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Guys with the Dragon Tattoo   作者: Coppélia
7月 Put Your Hands Up
47/64

蜃気楼を貫く光

俺を撥ねたドライバーへ


はじめまして。

あの日、あなたの信号無視により撥ねられた者です。お手紙を拝読しました。


まず、あなたについて、僕は同情しません。あなたは無関係な人を殺しかけました。


僕は助かりましたが、それは結果です。

あなたは、間違えました。


あなたが今、何を考えているかはわかりませんが、おそらく後悔していると思います。それは自分が可哀想ではないと信じています。


正直、今でも、恨み言が口から出そうになります。でも、僕はあなたを糾弾する為にこの手紙を書いていません。


僕の夢を、あなたは消せなかったことを伝える為です。


確かにあの日、バスケで全国一位になる夢は終わりました。


僕自身、どうしたらいいのか、夢がなくなったと、自分では救済不可能な困難への、自分の無力さに泣きました。


そんな究極のピンチに追い込まれた時、一番支えてくれたのは、みんなとの絆でした。


あれから色々な人から話を聞いて、僕は今まで持っていた夢の正体を、僕なりに掴みました。


それは、目標に向かって歩いていく、信頼され、信頼を返せる仲間達がいる。それがあって、初めて、目標は夢になる。


だから、僕の夢はなくなりません。仲間達と新しい目標を見つけて、新しい夢を持つからです。


僕は、今、あなたを恨んでいません。

あなたは間違えた。それだけです。


あなたも、ここまで落ちて、これから信頼回復のために、あるいは蘇るために、努力するでしょう。


どんなことでも、そこに相手を思う心があれば、それは誰かの心に必ず届くと、僕は思えるようになったから、だから、この手紙をあなたに送ります。


◇◇◇

講義の最終レポートとして提出した手紙に、教授は別添えの一筆箋で「Thank you」と署名を付けて返してきた。


昨夜の23時、テレビの中で教授は「生まれてはみたものの」と経済格差や戦争の悲惨さを、講義と変わらぬ淡々とした様子で伝えていた。


学校のベンチで、真っ直ぐで眩しい、新しい光で優しい水色になっている空を見上げる。


太陽が真上に来る頃、学校の前にある赤いポストに、俺は手紙を投函した。

挿絵(By みてみん)

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