉にありますように、


大勢の人間がそれぞれ、出会い、互いに翻弄され、もんどり打って、一つの物語になる。

それはまるで、光に吸い寄せられるように。


その光を……灯籠の光に圓朝師匠は見立てたのでしょうか。


などと、これを書いている瞬間に思いつきました。

これを思いついただけでも、「ああ、頑張って回想してよかったな」と思います。


皆様は、この物語に『牡丹灯籠』と言う作品名が付けられたことについて、どう思われますか?

よろしければお聞かせください。


次回、最終回にございます。最後まで見届けておくんなまし。おくんなまし。

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