月夜に見えぬ金木犀
★この窓という画面のように、もし、この方の中身が箱の中なら、それはこの世の一切の栄光と快楽を与えられているコンピュータでしょう。
この方の頭脳で、これからこの分野は飛躍的に進化し、新たな論理という思考遊戯の愉悦を思うままに、神は彼に与えると思います。
言ってしまえば、一定のルール下で知的思考を行うことは、我々もAIも何ら変わりません。人と機械の論理と、分けることがそもそもの間違いなのかもしれません。
疑惑の論文は、本来見れないはずの生成AIの完成ロジックをそのまま自分の成果として発表したのではないか、と問題になりました。
結果だけでは、意味がありません。いかにその思考を辿るか、再現性や拡張性がなければ論に足り得ません。
しかし疑惑は疑惑のまま。「やった」とも「やっていない」とわかりませんでした。結果的に「証明不可」として、終わりになりましたが、まあ、もう我々には「証明できません」。
コンピュータの履歴などで身の潔白を証明することぐらいしか防ぎようがない。私自身へ、いつ矛先が回るか。いつかくるだろう、人が機械だと見破れなくなる日の恐ろしさは感じています。
☆え?お互いに読み合っていたはずなのに、読めなくなった。驚いて、あなたの顔を見れば、にっこり笑っている。
盤面に目を落とすと、いつのまにかあなたは、ノートパソコンを閉じて膝の上でポーンの駒を撫でていた。左手の指輪に蛍光灯が反射している。
僕も開いていた古今和歌集を閉じた。改めて、お互いにこの「会話」に集中し始めていた。
…毎日、車に乗り、テレビを見て、日記を書き、眠りにつく…
★おそらく、あと10手ですが、チケットの確認に車掌が来ました。3次元を平面に映す窓ガラスの中は、車掌の手が伸びて、その指が彼の口元を塞ぎ、腕が肩まで重なったように見えます。彼の口元を閉ざし、彼だけがわかる世界を秘密にするように。




