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「なあ、美怜。今更だがここってどこなんだ? まさか地球じゃないとか言わないよね? あの神ぽい神じゃない人からの言葉から、俺が死んだのはなんとなく予想できるけど、それ以外説明と言う説明がされなかったからよくわかんねぇんだよ」


 なんか、俺の輪廻の輪が準備できていないとかで、もうちょい生きろとしか言われずここに放置された。


 放置するなら森の中じゃなくてどこか人里近くにして欲しかった。


 まあ、美怜という凄いサポーターがいるからあまり文句は言えないけど。


『ここは廃棄した星、【ルミィヴェル】でございます』


「廃棄した星? 要するに異世界ってこと?」


『その認識で宜しいかと』


 マジか。


 最近異世界転生物が人気だが、流石に現実で異世界転生させられるとは思わなかった。


 いや、どちらかと言うと異世界転移かな。


「廃棄された異世界ってことはやっぱり危険なモンスターとか魔王とかいたりするの? それで人は全滅の危機に瀕していたりとか。そんな感じのヤバイ世界じゃないよな?」


『モンスターと言う存在は確認できず、魔王と言う存在は物語の中の空想物です。ただし、地球とは異なり、多くの人型種が存在しております。そして、この星には貴方様の知る動植物よりも体は大きく凶暴である為、それをモンスターと認識するのであれば、肯定と言えます』


「大きいってどれくらいだ? ネズミが象みたいにデカくなっていたりするのか?」


『鼠は3・4倍ほど巨大化しております。他の生物も同じほど巨大化しております』


「・・・・・・まじで」


 軽く言っているが、物凄くヤバくないか?


 鼠って確か最長25㎝もある種もいるよな。


 それが3・4倍って1mほどの大きさにまで成長しているってことだろ。


 そんな巨大生物は充分モンスターと呼ぶに値するだろ。


『別に口から火を吐くわけでも、魔法という摩訶不思議な力を使う訳でもないのでモンスターではありません』


「別にそんなファンタジー要素を求めちゃいないよ。というかこの世界には魔法があるの?」


 やっぱり異世界らしく手から火の玉とか飛ばしたりするのだろうか?


 それなら俺も使ってみたいものだ。


『はっ!』


「ん? 今笑ったか?」


『何のことでしょう? それよりも、この世界には魔法と言う非科学的なモノはございません』


 いや絶対笑ったろ!


 つかバカにしただろ!


 言っておくが、バトルものとか好きなのは男として当然なんだからな!


 手からエネルギー弾とか打つのは誰でも一度は夢見るからな!


「・・・・・・そうなの? それは残念だな」


 だけど、そんな言い訳は口にしない。


 大人としてここは寛大な心で受け流してあげよう。


『口に出さないからと言っても、考えていることは筒抜けですが、それはいいのですか?』


「そう言うのは空気を呼んでツッコまないでっ!!」


『善処します』


 うわ~、この子了承しねぇよ。


 マジで何なのこの子。


 ヤベェ力持っていて頼もしいけど、心の中まで読まれる現状落ち着かない。


 隠し事ができないことにストレスが溜まりそう・・。


『でしたら美怜を廃棄なさいますか?』


「心の中で愚痴言ったくらいで拗ねないでよ。つか、人の心覗いて傷つくんだったら、読まなければいいだけじゃないの?」


『それは不可能です。美怜は樹様の全てを知り、樹様に快適な余生を過ごして頂くために作られたモノです。故に樹様を知る手段を使わないという判断は選べません』


「・・・なるほどねぇ」


 選べませんと言う言葉に、美怜自身何か強制されているのを感じた。


 それについて詳しく聞くべきかと思う樹だが、今も心の中を覗いている美怜が何も言ってこないのは、聞いて欲しくないのか、聞かれても答えられない事なのだろうと結論づけ、聞き流すことにした。


「しかし、動植物が大きくなっている世界で、良く人間が生き残れているね。コモドオオトカゲとか巨大化していたら、恐竜と変わらないじゃん」


 というより、昆虫種が巨大化していたら人類絶滅は必至だろう。


 デカイ蚊が何匹も群がって来たら、一瞬でミイラにされる。


『確かに身体能力だけを見れば人種に勝ち目はありません。

 ですが、人種は武器を作り、罠を作り、戦術を編み出し、集団戦という数の力で抗うことで生きながらえています。ちなみに昆虫種の大きさは地球と変わりませんのでそこまで脅威はありません。

 代わりに数が地球と比べて50倍ほど存在していますので、ゴキブリの大群を見ても泣き叫ぶような人種はまずいないでしょう』


 逞しいな異世界人。


 俺も別に虫は苦手ではないが、流石にゴキブリの大群を目にしたら逃げ出す自信があるぞ。


『はっ!』


 そして美怜よ。君はそのバカにする笑いを少しは隠して。


 流石に二回目だと誤魔化されんからな。


「しかし、そんなに虫がいると言うのに歩いている間、一匹も虫が寄ってこなかったのだが?」


 森の中には虫が多くいるイメージだったが、違うのだろうか。


 あれか、田んぼとかどこかじめじめしている所じゃないといないとか?


『それは美怜が寄せ付けないようにしていただけです。今も貴方様を中心とした半径30メートル以内の全ての虫や危険を追い払っております』


「は? そんなことしてたの?」

『肯定 私は樹様に快適な生活環境を提供するためのモノでございますので、毒虫や獣風情に樹様を害されることを許しません』


「そりゃ・・・どうもありがとう」


 何かなぁ、美怜は時々俺を見下すときはあるが、それ以上に俺を守ろうとする。


 この子の本性と言うか、性格が全くつかめないぞ。


 いやまあ、ただ単に毒舌でツンデレだけなのかもしれないが・・・。


『はっ!!』


 美怜が何言ってんだと言いたげに鼻で笑う。


 ホントこの子は従順なのか、反抗的なのかよくわからん。


 まあ、悪い子ではないのだろうけど。



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