わたしとバザー ②
「わぁ、綺麗!」
バザーに出品するためにわたしは早速材料集めにきている。まず来ているのはパパがたまに訪れているという鉱山だ。
どこかの国が所有しているとかではなくて、誰も手付かずにしている場所らしく、パパが個人で使っているものらしい。パパは色んな場所を知っているな。わたしはパパとしばらく暮らしていて、パパのことを知っているつもりだけど、パパには毎回のように驚かされてばかりだ。
わたしはパパに身体強化の魔法をかけてもらって、ピッケルを使って採掘をする。カンカンッと音がなる。うーん、採掘作業っていうのも難しい。
何だろう、結構失敗しちゃったりしている。パパなんて簡単にやっているからちょっと悔しい。私ももっと上手に採掘出来るようになりたいなぁ。
この鉱山って、色んな鉱石などが手に入るけれど今回のバザーで使うのは低価格の採掘しやすいものを使うの。高価なものは出品すると、面倒なことになりそうだからって。
だから大きいものや高価なものは別の機会に使おうと、パパがくれた空間魔法の魔法具で収納庫に格納している。
「これは魔力を存分に含んでいるな。結構魔法具作りにも使える。ベルレナが魔法具をつくるなら教える」
「作りたい!」
「なら、ベルレナが魔法具をつくれるぐらい成長したら教えるからそこまで取っておけよ」
「うん!」
魔法具じゃないものを作ろうとしてもこれだけ大変なのだから、魔法具作りなんてきっともっと大変だよね。今のわたしはまだまだ魔法具が作れるぐらいの力がないから、もっと勉強してからだよね。
採掘をした後は、パパと一緒に屋敷へと戻って一旦その小さな鉱石たちを保管する。色々並行して行う予定だから、服の材料にするために魔物を狩りにいくことになった。
魔物を倒すのもまだまだ得意ではないけれども、素敵な服を作るために素材になりそうな魔物を倒していった。パパの助けを借りずになるべく自分一人で魔物を倒すのは結構難しかった。
「……パパ、むずかしいね」
「それはそうだろう」
パパは簡単にそう言い切る。
わたしももっとパパのように魔物を華麗に倒せるようになれたら嬉しいのになぁ。いつになったらそうやって倒せるようになるだろうか? きっと結構な時間がかかるだろう。でも出来ないとは思っていない。
しばらく魔物を倒して、パパと一緒に屋敷にまた戻る。素材を入手するのにも結構時間がかかる。それをアクセサリーや服作りのためにつかえるように加工することも一苦労だ。
「ねぇねぇ、パパ、こうやって何かを作るのって大変だけど結構楽しいね」
こうやって素材を集めて、何かを作ろうとするのは大変だ。大変だけれども、やっぱり楽しい。新しいことを覚えられるし、何よりパパも楽しそう。
パパはわたしが楽しそうにしているのを見るとにこにこと笑ってくれる。パパが笑ってくれるのを見るとわたしは幸せな気持ちになる。だからわたしはわたしに沢山のものをくれるパパのために、楽しく生きようと思う。
わたしは加工したものを少しずつ、アクセサリーや服へとしていく。うーん、むずかしい。パパはわたしのことを見守ってくれている。結構失敗が多かった。失敗ばかりだと落ち込むけれど、少しずつ上手く作成できるようになってくる。一日中やっているけれども、食事や睡眠は欠かないようにしている。
だってわたしのパパは、食事などを抜きやすいのでパパがそういうのを抜かないようにわたしはちゃんとご飯を食べているの!
「ベルレナはちゃんと自分の身体を労わりながら行動出来るんだな。凄いな」
「放っておくとパパがご飯ぬくからでしょ! よくゆっくり寝てたりするし」
こう考えるとわたしがそのあたりをちゃんとしているのってパパが少しだらしない面があるからだと思う。パパがもっとすべてしっかりしている人だったらわたしはもっと無茶していたのかもしれない。
パパはわたしの言葉に「それもそうか」と笑みを浮かべた。
「パパ、バザー、どうなるかな? なんだろう、わたしが一生懸命作ったもの売れるかなぁ。気に入ってくれる人いるかなぁって結構ドキドキする」
「ベルレナの作ったものならば、売れるだろうなぁ。ベルレナが作ったものは出来が良いからな。それにベルレナが接客していたら皆買おうとするだろう」
「そうなの?」
「ああ。ベルレナは可愛いからな。接客を誰がするかによって、売り上げは変わる。良いものはよく売れるだろうけれども、店員次第ではよくないものでも売れる」
「そっか。第一印象って大事だもんね」
わたしも同じものを買うならば、にこにこしている人から買いたいからそういうことなのだろう。




