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Guys with the Dragon Tattoo   作者: Coppélia
5月 Menuet k.1
13/64

コキア

この綺麗な人は一体、何がしたいのだろうか?


「お待たせしました」


真っ白なクロスの上に乗せられた灰色の美しい皿。その上に描かれた色彩豊かな一品は、確かに美しいのに、彼の背後に見えるキッチンは「惨状」としか言えなかった。


「どうした?」


色白銀髪、切長な翡翠色の目に神々しささえ感じる彼は、自信ありげにテーブルの横に立っていた。


ハカス人だという彼は、俺より高い背を少し屈めて、俺を見つめていた。俺は耐えきれずに告げた。


「あの、これ、食べれます?」


爆発音さえ聞こえた調理状態に、キッチンの惨状。目の前の「料理人」の幻想的な美しさも相まって、このあまりに美しい「ひとさら」は食べ物ではない気がする。


「何を言っているんだ?ほら、早く食べないと夜の仕込みに間に合わないぞ?」


不思議そうな顔をして、彼は向かいの席に座った。


バスクの風俗ではランチでも余裕があればワインを嗜む。テーブルワインを口に含んで、俺は、その美しい烏賊のファルスを切り刻んだ。


「片付けしときますね」


俺はコンペの入賞特典である2年間の料理留学にバスク料理を選んだ。紹介されたのは海辺の街、サン・セバスティアン。


ここで取引のあるスペインの会社の紹介でバスク料理店に留学し、彼に出会った。


この美しすぎる彼は、画家を目指してパリに出てきたが、パリの画家達のレベルの高さとモラルの無さに絶望していたところで、この店の料理に出会い料理人になったらしい。


だが、彼の料理は、彼と皿の見た目の華やかさに対して、非常に「普通」の味がする。


その落差と調理しながらの片付けという基本が苦手のため、スーシェフとして俺がついた。


彼はソムリエの資格も持っているし、その容姿からも「ギャルソン」向きだと思うけど、真剣に料理に向き合う彼に、それは言い難かった。


「お前の作るお菓子は美味しいな」


小さな店だ。店が1階、倉庫兼事務所が2階、住み込み従業員の俺と彼が3階に住んでいた。


オーナーは食材輸出なども手掛けており、俺がきてからはもっぱら俺と彼に店を任せていたから、夏の始めに出会って、年が明ける頃には、2人で過ごすのが自然になっていた。


俺たちは食べ歩き、試食し、これはと思うものは店で提供することを繰り返した。


特に俺と彼で考えたデザートまで楽しめる酒とお菓子のマリアージュは、従来、酒はメインまでとする考えを覆し、コース料理の定義を広げた。各コースで飲む酒の種類を問わないとしたことがハマった。


彼の料理はとても食べやすい。彼の見た目や皿の美しさに目が眩みがちだが、彼の料理は万人向けの優しい味だった。だから、家庭で食べるように制限を作らず、最後まで酒が飲めるメニューを組み立てた。


日本酒は甘いものにも合う。デザートワインにするのではなく、デザートに酒を添わせた。


「やった!」


店が有名なガイドブックに紹介される頃には、彼との生活は1年と半分が過ぎていた。

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