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パパとわたしと紅葉めぐり ④

「すまん。俺は呼び出し受けたから、帰る」

「謝る必要はない。ニコラドがいなくても問題はない。さっさといけ」

「ひでぇな。ディオノレ!」




 しばらくパパとニコラドさんと一緒に秋を感じる場所を見て回っていたのだけど、ニコラドさんは呼び出しを受けてしまったらしい。

 パパとニコラドさんの仲がよさそうな会話にわたしは思わずくすりと笑ってしまう。

 やっぱりこういう風に仲良しな様子を見ると、わたしも同じようにすべてと分かり合えるようなこういう親友のような方が出来るのだろうか。




「わたしもパパとニコラドさんみたいな関係の友達が欲しいなぁ」

「ははは、ベルレナにはきっと出来るさ」



 ニコラドさんはそう言いながらわたしの頭を撫でてくれた。パパに「はやくいけ」と言われて、ニコラドさんは笑いながら去っていった。



「じゃあ、行くか。ベルレナ」

「うん」



 それにしてもニコラドさんは、結構いつも忙しそうだよね。でも同じ魔導師でも忙しさの違いがあるよね。ニコラドさんは忙しいからっていってその合間でしか屋敷に来なかったりするけれど、パパはいつも家にいるし。




「……ニコラドさん、忙しそうだよね」

「ああ。あいつは俺と違って学園関係で色々やっていたり、周りと関わっているからな」

「パパはニコラドさんよりも人付き合い苦手だもんね」

「……苦手じゃなくてしないだけだ」

「ふふ、でもそれがパパらしいよね」



 パパがニコラドさんみたいに、社交的だったらどうなっただろうか? そもそもパパがパパだからこそわたしはパパと出会えたのだろう。パパがわたしを見つけてくれたのも、パパがパパだから。



 それにわたし、パパがわたし以外の人にもにこにこしてたら嫌だと思うもん。パパがわたしのことを大切に思ってくれて、わたしのことを娘として接してくれて、そしてわたしに優しく笑いかけてくれる。

 他の人が笑いかけられてたら嫉妬しちゃうだろうし、我儘だろうけど「わたしがパパの娘なの!」って言ってしまいそう。




「何を笑っているんだ?」

「パパがニコラドさんみたいに皆ににこにこしてなくて良かったなって」

「社交的な父親の方がいいんじゃないか?」

「ううん! わたしはわたしのパパを独り占めしたいもん!」



 そう笑いかければ、パパも笑ってくれた。

 パパと一緒につぎの場所に向かう。パパに抱っこしてもらって、色んな場所に転移したり、手を繋いで街を見て回る。





「紅葉ってとっても綺麗だよね! 同じように見えて全然違うから、やっぱり見てみないと分からないよね」

「そうだな。結局周りからどれだけ綺麗だと言われても、結局見てみないと分からないからな」

「ねぇねぇ、パパ、来年もさ、こうしてもっと連れてってくれる? わたしね、パパにどれだけの場所に連れて行ってもらっても、やっぱりもっと行きたい場所沢山あるんだよ。わたしが、一人で転移出来たらパパに連れてってもらわなくても行けるんだけど……。わたし、まだまだ出来ないから」

「そういうのは気にしなくていい。俺もベルレナを連れまわしたい」

「ふふ、じゃあ約束ね! これからもずっとわたしのこと、連れまわしてね。パパ」




 今、目の前に広がっている。赤く染まった秋の色づき。そして少しだけ冷たい風。秋の花々も優しい雰囲気があって、わたしは好きだ。今はパパと一緒に街道から外れた脇道をうろうろしているの。

 一人だと魔物がいる可能性もあるから、こういうところをうろうろは出来ないのだけど……、パパと一緒だと何処にでもいけるもんね。



「パパはさ、どの花が好き?」

「花?」

「うん。ここに、色んな花が咲いているでしょ? パパにはどういった花が似合うかなーって」

「……赤かな」

「何で?」

「ベルレナの魂は、燃えるような炎を思わせるから。ベルレナの色は、やっぱり本質的には赤だと思う。それにベルレナの白い髪には、赤い花が似合うだろう」

「えへへ。わたしに似合うのだったらパパにも似合うよ! ほらっ」




 わたしは赤い花をつんで、パパの髪にそろえる。うん、やっぱり似合う。というか、パパはとっても綺麗だからどんな花だって似合うんだよね。

 どんな季節も、どんな風景でも似合うんだよね。




「パパ、今度、髪飾り買いに行こうよー。パパにも似合うと思うんだよね」

「……俺がつけるのか?」

「うん! お揃いにしようね。パパ」

「ああ」




 パパは少し黙った後、わたしの言葉に頷いた。またやりたいことが増えた。

 パパにはどんなものでもきっと似合うからね。



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