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「なあ、俺が想像した移動方法と違うのだが・・・」


『こちらの方が楽ではありませんか?』


 樹はいま海に向かっていた。


 家や家具、壁などが作り終えたが、まだまだ必要なモノはあった。


 あったのだが、それはもうはや過去の話。


 テレビとかに必要な電気をどうするかと悩んでいれば、別にそんなもの必要なく、どんな原理か知らないが普通にテレビの電源は入った。


 そして、何処の国の街並みかわからないけど、なんか旅番組が流れている。


 見知った映画やドラマも流れていたし、暇つぶし用と考えていたゲームも美怜が作ってくれた。


 初めは俺だってお気に入りのゲームを作ろうと思ったのだが、美味く作れずに時間だけが流れてしまい、結局こういった複雑な機械類は美怜にお任せすることにした。


 ホントこの子何でもできて頼りになるわ~。


 頼りになり過ぎてこのままヒモ&引きこもり生活のダメ男人生が始まりそうなほどに。


 なので、そんな人生とはおさらばする為に、俺は思い切って外に出向くことにした。


 まずは島を見て回ろう。


 そして、俺は颯爽と森の中を駆け抜けるようにバギーを作ってもらい、走らせようとしたのだが、なぜかバギーに乗った瞬間、シートベルトが勝手に身体に巻き付き、空を飛び始めた。


 バギーは空を飛ばないはずなのに・・。


「森の中を走りたかったのだが・・」


『整備されていない道を走行した場合、転倒する可能性があります。怪我、及び死の可能性が高い行動は許可できません』


 確かに危ないとは思うが、だからいいんじゃないかと言いたい。


 危険は楽しいんだぜ?


『樹様をお守りするのが美怜の存在意義です。遊びたいのであれば家でゲームでもしていてください。というより、面倒なので家から出るなと願います』


「イヤに決まってるだろ。ずっと家に居たら腐っちまうよ」


『何事も腐りかけがうまいと申します。人も同じように腐るくらいが一番・・・・あぁ、なるほど』


「おい! 今何で納得した! まさか俺はもう腐っているとか思ってないよな!」


『まさか・・・あっ! 海でございます。樹様のお顔のようなはっきりしない顔立ちの海が広がっております!』


「はっきりしない顔立ちの海ってどんなだ!・・・誰の顔がはっきりしない顔だーっ!!」


 美怜はいちいち俺をバカにしないと会話が成り立たないのだろうか?


 もう少し目上の者に対して敬意を・・・俺の方が年上なのだろうか? 年上だよな?


 未確認生物だけど美怜ってイケボ野郎に作られたとか言っていたから、一歳未満だよな。


 うん、本人も生まれて間もないとか言っていたもんな。


 だけどそう決めるのも早計か?


 なんたって美怜は未確認生物だからなぁあぁぁぁぁ!?


「みれいぃぃぃぃ!! なんで木々の中を爆走してんだぁぁあーー!! あぶねぇ! あぶねぇっ! あたるっつぅのぉぉぉ!!」


 今までゆったりと安全な空の旅をしていたというのに、行き成り森の中へと突っ込み縦横無尽に爆走を始めた。


『完全超絶美少女美怜様とお呼びするならば許しましたが、まさかの未確認生物呼ばわりされるとは思いませんでした。これは侮辱です。清らかなる乙女の心に深い傷をつける侮辱に他なりません』


「なにが完全超絶だ! 美少女って年齢でもないだろ! 幼児じゃんかぁぁっ!」


『この美怜が幼児ですか、そうですか。確かに年齢で言えば生まれて間もないですが、この美怜を赤子呼ばわりとは・・・・・そうですか、ええそうですか』


「お、おい、なんか怒ってない?」


 なんだ? 未確認生物呼ばわりよりも赤子呼ばわりの方が頭にきているような気がする。


 というか、美怜の姿など見えないはずなのに、なぜか気の強そうな中学生か高校生くらいの女の子が不敵な笑みを浮かべているような幻覚が見える。


 少女とか言ったからそんな幻覚が見えたのだろうか?


『これより時の入口へとご案内致します』


「は? お前何言って」


『一部の者しか垣間見えなかった世界をどうぞお楽しみください』


「ウギッ!?・・・・」


 その言葉を最後に俺の視界に入る世界が変わった。


 初めて見る世界って感じだ。


 世界の全てがやけに長く伸び、前から後ろへと流れていく。


 アレだな。レーサーとかそういう人が見ていそうな世界だ。


 うん、これは確かに一般人が見られるような世界じゃないね。


 そして、そんな世界で俺が意識を保てるわけもなく、気絶したのは言うまでもないだろう。


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