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パパと二度目の冬 ④

12/18 二話目



「パパ、何を食べる?」

「ベルレナが食べたいものでいい」

「パパ。わたしの意見ばかり聞かないの! わたしもパパが食べたいもの、食べたいんだから。パパは何が食べたいの?」

「あー……じゃあ、あれで」



 パパはわたしに甘くて、わたしの食べたいものばかり食べようとする。なのでわたしが文句を言えば、パパは食べたいところを選んでくれた。

 それはアツアツの魚を焼いたものだった。雪に覆われているのに魚? と思ったけれど、このあたりだと川とかの表面が凍っているのだけど、その下に魚が生きているらしい。

 そういう魚を焼いたものが口に含む。

 本当に中までアツアツで、思わず一回口から離した。思ったよりも熱かった。




「ベルレナ、大丈夫か?」



 パパは口の中が熱いと言っている私を見て心配そうな顔をしていた。



「大丈夫。思ったよりも熱かった。あとちょっと辛い?」



 想像していたよりも熱くて、辛かった。でも食べられないほどではない。



 少しだけさましてから、ふーふーしながら魚を食べた。美味しい。味付けは簡単な感じ。だけど辛味を感じる調味料を使っているのだろう。屋敷の食料庫にこれもあるのかな? 何て名前の調味料を使っているのか、お店の人に聞いてみたら教えてくれた。




 パパも食料庫の中に何があるか正確に把握しているわけではないらしく、「ベルレナが気に入ったなら買って帰るか?」と聞いてくれたので、商会によって買って帰ることにする。パパは大人買いしていた。パパってお金の使い方豪快なんだよね。




 何だかそれでパパがお金持ち認定されたみたいで、他のも色々勧められていた。パパはわたしが気に入ったものを買おうとして「ベルレナ、いるか?」って聞いてくるから、商人さんもわたしにお勧めのものを色々お勧めしてくれた。

 わたしが頷けば、パパが買うと分かったのだろう。

 色々勧めてもらったものの中から、気に入ったものをパパに言えば沢山買ってくれた。





「ベルレナは、料理が好きだな」

「料理をするのも好きだけど、パパが美味しいって言ってくれると嬉しいもん。さっきの商人さんから、このあたりで作られる料理の本も買えたから良かった。嬉しい!!」




 パパに美味しいものを沢山食べてもらえるように、沢山作るぞー! って私はやる気満々である。

 パパはわたしの言葉に嬉しそうに笑っている。パパが笑ってくれるとわたしはすごくうれしい。





「料理の食材とか本が手に入るのも嬉しかったけれど、他のものも見たいな。あっち行ってみよう!」

「ああ」



 パパの手を引いて、目を引いた場所へと歩いていく。

 目を引いたのは、巨大な建物だった。何だろう斧のマークが掲げられていて、どういうところなのか分からなかったから。





「ねぇ、パパ、これ、何?」

「狩人の組合だな」

「冒険者とは別なの?」

「冒険者はその名の通り、冒険をするものだ。各地で魔物を狩ったり、護衛をしたりする。狩人の組合はどちらかといえばこの地域に住む者達が生活のために魔物を狩る所だな」

「へぇ……。これ、部外者でも入れるの?」

「まぁ、入れないことはないな。入るか?」

「うん」




 パパと一緒に狩人の組合の中に入ってみる。



 急に視線が集まった。こうやってやってくるの珍しいのかな?

 組合の職員らしき人に声をかけられて、パパは「娘が入ってみたいっていったから入った」って言っていた。




 パパとわたしが特に用事がないのにここにやってきたから、冷やかしと思われちゃったみたい。ちょっと悪いことしちゃったかも。でもパパは何も気にする様子なく、わたしを連れて色々見物してくれた。




 パパは本当にマイペースだなぁ。



 なんて思いながらわたしはきょろきょろとあたりを見渡し、興味があるものを次々と見る。周りから場違いだからか視線を浴びているけれど、パパがいるから特にわたしも気にせず見て回った。

 しばらく見て回ってパパと一緒に狩人組合を後にする。





「なんか冷やかししちゃったね」

「まぁ、問題ないから気にするな。楽しかったか?」

「うん。初めて見るものだったから楽しかった」



 冷やかししてしまったのは申し訳ないなーって思ったけれど、楽しかった。




「パパは狩人の人たちって関わったことあるの?」

「ないな。……あーでも助けたことはあるな」

「助けたの?」

「ああ。流石に目の前で死にかけていたから」



 パパってやっぱり何だかんだ優しいんだよね。多分死にかけていたからたまたま助けただけだろうし、パパはそのまま放置することもあるのだろうけれど、でもパパらしいなってなる。




「パパ、次はあっち行こう。なんかすごい騒ぎ!」

「本当だな」




 パパと話していたら、何だか騒がしくなったのでそちらに向かう。そこには人が結構集まっていた。

 その騒がしい中心を見たら、巨大な魔物がいた。

 私の何十倍も大きい、家ぐらいの大きさの魔物。それを一人の男が引きずっていて、おおってなった。

 凄い力!!



「ねぇねぇ、パパ、あれって身体能力強化使ってる?」

「だろうな。あの男はこの国にとっても特別な存在なのかもしれないな。この盛り上がりからすると」




 引きずっている男の人は、とても体格が良い人だった。もじゃもじゃの髭のちょっと怖そうな感じの人。

 周りの人の声を聞いた限り、狩りの名手というか、この国にとって特別な人みたい。



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