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Guys with the Dragon Tattoo   作者: Coppélia
end roll/東風
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Back to the XXXX

木目調メインのカフェ。ソファはありませんが木製の椅子とセンスのいいデザイン雑誌や雑貨に囲まれていて、過ごしやすい雰囲気です。


「お待たせしました。」


こちらは静かな声の店員さん。とても眠そうな目をしていて、その間延びしたような、0.7テンポぐらいゆっくりな言葉に、陽だまりで寝ているしなやかな猫を幻視してしまう。


猫耳、どうだろう?


そんなことは口にせず、頂いたコーヒーをそのまま一口飲んでみると「あら、美味し。」店員さんは嬉しそうな笑顔を向けてきました。


「マスターの淹れるコーヒーで、ブラックならのおすすめです。」


店員さんの視線に促されて顔を向ければ、気難しそうな顔をしたマスターが「武器よさらば」を読んでいました。


「どうぞ、ごゆっくり。」


美味しいコーヒーに静かな時間。ゆっくりと仕事の緊張がコーヒーに溶けますが、壁の時計は約束まで残り1時間を指しています。そろそろ行かなきゃ。


「ごちそうさまでした。」


階段を降りて外に出ると、2人組の外国人が階段入り口付近で困っている様子でした。


「Hello. May I help you?」


私の呼びかけに、人好きのする笑顔に底冷えするような目の南欧系の青年と、見るからにアメリカ人という少し垢抜けない青年がこっちを向きました。


彼らはどうやら道に迷ったようです。

携帯をお借りしてGoogleマップで道を表示します。


満面の笑みで「Thank you!」と言ってくれたのは南欧系の人なのに、感謝の形に握手を求めてきたのはアメリカ人だったのが印象的でした。


さて、今日約束のお店がある「麻布十番駅」へは「新宿」からだと、一度「都庁前」に移動する必要があります。相変わらず、変わった乗り換えです。


都庁前の乗り換えホームへ向かう途中、前方から少し間延びした話し方で、電車に関して滔々と語る声が聞こえてきました。


そのまま階段を降りると、柔らかな声で夢中になって話す若者と、楽しそうに聞いているどこか浮世離れした感じのするおじさまが見えます。先生と書生というのがピッタリな大正ロマン in 令和な2人組です。


先生の鞄にはうさぎのキーホルダー、学生は手に「今昔物語集」。泉鏡花と谷崎潤一郎が現世に再臨。もう、今から乗るのは電車じゃなくて汽車だった。


『都庁前~』


普通に電車がきました。しかし、誰かを待っているのでしょうか?彼らは乗ってきませんでした。

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