stranger
【ふっくらとうさぎが見える月の夜の夢】
10月にもなったというのに灰色うさぎが七夕祭りをし忘れたと慌てて笹を出したという。
どうせ「あそこ」だろうと、夕方、近所の子ども食堂を覗いてみれば、そこには立派な笹と無数のキラキラした短冊、秋のバザーに出す品が置いてあった。
「3ヶ月遅れじゃないのかね?」と持ってきたバザー行きの品を置きながら、まあるい灰色頭に尋ねてみれば、からからと笑っている。
多少下とはいえ同じジジイの癖に、相変わらず人好きする笑顔で、今日も子どもたちにそろばんを教えていた。
「ん。まあ、そう言うなよ。あなたも短冊に願いを書いてみたらどうだ?」そう、視線に誘われて括られた短冊ひとつを手に取った。
「常はさね 思はぬものを 望月の 茜差す色 惜しむ宵かな」
その日の「日記」にはこう書かれていた。
20161007
福岡さんからメール。我々は我々の環世界(認識)から逃れられない。ピュシスを記述しようとしロゴスに囚われる。思考は「言語野」で行われる。音楽は?音楽ならロゴスに囚われずにピュシスにたどり着ける?
「これ、単なるはい」「できたー!!うさせんせー!!」「こら、机跨ぐな」『バシャッ』「あっつ!」「ごめんなさい!」「タオル取って!!」
茶色の瞳は慌ただしさで見えなくなった。
『ごーん、ごーん』
【下弦月夜の夢】
20220304
0534 36.7/BP 115-80/SPO 97
『We can never be satisfied 』




