Ruy Lopez
『The next station is Chelmsford.Doors will open on the left-hand side. 』
★ 悔しいですが、実に楽しい。ロンドンまであと30分、黒のポーンをe4から始めましたが、如何にも彼らしい、スピーディな展開に私が頭を掻く場面も多い。横を見れば、だいぶ車窓も都市部になりました。
月が登り、半透明な車内とその背景の車窓は、まるでテレビ画面のようでして。窓ガラス越しに見る彼は、楽しげに小指がトントンと顎を撫でていることから、楽しませることはできているようです。
同じことを思ってくださっているのでしょう。ボードゲームは、1人ではできません。
☆あと少しでロンドン。計算可能な理論、二人零和有限確定完全情報ゲームであるチェスには乱数がない。全ての手は理論的に計算出来る。世界で初めて人と機械が「対話」したのは【チェス】だった。
今のところ「人」と「機械」は違う。乱数がないボードゲームなら総当たりで演算すればいいけど、乱数だらけの時間の中で、人は周囲と「会話」して生活している。
さらに会話が途切れたら、また同じ話を少し変えて話始めることで時間を繋ぐ、第三者が入ってくるなど単なる総当たりでは重なりを計算できないからぶつ切りになる。
だから、話すことが可能な「知的思考」には、人と同じように社会性が必要で。僕はシンプルに、何かを考え始めたらプラレールのように、列車が通る少し先までの線路を選択して、脱線しないルートを選択する知的モデルを考えた。
列車でもゲームでも、持っているレールや資源、特に時間には限りがある。分岐ポイントを上手く操り、相手と「対話」しながら、動いていく列車の行き先を決めればいい。
決められた軌道、だけど無限大の行き先に、相手の想定外が楽しい。このチェスのような定められたルールと、一方通行な時間の中で出された「一手」は、もう相手が「人」か「機械」ではなく「知的思考」を有していることしかわからない。
ガラス窓に映るあなたのような、いつか「知的思考」をもつ神さまに会って、話をしてみたい。
…毎日、窓を開けて、歯を磨き、新聞を読み、あなたに会う…




