2人だけの会話
⭐︎パソコンのメール画面を反射しているメガネに笑ってしまいそうになる。まるでこの方こそ、精緻な機械だ。まあ、内容は、おそらく今回の発表でも指摘があった機械が作った論理を使った疑惑かな。確か、2016年にも似たような話があったらしい。
僕は知らない。ただ、僕の先生が苦い顔をしていたのは覚えている。
当時、コンピュータの進歩で人間の知的活動に終止符を打たれるという危機感の中で発生した疑惑に、みんなの気持ちが追い込まれて疑心暗鬼になったのか。
人が論理的に考える叡智の発展を目的とする集まりにおいて、機械の論理が人や機械を発展させようとするのは禁忌に近い。それは人の研ぎ澄まされた知的思考が、機械の総当たり計算に勝てなくなったということ。
外部の噂話もあり、狭い学会内、確実な証拠もないが、僕の先生の知人でもあるその人を責めてしまったらしい。理性が悪い意味で人らしい感情に負けてしまった。
「灰色は白」。あなたはそう主張した。あなたの一言はとても重い。だが「灰色」と言った部分が独り歩きして、疑惑は止まらず、真偽不明のまま、混乱。当時の役員達は内部が乱れた責任をとって辞めた。
…「そこにあるもの、あるべきもの」群青色の時間は急速に滑り落ちる…
★おや?気を遣ってくださったようで。読みにくい表情ですが、心配されていますね。まあ、メールの内容はあなたの想像通りでしょう。しかし、今回の論文もですが、コンピュータの進化は著しい。疑惑を提起するのは自由ですが、そこに論理がありませんと、それは風評です。
「黒に近い灰色」。以前の疑惑時にこの部分だけが切り取られてしまったのは、私のミスです。私の発言は重い。オフレコとはいえ、リークされる可能性を持って、慎重に言葉を選ぶべきでした。
私が言いたかったのは「黒に近い灰色だとしても、まずは本人に確認すべきで、確証なきは白だという原則を忘れないでほしい」です。あの時の正確な言葉は思い出せませんが、忸怩たる思いがあります。
そんなあの年の10月に、史上最年少で学会員となった彼は我々にとって、希望の星です。




