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前世のわたし





ーーー私はずっと1人。






そう思って生きてきたーーー








私の生まれはとある田舎。

ホームセンターとスーパーが1、2件あって

ショッピングセンターは隣町に行かないと無いくらいの、退屈な田舎。




田舎の人間は常に暇だから、そんな私が退屈しのぎに良かったんだろう。

今まで誰かに愛された事も、生まれてよかったと思えたこともない。



私が幼い頃から両親は仲が良くなかった。



母親は変な宗教にハマり、父は別に女を作って家には帰ってこない生活。




母親の怒りは私に向き、度々手をあげられるようになった。



そして田舎はそういう噂がすぐ広がる。



退屈な田舎の子供は、

親にすら愛してもらえていない私なら、少々何をしても大丈夫だという察知能力には長けていた。



初めは些細な無視。



学年が上がっていくごとにいじめは悪化して、

中学生になれば階段から突き落とされたり、物理的な攻撃に変わる。



散々だった。




母親は自分が娘に付けた傷なのか、いじめられた傷なのかも考えることなく私に手をあげる日々。



「ゆいな、あんたは居無い方がいい子なのよ」



それが母親の口癖。



「ゆいな、あんたんとこの家はおかしい。だからうちらが根性を直してあげてるんだ」



それが同級生の子の口癖。



私を管理したい母は、大学進学のタイミングで都会に逃げたい私の願いを絶対に聞き入れず、地元の大学に進学させた。



環境も変わらず、母がお金を無心してくるので、バイトを掛け持ちして苦学生として働きながら、大学でもいじめられ続ける日々。



それでも私は周りの機嫌を伺って、波風立てない様に何もしなかった。生きるために。




「お母さん、これ今月のバイト代…」



渡そうとした封筒を奪い取られ、私の事を睨みつけて母は言う。


「少なっ。こんだけしか稼げねえからパパは戻ってこないんだろ。あー産まなきゃよかった…!」




お母さんは私を愛して無い。



どこにも居場所なんて無い。



「ごめんなさい」



これ以上、どうしろというのだろう。


ヘトヘトになりながら毎日バイトと大学の掛け持ち。





私は疲れてたんだと思う。




バイトの帰り道、同級生に待ち伏せをされていた。




「おいゆいな、あんたバイト掛け持ちしてるんだって?お金ちょうだいよ!」



今持ってるお金を取られたら今月生活出来なくなる。




「お金なんかない」


そう言ってその場を離れようとすると、

勢いよく肩を押された。



「逆らえるとでも思ってるのか?」



私が何をしたと言うのだろう。



「ねぇ、あんたも親と一緒で神様なんか信じてるわけ?神様も誰も助けになんかこないから」



クスクス、と奴等が笑った。




…笑わせないでよ


神様?そんなのいるならとっくに助けてくれてるに決まってる!!



もう嫌だ。



その場から立ち去ろうと信号も見ず、道路に飛び出すと、

その瞬間ーーー。




パッパァーーーーーー




「なっ、キャアーーー!」




勢いよく走ってきたトラックに跳ねられる。


あ。死ぬんだ。そう確信した瞬間、

最後に見えたのは、いじめっ子達の驚いて動転した顔。



はは…

なにその顔…めちゃくちゃブサイクじゃん…


あぁもっとはやくこうしとけば、苦しむことも無かったのかも…



全然楽しくない人生だったなー…






私は死んだ。






と思った。



のに、なんだろうこの場所…?





気がつくと、暗闇の空間?としか表現できない場所に居た。前も後ろもない、暗闇。



「ここ、地獄なのかな…」


ひどい話だ。

私は何もせず、生まれた頃から状況最悪で、

いじめられたまた一生を終えたというのに、

行き着く先は地獄。




もう本当、ついてない。





フフッと笑いが込み上げてくる。


瞬間ーーー。




「そんなに面白いか?自分が死んだというのに」




頭上から低い声がして、

びっくりして顔を上げる。





え…男の人が浮いて、る…。



男は、綺麗な漆黒の黒髪を靡かせ、吸い込まれる様な赤い色の瞳をしていた。



見た事もないほど容姿端麗だ。



こんなに綺麗な男の人、初めて見た。

浮いてるし、服は白いワンピースの様な、独特なものを着ているけど。




「えっとあなたは?地獄の人?…」



なんだか直視しずらくなって目を逸らす。

不思議な雰囲気の人だ。



「ふっ。俺様が地獄なんかの住人に見えるか?失礼な話だな」



「す、すみません…」


よく分からないが条件反射で謝ると、男は呆れた様に言う。



「はん、死んでも謝るのか。別に俺様はそんなことで怒ったりはしないが。」




な、なんか機嫌悪い?

地獄の門番的なのかと思ったけど、否定された。

でもこの横暴な雰囲気は、絶対天使とかでは無いでしょ。



「俺様は神だ」



「!??」



神…って神様?お母さんがハマってた宗教の人じゃないよね??



「お前、今すごく失礼な事を思ったであろう。人間ごときの心理などお見通しだ。お前、前世でずいぶんとひどい環境に居たようだな。」



「は、はあ」



本当にこの人が?神様…?

死んだ時はみんな神様に出会うものなの?


てか…神様って居たんだ…



「お前は今日死んだ。だが、神の俺様の気まぐれによって、お前には転生する権利が与えられたのだ。」




転生???


って、生まれ変わり?



みんな死んだら生まれ変わるの?





もしまた前の生活みたいな思いをするくらいなら、

転生なんて…。





「おいお前、いい加減その俯く癖、やめたらどうだ。

不快だ。

いいか、お前は全て記憶を持ったままで生まれ変わる権利を与える。」




記憶を、持ったまま?




「記憶なんて、なくていいんですけど」



ぼそっと口から出た。

失礼だったかな、神様の前で…



一瞬焦ったけど、よく考えると私は死んでるんだ。

もう我慢する必要もないのかも。



俯いていた顔を上げ、神様とやらをまっすぐ見て言い切る。


「もう前世みたいな思いはしたくはないし、思い出したくもありません」



てっきり怒られるかと思うと、

神様はニヤニヤと笑っていた。



「まあ考えろ。前世の記憶を持っていた方が、うまく生きられると思わないか?知識もそのままだしな」





知識。

なるほど…。確かに0から生まれるよりはいいのかな。





「その顔は納得しているな。



さぁ、自分の運命を切り開いてみろ」




神様は軽く微笑む。


なんだか変な神様だけど、

笑顔…綺麗だな…



なんて思った瞬間、見た事もない様な眩しい光が私を包む。




その光に照らされた瞬間、フワフワして意識が遠のいていく。


が、なんだか嫌な気はしない。






このまま生まれ変わるのかな…

これから私、どうなるんだろう……






その時、頭の片隅にあの言葉を思い出した。




「さぁ、自分の運命を切り開いてみろ」







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