自由強度
3年後から見たら、今感じているすべての偶然は、みんな必然になると思うよ。
あの厳しいけど、楽しかった時間を乗り越えて、アプリをリリースした。
リリース直後は特に反応がなかったけど、半年後ぐらいにイギリスのメーカに売り込む機会が得られて、アプリは爆発的に売れた。
いわば日本に逆輸入する形で、僕達とアプリは受け入れられた。そして僕らは一躍、スターエンジニアに敏腕プロデューサー、著名な音楽家になった。
本当にさ、意味がわからないよね。だって、みんなすでにその才能も実力もあるのに、今更「IT界を変える超新星グループ誕生!」って何言ってるの?って僕は思った。
売れてからは、まるでアイドルにでもなったみたいな毎日で案外楽しかった。グラビア雑誌にもう一つ専門にしてる服飾デザインとかまで着目して貰ったから、仕事の自由度が上がった。
確かに出歩く自由はなくなったけど、仕事を選べるようになったし、満足していたんだ。1人を除いて。
『もう辞める』
短い電信が届いた。なんやかんやと愛しい彼は怒り心頭らしく、話をする余地すらなさそうだった。
先輩に相談したら「別にいいんじゃない?」
そうなんだけど、そうじゃないんだ。だから、僕は僕の方から彼に近づこうと作曲をした。今度は僕から彼にアプローチした。
これからの僕達のことを、この一曲に込めた。わかってくれると信じて。
『話はする。契約あるし。』
久しぶりに顔を合わせた彼は、こざっぱりとしたイケメンに変貌を遂げていたが、その顔は完全に不貞腐れていた。




