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わたしの初めての魔物退治 ②

 わたしはパパに転移で、森の中へと連れていかれた。気持ちの良い風が吹いている。空気がとても綺麗だ。

 初めて向かう場所だけど、パパが横にいてくれるからわたしは不安なんて全く感じていなかった。

 ただこれから魔物退治を行うんだと思うと別の意味でドキドキしている。




「ベルレナ、大丈夫か? 魔物退治が難しそうなら、一旦帰るが」

「ううん、大丈夫! ちょっと緊張するけれど、だけど私やってみたいもん!」



 なにかの命を奪うと思うと、わたしはドキドキするし、怖いって気持ちもある。だけどこれからのことを考えるともっと自分の戦う力を磨くことはとても重要な事だと思う。

 これからパパがいない場所でわたしは危険な目に遭うかもしれない。その危険な目に遭った時にどうにか出来るようにそういうことは重要である。

 わたしがやる気に満ちた目をパパに向ければ、パパはわたしに優しく笑ってくれる。




「ベルレナ、俺はお前が何か危険な目に遭うなら必ず守ってやる。だから安心して魔物に向き合え。そして少しずつ魔物を相手に出来るようになればいい」

「うん。ありがとう。パパ」



 でもやっぱりわたし、パパに甘やかされているなぁと思う。

 だって本当に強くならせたいとかなら助けもせずに魔物の所に飛び込ませた方が、結果につながるかもしれない。それでもパパはわたしに甘くて、わたしのことを全力で守ろうとしてくれている。

 わたしはそういうパパの甘さと、わたしのことを守ってくれようとしている様子がとても嬉しいなと思った。

 わたしはパパと一緒に森を歩く。もちろん、パパと手を繋いだままである。

 そしてパパと歩きながら色んな魔物を見る。見つけた魔物と片っ端から戦うのかなと少し思ったのだけど、そんなことはなかった。パパはわたしの初戦にぴったりな魔物をわざわざ厳選してくれているみたい。



「ベルレナ、あれいくか?」

「植物の魔物?」

「ああ。植物系の魔物は四足の魔物よりも戦いやすいだろう。ただ植物系の魔物でも、危険な魔物は沢山いる。人食い植物も中にはいるから、そのあたりは気を付けた方がいいぞ。見た目が如何にか弱そうに見ても、ずっと狂暴な存在だっている。見た目は一つの指標だが、それだけが重要ではない」

「うん」

「例えば、ベルレナだってそんな見た目でも魔法が使えるだろう。ベルレナの見た目はか弱く見えるが強い力を持つ。そういうことだな」

「うん」




 わたしだって小さな子供だけど、魔法が使える。わたしのことを魔法が使える子供だと知らなければわたしなんか簡単にどうにでも出来ると思われるかもしれない。



 そういうことだよね。

 それにしても植物の魔物を見ながらドキドキしてしまう。わたしの初めての魔物退治の相手。




「ちなみにあの魔物は錬金術の材料になる。倒したら解体も教えるから一緒にやろうな」

「うん!!」



 魔物の身体を解体するという作業も初めてだからわたしは考えただけでも不安もドキドキもある。だけれどパパが教えてくれると思うと、何だってわたしにとっては大切なものだ。

 それにしても倒すとしたらどういう魔法を使った方がいいだろうか?



「ねぇ、パパ。植物系の魔物って弱点は火?」

「そうだな。火は弱点だ。ただ倒すだけならそれでもいいかもしれない。だけれども、素材をとりたいなら他の倒し方をしたほうがいい」

「そっか。燃えちゃうもんね」




 植物系の魔物の素材が欲しかったり、植物の素材を手に入れようとするときは火の魔法を使うと燃えてしまうらしい。なるべく傷つけないようにした方がいいってことだよね。




 そうなると、どんな風にしたらいいだろうか?

 わたしはパパから色んな属性の魔法を学んでいる。

 だから沢山の魔法が使えるようになっているけれども……うーん、どうしようか。パパはわたしからの返答を待ってくれている。その優しい瞳を感じると頑張ろうって思えた。





 水? 雷? それとも土? でも雷だと火と同じように燃えちゃうのかなぁ。わたしは戦闘経験が全然ないから、そのあたりがぴんとこない。それに魔物によっては火をあてると何かあるとかもあるかもだし、もっとわたしは実戦経験を積んで、魔物の情報が分かるようになったらそういう対応も出来るようになるだろうか。



 というか、パパは全部知っているのかな? そう考えるとやっぱりわたしのパパは自慢のパパだと思う。



「パパ、色々試してみてもいい? もしかしたら素材を駄目にするかもしれないけれど……」

「ああ。少しぐらいならば大丈夫だ。どうにでも出来る。やりたいようにやってみればいい」

「うん!」



 わたしはパパの言葉に頷いて、その植物系の魔物へと近づいていく。




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