パパと二度目の冬 ③
「わぁ」
パパと一緒にアイスワンドの王都を歩いている。
こんなに吹雪が吹いている場所で、どうやって過ごしているのだろうって思っていたのだけど、王都は吹雪の影響を受けないように魔法具のようなものが使われているようだ。
だから王都は、結構静かだし、生活がしやすいみたい。ただパパがいうにはそういう魔法具が設置されているのは、王都のような大きな都や街だけみたい。だから村などでは吹雪が吹き荒れている中で生きていたりするみたい。
凄くたくましいよね! どういった暮らししているんだろうってわくわくするよ。
ちなみにわたしとパパは、お揃いのもこもこのコートを着ているの。パパの魔法でコートなんてなくても過ごせはするけれど、それだと目立つもんね。
あとね、手袋もしているの。これも色違いのお揃いなの。
「ねぇねぇ、パパ、なんか水が凍ってるよ?」
「寒いからだな。このあたりは鼻水とかも凍るぞ」
「へー」
吹雪の影響を受けないように王都はしているとはいえ、それでも寒いものは寒いのだ。室内は暖かくするように色々しているみたいだけど……、パパだったら簡単にその辺はどうにか出来そうだけれども、やっぱりそれはパパが凄すぎるってことだよね。
それにしても鼻水とかも凍るって、くしゃみ一つするのも大変だろう。此処での暮らしって、どんな感じなのだろうって、ワクワクしてくるね。
それにしても井戸とかもないよね。これってやっぱり凍るからってことかなぁ。水ってどうするのだろうって思ったら、雪や氷が解けた水をきれいにして使っているらしい。
でも確かに雪も氷もとけたら水だもんね。
パパと一緒に宿に向かう。その宿は結構大きかった。このアイスワンドの国は、寒すぎるが、独特の場所が沢山あって――だから此処に遊びに来ようとする観光客もそれなりにいるらしい。あと独特の暮らしをしている国だからこそ手に入る特産品も結構あるからそれ目当ての人とかも多いんっだって。
宿のベッドもふかふっか!
これはこのあたりに住んでいる魔物の毛皮から作られているらしい。こういう吹雪の吹き荒れる場所で暮らす魔物たちっていうのは、それだけこの場所で生きていけるようにもふもふだったりするらしい。
「部屋の中はあったかいねー。でもあったかくする分、宿も高いんだね」
「そうだな。これだけの大きな宿を温めるためには魔法具もかなり使う必要がある。だからこそ、宿代が高いのは仕方ないだろう」
「それにしてもこんなに一番高い場所でよかったの? パパ。一室でも高くてびっくりしちゃった」
「安い所だと寒かったりするからな。ベルレナが風邪を引くのは困る」
「ふふ、パパ。私のことを心配してこういう宿を選んでくれたんだね! ありがとう。パパ」
確かにこの宿ってぽかぽかしているからね。それに宿の従業員の人たちもとてもやさしかった。
パパとわたしが仲良く話していると、にこにこ笑ってくれたの! わたしが気になったことを質問してもね、ちゃんと答えてくれたの。とてもやさしいよ。
「パパが寒くないようにしてくれているから、風邪ひかないと思うけどなぁ」
「それでも気を付けた方がいいだろう。俺はベルレナが風邪を引く姿なんてみたくない」
パパは優しいなぁってベッドでごろごろしながら思った。
「パパは疲れてる? 疲れてないなら、ぶらぶらしよう!」
「俺は疲れてない。行くか」
「うん!」
パパと一緒に手を繋いで、宿の部屋を出る。
宿を出る時には、従業員の人たちが「いってらっしゃいませ」って送り出してくれた。
パパと一緒に王都を歩いていると、やっぱり視線を感じた。やっぱりこういう遠く離れた国でも、パパは美しいんだよなって思う。年頃の女性たちがよくパパをチラチラ見ているもの。
それにしてもパパの真っ白な髪って、雪が降る寒い地域にとてもよく似合う。なんだろう、この国の風景はパパによく似あっている。
「パパって、この国がとっても似合うよね」
「そうか?」
「うん。だって真っ白な髪で、綺麗なパパがこの場所に立っているってだけでとても絵になるから」
「それはベルレナもだろう」
「確かにそうだね。二人ともこの国に似合う見た目ってなんか嬉しいね」
パパとそう言いながら笑いあった。
誰か絵を描いてくれる人とかいたら、きっと面白いよね。でもこういう寒い中だと外で絵を描く人もあまりいなさそう。こういう厳しい環境だからこそ、実用的なものばかりが発展しているのかもしれない。
「こういうところで冷たいものを食べたら美味しいのかな?」
「……美味しいかもしれないが、わざわざここでそういうのを食べる人はあまりいないだろうな」
「そっか。じゃあやっぱり温かいものばかりが売っているのかな」
「そうだろうな。あとは非常食系の、長持ちするものとかが多いな。このあたりは野菜を育てるのも難しいから」
「そうなの?」
「ああ。外では普通の野菜は無理だ。室内で育てているのもあるかもしれないけれど」
パパと会話をしながら、きょろきょろとあたりを見渡せば、確かにそういう暖かそうな食べ物のお店が多そうだった。




