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痺れるほどに、魅力的

作者: 一色 良薬

「呼吸困難を起こすほど痺れるキラメキを与えてあげる! 布袋キララ、あなたの致命傷になります!」

 アイドルなんざ、たかが知れている。

 差別化を狙い過ぎて逆にスベっているキャラ設定。

 こねくり回した陳腐な挨拶と見飽きた仕草と笑顔。

 どいつもこいつも、画面から、舞台から、音源から伝わる意識の欠片のない凡々な才能。

 つまんねぇ自己顕示欲の塊を引っ提げて、他者の銭で欲求を満たす偶像連中でしかない。

 低俗で大衆的な媚売りだと、冷静に理解していた──つもりだった。

「酔いと一緒に私をふくんで──とっておきの魅惑で貴方を痙攣させるの──ポイズニング!」

 彼女の存在は俺にとって“毒”だ。

 舞台で胞子のように振りまく輝きは、彼女の肩書き同様に致命傷レベルの痺れを全身に与えてくれる。

 差別化を狙い過ぎて逆にスベっているキャラ設定。

 こねくり回した陳腐な挨拶と見飽きた仕草と笑顔。

 どいつもこいつも、画面から、舞台から、音源が伝わる意識の欠片のない凡々な才能。

 つまんねぇ自己顕示欲の塊を引っ提げて、他者の銭で欲求を満たす偶像連中でしかない。

 斜に構えてくっだらねぇと缶ビール片手にぼんやりとテレビを見ていたはずだったのに。

 布袋キララに出会った瞬間、俺の偏見で満ちていた“偶像”の固定観念をぶち壊していった。

 彼女の台詞が、彼女の仕草が、彼女の笑顔が、彼女の歌声が──彼女のキラメキが。

 俺の身体の中で作用を増幅させ、狂暴なほどに暴れはじめた。

 度数の高いストロング缶のせいか。それとも彼女の魅惑のせいか。

 どちらの酔いで吐き気を催すほど心臓が痛いのか。

「さぁ! みんなでコールレスポンスだよ! ポイズニングー!」

 なんて分かりきっている質問は愚問だ。ライブ会場でもキラメキを放つ彼女は、誰彼構わずに“毒”を振りまいて魅了している。

「……本当にくっだらねぇ」

 大衆的な酔いと彼女の“毒”で致命傷を負えるなら、それも悪くはないと握り拳でコールレスポンスを掲げた。

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