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Guys with the Dragon Tattoo   作者: Coppélia
8月 1919
41/64

幸福のねずみ

T『8年前』

◯イギリス・ロンドン・夕方、トワイライト

 2016年8月、テレビからバイロイト音楽祭の「ニーベルングの指環、最終章」が流れ始める夕暮れ時、溜まり場となっている「ケンタッキー」で2人の若者が話をしている。2人は互いに大学卒業まであと1ヶ月のモラトリアムを満喫している。


ボブ(23)「お前さ、フェアウェルパーティの相手は決めた?」

俺(21)「あ?まだ」


ソファ席に座り、俺はタバコを口に咥え、テーブルにあったライターで火をつけ、ゆっくりと美味そうに吸って吐く。


遠くから「1€、1€」と言いながら紙コップで各テーブルを叩いてホームレスが近づいてくる。


ボブ、見向きもせず手を振る。

俺、ホームレスと目が合う。


ホームレス「(ギラついた目で、力強く)1€」

俺 何も言わず、手を振る。

ホームレス 盛大に舌打ちして去る。


ボブ「(蔑さんだ目でホームレスを一瞥し)社会のゴミが」

俺「(どこか呆然と言葉がでないで)昨日さ、日本語になっていた禁書を読んだんだ」

ボブ「へー。日本語の禁書?(ニヤニヤと)」

俺「Mein Kampf、我が闘争」

ボブ「(興味を無くしたように)ああ、あれ日本語なら読めるんだ?」

俺「ああ。その中にさ「空腹は理性をなくさせ、先のことを考える余裕を奪う」ってあった」


俺N「この独裁者によれば、経済的貧困は本人の咎なくして起こり、人から尊厳を奪い取るという。最終的にあってはならない結果を出したが、当時の人々はこの独裁者を選ぶほど、他の国々に尊厳を奪い取られてしまった」


ボブ「(肩を竦めて)確かに周りは捨てるほど食べているのに、自分だけ腹が減っていたら、殺したくなる程恨むだろう」


遠ざかっていく「1€」の声が響いている。

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